ラップ音楽
Rap
music, or RAP
★ ラップ音楽は、1970年ごろから北米の黒人社会のなかのヒップホップ文化の中で育まれてきた楽曲と韻律を用いた歌唱様式である。黒人社会の中にある情 景、夢、欲望、警察権力の暴力、あるいはドラッグカルチャーなどの「社会病理(←これはステレオタイプに満ちた犯罪学あるいは犯罪社会学由来の用語であ る)」な ど、諸々のテーマが垣間見られる。さまざまなルーツをもつと考えられるが、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King Jr., 1929-1968)や、マルコムX(Malcolm X, 1925-1965) などの講話や説教におけるコール&レスポ ンス(call and response)、韻律を伴った宗教的ないしは政治的説教、ブラックパンサーなどにみられる政治的怒りや黒人文化の称揚の際にみられる美的表現、などが、現在にいたる までラップ音楽においてもなお、息づいている。他方、ダークな伝統(←先の「社会病理」という言葉を思い起こせ)を賛美したり、そのイカれた状況を描写し た「ギャングスタ・ラップ(Gangsta rap)」というサブジャンルも生まれるに至った(→「毒のない文化は文化じゃ ねぇ!!」「ギャングスタ・ラップからナルコ・コリードまで」)。もちろん、それに対するミュージシャンの間で、論争おこり(=スパイク・リー(Shelton Jackson "Spike" Lee)がギャングスタ・ラップに反発した話は記憶に鮮烈であ る)、それに対する一種の是正的措置のかたちで「コンシャス・ラップ=良識派ラップ(Political hip hop)」 が登場する(→「ケンドリック・ラマー」)。その意味では、ラップ音楽は黒人文化や社会の縮図の「反映」——表象という——面があると同時に、今度はラップ音楽という韻律音楽を通して、 そこに込められたメッセージを社会に押し返していくと同時に、社会のあり方を再定義・再提案するという社会的機能をもつように至る。もちろん、あらゆる芸 術様式——芸術のスタイル——が持つように、それ自体での自律した芸術価値をもち、他のメディア芸術と同様に、純粋にダンスや耳に心地よいリズムを視聴者 に与えるということもラップ音楽の特徴である。後者の独自の芸術の形式性としてのラップ音楽は、黒人たちの占有物あるいはサブカルチャーとして、エミネム などの白人ラップ歌手を生んでおり、「人種」の境界を超えて広がり、また、英語以外の言語、とりわけス ペイン語(→レゲトン)をはじめ、もちろん日本語を含めて、世界の多様な言語で謳う「レゲトンの世界音楽化」すら起こしている。現代の音楽文化を考える上で、ラップ 音楽をモデルに考察することは、グローバル化した現代社会のさまざまな問題と課題を考えることにほかならない。
☆君もラッパーになれる!!(実践編)︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
● ラップ用語集
MC |
エムシー |
Master of Ceremony,
マスター・オブ・セレモニー、パーティの司会者、パーティ全体の話術をマネージする人 |
Rapper |
ラッパー |
ラップする人、ラップ歌手 |
Lyricist |
リリシスト |
作詞家、作詞家、ラッパーのこと |
Artist |
アーティスト |
芸術家、アーティスト、ラッパーのこと |
DJ |
ディージェー |
ディスク・ジョッキー、レコードやCDなどをダンス会場やパーティ会場
で鳴らす(=演奏する)ミュージシャンとも位置づけられる。 |
Turn table |
ターンテーブル | レコードやCDなどの円盤を置かれた場所。レコードやCDなどの音源は 微細な渦をなす可逆的な情報が織り込まれているために、DJにより、元のリニアーな演奏形式から「解放」されて、自由な演奏が可能になる。デジタル音楽の 可能性について挑戦できる場である。 |
Hip Pop |
ヒップ・ホップ |
ラップ音楽のことから転じて、ラップ音楽の演奏や、ラップ音楽的雰囲
気、あるいは、それらが醸し出すイメージ、生活、さらには人生観などの隠喩にもなる |
Conscious |
コンシャス |
意識のこと、総じて、社会的意識を批判的に見る立場のこと。日本語の
「意識」(高い系/低い系)の使い方と割と似ている。 |
Culb |
クラブ |
クラブ、音楽がかかり踊れる酒場を総じてクラブと呼ぶ。そこでかかる音
楽をクラブあるいはクラブ系音楽ともいう。 |
Party |
パーティ |
|
Battle |
バトル |
戦いの意味だが、ラップでは、音楽上の激しい掛け合いや、ラップ音楽集
団どうしの競い合いをバトルと呼ぶ |
Simile |
直喩 |
シマイル。「XXXは怪物のようだ」と「〜のようだ」と表現する方法。 |
Metaphor |
隠喩 |
メタファー。「XXXXは怪物だ」と、直接「〜は〜だ」と表現する方
法。 |
Analogy |
アナロジー、類推 |
あるものを表現する時に、別の喩えで表現する方法。たとえば、ずる賢
く、執念深いことを(直喩でも隠喩でも人は)「蛇」に喩えるが、そのような思考法は、その文化が蛇をそのような動物であると社会的・文化的に定義している
からである(=現実の蛇の行動やその行動を支える動機が実際のものとは異なることも多い)。 |
スラング |
