汝の隣人を汝自身のように恐れよ!
パラ |
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〈恐れの政治学〉の標題「ポスト政治的
な生ー政治(せいせいじ)」※生政治とは「バイオポリティクス」のこと。 |
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根源的な解放の政治〈対〉われわれの政
治的現状 |
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反移民への転換 |
・移民とは我々のことである。 |
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他者に対する寛容さ〈対〉ハラスメントに対する強迫的な恐れ |
・文化人類学の他者は研究対象である。 ・ラカンの〈他者〉は、「これは多くの形式を持ち、たとえば、あらゆるシ ニフイアンの宝庫あるいは貯蔵庫、〈母=他者〉語、要求としての〈他者〉、欲望としての〈他者〉、享楽としての〈他者〉、無意識、神」など。 ・言語学における他者とは、自分の言語とは異なる言語を話す人である。 ・犯罪捜査官にとっての他者は「嘘をつく者」である。 ・そして情報科学者にとって他者は〈オントロジカルな他者〉である。 |
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「ポスト政治的な生-政治(せいせいじ)」は2つの対立するイデオロ
ギー空間に属する:「むき出しの生」に還元。そして、傷つきやすい〈他者〉への尊敬 サム・ハリス『信仰の終わり』における拷問肯定論 |
・研究ノート:バイオポリティクス. |
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倫理的錯覚 |
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ハリスの引用 |
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拷問正当化論 |
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ハリスの引用「拷問の道具であると同時に、その事実をかくすような薬」 | ||
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モスクワ・セルブスキー研究所における自白剤の開発s |
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「倫理的錯覚」を口実にする攻撃 | ||
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ハリスにおける〈隣人〉という次元の廃棄 |
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〈隣のモノ〉「敵とは、いちども話を聞いたことのない人間のことであ
る」——ウェンディ・ブラウンの著作のエピグラフ。『フランケンシュタイン』 |
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カガノヴィツチのエピソード |
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カガノヴィツチの真相を知りたいことよりも、その悪人に対する瑣末的な 情報に触れたいという願望 | ||
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絵に描いたような〈悪人〉なし |
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人間がもつ矛盾性 |
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ヘルムリンの弁明。1938年のベンヤミンあてに書いた、アドルノの手
紙にハンス・アイスラーとの邂逅のエピソードがある。 |
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アドルノの手紙の引用 |
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スターリズニムを生きた人は、ドゥルーズ的生成の中にいたと「解説」し
ても、意味があるのか? ・スターリンの手下に処刑される際にも「スターリンへの愛」を叫ぶ |
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911の犠牲者の常套句、I love you について。 ソ連の下っ端スパイ、ローゼンバーグ |
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スタリーンへの忠誠は、フェティシズム的態度であり、倫理的態度であ
る。 |
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カント『学部の争い』——フランスの革命の真の意味は、パリで実際に起
こったことではなく、ヨーロッパの共感者たちの熱狂の中にある。 |
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カントのからの引用 |
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そのラカン的解釈 |
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ソ連賛美は、全面否定されるべきか? 忘却=フェティシズム的否認 |
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「あらゆる倫理は、おそらくこうしたフェティシズム的否認の身振りに依
拠しなけばならない」(p.73) |
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「男も女も存在しない、ユダヤ人もギリシャ人も存在しない」聖パウロ。
言い方を変えると、人類みな兄弟を受け入れない奴は、人ではない |
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キリスト教徒は、ユダヤ人の選民性を克服したのか?ユダヤ人は、神との
特権的なつながりをもつ選民であることを主張することで、偽りの神を賛美する他の人も受け入れるのに対して、キリスト教とは人類の普遍的枠組みから、非信
者を排除する傾向がある。 ・レヴィナスの思い至らなかったところ。尊敬すべき敵たる他者ではなく、まったく異質の他者。カントのいう悪魔的な悪。〈隣人〉というもののトラウマ性、おそろしさ。 |
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フロイトとラカンは、汝の隣人を愛せ、が問題含みであることにこだわ
る。 |
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イェイツの詩より |
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「他者の夢に巻き込まれたら、おしまい」 |
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“Have
you ever been in love? Horrible, isn't it? It makes you so vulnerable.
It opens your chest and it opens up your heart and it means that
someone can get inside you and mess you up. You build up all these
defenses. You build up this whole armor, for years, so nothing can hurt
you, then one stupid person, no different from any other stupid person,
wanders into your stupid life… You give them a piece of you. They don't
ask for it. They do something dumb one day like kiss you, or smile at
you, and then your life isn't your own anymore. Love takes hostages. It
gets inside you. It eats you out and leaves you crying in the darkness,
so a simple phrase like "maybe we should just be friends" or "how very
perceptive" turns into a glass splinter working its way into your
heart. It hurts. Not just in the imagination. Not just in the mind.
