はじめに よんでください

人工痴呆

Artifial dementia

池田光穂

人工痴呆(artificial dementia)とは、人間の痴呆という、すばらしい思考の逸脱能力を、機械で再現することさす。しばしば、人工痴呆(の研究)は人工知能(の研究)の 反対だと言われているが、言うまでもなく、痴呆は人間にとって知識のレパートリーの一種なので、人工知能の研究は、未だ人工痴呆のレベルにまで到達してい ないというのが現状なのである。そして、エキスパートシステムに倣って、人工痴呆の研究者がぜひとも参照にしなければならない痴呆のエキスパートは言うま でもなく、人間における認知症の人であり、それを天然痴呆(natural dementia)と呼んでもいいだろう。

以下は「人工痴呆の研究」から引用した文章であるので、参照してほしい。

人 工知能(機械そのものの)の素直さに比べて人工知 能の研究者の頑迷や根性がねじ曲がった自己正当化の卑属さに閉口します。人工知 能の研究者が、どうして人工痴呆(AD)の研究をどうして始めないのか不思 議な感じがします。逆遡上技術(RE)で豊富な実験資料手に入るはずなのに。

チューリング・テストにならって、被験者が「この箱 に中に入っているやつは、バカ=痴呆か、『機械みたいなバカな奴だ』」と言った瞬間に、研究者や実験者はつかさず「そのアホさ加減とはどのような性格や行 動のことを言うのでしょう?」と問いかけるべきである。人工知能とならんで、果たして人工痴呆が作れるのか? 人工知能が「だんだん賢くなる」のであれ ば、人工知能は「だんだんバカ」になる。痴呆症になることができるであろうか。すなわち人工痴呆は、人工知能研究と、人工知能の定義をめぐる問題のなか で、重要な思考実験の位置を占めているのである。

私が考える、人工痴呆(AD)の研究の難しさは、人 工知能をつくりあげて、そこから痴呆にしなければならないという「偏見」がエンジニアにあるからではないか? 我々しろうとは、人工知能がアホな答えをし た時に(=チェスで打ち間違えて人間に負ける、ヒトラーまがいの反ユダヤメッセージを発するようになる、猿でもわかる臨床判断を間違う、などなど)、「そ こそこの痴呆力がついたなぁ」という発想をするけど、人工知能のエンジニアたちは、「まだまだ知力が足りないなあ」と反省するようだ。素人喜びと専門家の 悲しみは、相反する同じ軸に価値の数直線上にある。

人間による人工ではない、天然痴呆の発見に、AIに よる検証が役立つのではないかという主張は次のような文言からでも明らかである。

"Researchers across the globe are developing computer programmes to spot the earliest signs of dementia. These teams are using huge amounts of data to identify changes to the physical structure of the brain in detailed scans. They are also looking for changes to the energy use and chemical make up of the brain that can’t be seen by the human eye." - How could artificial intelligence help people affected by dementia?︎

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