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パンチライン |
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語彙 |
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言葉遊び |
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Flow |
フロウ |
流れ、曲想の展開のこと。リリック(歌詞)の韻を踏む展開の流れもフロ
ウ(フロー)と呼ぶ。フロウの効果;ライム;ライムのスキーム;リズム。 |
ビート |
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Bar (or Measure) |
小節 |
楽譜にあって、楽譜が読みやすいように適当な長さに区切られた区分のそ
れぞれの単位のこと。 |
音節 |
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Lyric |
リリック |
歌詞。Lyrics
are words that make up a song, usually consisting of verses and
choruses. The writer of lyrics is a
lyricist.=歌詞とは、曲を構成する言葉のことで、通常は詩とコーラスで構成される。歌詞を書く人は作詞家である。 |
休息、ポーズ、休み |
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Rhyme |
ライム、韻 |
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Rhythm |
リズム |
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Research |
リサーチ、研究 |
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Verse |
バース、詩 |
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ゴーストライティング |
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フリースタイル |
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ボーカル |
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発声、発声法 |
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PAシステム |
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テイク |
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アドリブ |
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a cappella |
アカペラ |
「伴奏なしで」のア・カッペーラというイタリア語による表現。 |
スタジオ |
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ガイド・ボーカル |
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cotents |
コンテンツ・中身 |
中身となる話題について;コンテンツの形態;コンテント・ツール |
writing |
ライティング・作詞 |
ライティングの過程;ビートとフリースタイル;リリックの構築、編集、
選別;ほかの人と一緒に書く |
delivery |
デリバリー・演奏・ライブ |
実際に発声すること、から、演奏やライブ、バトルまで、声をリスナーに
届ける一連の過程。ボーカル・テクニック;スタジオで;ライヴ・パフォーマンス |
hook |
フック |
フックとは、ポピュラー音楽において、曲を魅力的なものにし、「リス
ナーの耳を引く」ために使われる音楽的アイデア、多くの場合、短いリフ、パッセージ、フレーズのことである。この用語は一般的に、ポピュラー音楽、特に
ロック、R&B、ヒップホップ、ダンス、ポップスに当てはまる。これらのジャンルでは、フックはコーラスの中にあるか、コーラスで構成されていることが多い。フックに
はメロディックなものとリズミカルなものがあり、楽曲の主なモチーフが組み込まれていることも多い。 |
★社会病理という嫌なコトバ(Social pathology, a disgusting word)
「社会病理(しゃかいびょうり)と
は社会学用語の一つ。
社会病理というのは社会で発生している異常な出来事であったり、社会において存在している逸脱や支障などの事柄を意味している言葉である。
内閣府の経済社会総合研究所では社会病理の研究が行われており、現代においては自殺、うつ病、ひきこもりなどが研究対象となっている」ウィキペディア日本
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