It's a soul-hurt, a body-hurt, a real
gets-inside-you-and-rips-you-apart pain. Nothing should be able to do
that. Especially not love. I
hate love.” ― Neil
Gaiman, The Kindly Ones. |
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タルコフスキーとベルイマンの関係 |
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〈言語の暴力〉との標題:欲望の主体=〈他者〉【無粋なジャーナリス
ト】あなたの最初のセックスのお相手は男性でした?それとも女性でした?【ゴア・ヴィダル, Gore Vidal 1925-2012.】
私は慎み深い人間だったので相手に聞けませんでした。 |
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礼儀という防御壁の崩壊 デンマークの新聞『ユランズ・ポステン』の風刺画 スローターダイク「コミュニケーションの増大は、なによりも軋轢の増大を意味する」 |
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社会に疎外があるから、寛容の精神で(ヨーロッパのこれまでの戦略) |
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オリエンタリズム〈対〉オクシデンタリズム |
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ユネスコのために書かれた、ジャン=マリー・ミュレール「話すことは、
社会化の基礎および構造であり、暴力の放棄という特徴をもつ」Jean-Marie
Muller, NON-VIOLENCE in EDUCATION. |
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論駁:人間は話すがゆえに暴力の能力においても動物を凌ぐのでは? |
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象徴界を刺し縫いてまとめあげる、主人のシニフィアンとしての言語。 レヴィナスの主張=他の主体とバランスのとれた相互関係はけっして存在しない。 |
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ジャン=マリー・ミュレールからの引用:よい暴力、悪い暴力という二分 法など存在しない。 | ||
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暴力は、攻撃性そのものではなく、過剰である。 |
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「欲望には限りのなさの感覚がある」シモーヌ・ヴェイユ; |
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ヴェイユの言挙げは、前近代的な枠組みの中にいる。カントの枠組みで は、絶対的な過剰性は、法そのものの絶対的な過剰性である。 | |
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チェスタトンの「探偵小説」の擁護 |
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「(〈法〉と犯罪による〈法〉の侵犯とのあいだの)外的な対立は、個々
の侵犯の、みずからとは正反対の普遍的〈法〉として現れる絶対的侵犯とのあいだの、侵犯それ自体に内在する対立に変形される」(p.85) |
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ヴェイユの調和した抑制された欲望は、日和見主義の反倫理立場を生み出 す究極の要因だ。 | |
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理性と人種が、ともに、ratio
という同じ語源をもつ。言語は分割する、という大テーゼ。 |
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政治的反抗。ハイデガーの本質論 |
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ハイデガー?の引用:存在のすみかは、言語の本質化である。我々は言葉
に耳を傾ける時は、言語が我々に語りかけるままにしておくことだ。 |
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ハイデガー、『アンティゴネー』コロスの歌の解釈 |
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MARTIN HEIDEGGER, what
is Metaphysics? [pdf] の引用。知の暴力行為性@ハイデガー「IV存在の限定」『形而上学入門』 暴力行為者 |
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創造者は居場所を失う |
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「ヘ
ラクレイトス断片53(争い[polemos]は万物の父であると同時に万物の支配者である。すなわち、争いは一方のものどもを神々として、ほかの者ども
を人間として現象せしめ、一方のものどもを奴隷として、ほかのものどもを自由民として設置する)を解釈する際に……『形而上学入門』 |
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これも、ハイデガーの引用 |
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「存在論的暴力」「社会関係の暴力」;ボーヴォワール『アメリカその日 その日』の黒人劣等論をめぐる、ステラ・スタンフォード(Stella Sandford)の反感。 | |
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ステラ・スタンフォードの引用 | ||
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94 |
前
節の議論から、ステラ・スタンフォードは、黒人の劣等性をめぐる、白人の解釈と「(経験の)事実認定」をわけて、後者を不問にしようとする。つまり前者を
糾弾することで、後者の問題を不問にする。白人による人種差別は、黒人への解釈が「ゆるぎない事実認定」と矛盾しないこと」を特徴とするのに、前者だけを
スタンフォードが糾弾することは、黒人そのものの劣等性が事実であるという白人の確信を揺るがさないというのが、ジジェクによるスタンフォード批判であ
る。 |
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(前節を引き継いで)人種主義とは黒人の存在の種的区分ではなく、黒人 という人種が区分されて定義されて、それが白人よりも「劣ったもの」という定義と不可分である、人種差別 主義と全く同じであると、ジジェクは言っているのだ。人種主義の文脈の中では、白人の理解のとおり「黒人の劣等性」は揺るぎない「事実」のもとにある。そ れは、黒人の優劣の多様性の広がりとは何の関係もない。 | ||
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隣人の深淵。——「わたしと〈彼方〉とを分かつ障害は、まさに〈彼方〉
の幻影を生み出すものであるのだ」(p.95)。 |
旧クレジット:スラヴォイ・ジジェクの暴力論:
02.汝の隣人を汝自身のように恐れよ!
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