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シンギュラリティ

しんぎゅらりてぃ  Technological Singularity, Singularity

解説:池田光穂

シンギュラリティ=技術的特異点(Technological Singularity, Singularity)とは、ディープラーニングなどの人工知能 (AI)ネットワークコンピューティングが、人間の知性を超える時期のポ イントのことをさし、しばしば、それにともなうドラスティックな社会変化をも意味する。

英国の 数学者、アーヴィング・ジョン・グッド(アイ・ジェイ= I. Jey, "Jack") (1916-2009)が1965年に書いた論文のなかに、「超高性能マシン」こそが人類の生き残りにかかると託宣めいた論文に書いたことがきっかけであ る。実際にグッドは、2001, Space Odyssey (1968) にコンサルタントとして関わっていた。科学とSFが出会う場所が、ボブ・グッチョーネ創刊による雑誌『オムニ』(Omni, 1978-1995) である。この雑誌において、SF作家、ヴァーナー・ヴィンジが、シンギュラリティ(特異点)と、グッドがいう、計算機による知能爆発を、こう呼んだのであ る。しかし、人口に膾炙した、この特異点のまえに、さらに重要なことがあることを私たちは忘れてはいけない。電子計算機(コンピュータ)の父[=ノイマン 型コンピュータ思想の父と呼ぶべきか]、フォン・ノイマン(Neumann Jáno; John von Neumann, Margittai Neumann János Lajos, Johannes Ludwig von Neumann, 1903-1957)こそが、その用語をつかって、予言めいた発言をしていた。また、ジョン・フォン・ノイマンは、同僚であったスタニスラウ・ウラム(Stanislaw Ulam, 1909-1984) とかつて話している時に、人類は根本的な「シンギュラリティ」に達しており、その後の人間の世は永遠に変わってしまうと予言めいて話し手いたという。 (Ulam, S., 1958. John von Neumann, Bulletin of the American Mathematical Society 64(3, Part.2):1-49.)[→このパラグラフの出典「批判序説」]

しかしながら、近年のでは、この用語は「レイ・カーツワイル(Ray Kurzweil, 1948- ) のものがとりわけ有名である。彼 によれば、「100兆の極端に遅い結合(シナプス)しかない人間の脳の限界を、人間と機械が統合された文明によって超越する」瞬間」が訪れるという、技術 論的救済論(メシア)のことである(ウィキペディア日本語「技術的特異点」「人工知能」 より)。カーツワイルによると、2029年には、あらゆる領域でコンピュータが人間がおこなう能力以上のことができるようになる。そして、2045年まで に、シンギュラリティに達すると予測している。なお、シンギュラリティ論者の中には、カーツワイルの楽観論と、180度異なり、終末がくる——映画『ター ミネイター』のサイバーダイン社のように——というシンギュラリティ悲観論というものもある。

カーツワイルによると、シンギュラ リティにより以下のことが可能になる:1)生物がデザインできる、2)半永久的に寿命が伸ばせる、3)無尽蔵のエネルギーが手に入る、4)国境というもの がなくなる。

他方、シンギュラリティーはリーブスとナスの言う「メディア等式(Media Equation)」におけるコンピュータと人間における法則1〜4(予測)(リーブスとナ ス2001:218)どおり、カーツワイルの単純な錯認であるとの批判も可能である。リーブ スとナスの法則1〜4(予測)は以下のとおり

ICT技術は、カーツワイルによると指数関数的な成長をもたらしつつある、

特異点(シンギュラリティ)論者カーツワイルによる脳がコンピュータと異なる点は以下のように表 される。

脳が(従来の)コンピュータと異 なる点(カーツワイル 2007:175-180

●AI (スカイネット)の反乱としてのシンギュラリティ(→今後は「ターミネイターの時間構造」 で検討する)

電 子計算機の計算能力が人間の能力を超えるというディストピアは、『サイバネティクス』(1948,1961)の作者ノーバート・ウィーナーNorbert Wiener, 1894-1964)が、1950年に出版した, The Human Use of Human Beings. The Riverside Press (Houghton Mifflin Co.)のなかで描かれている。

爾 来、コンピューターの計算能力が進歩して、人間の能力を超えて人間を支配しようとする発想は、人類にとってお馴染みのテーマになる。私はこの機械に支配さ れ る二大サイエンスフィクション映画は「マトリクス」三部作と「ターミネイター」 につきると思う。そのうち、マトリクスは、我々が信じているリアルな世界は 電脳によって支配されている幻影にすぎないというわりとシンプルな主張であるが、ターミネイターは時間構造による復古あるいは反復のアイディアが込められ ている点でより複雑になっていると思う。

ま た核兵器による地球の危機と、その後の「新秩序」の誕生は『Nineteen Eighty-Four: A Novel(1984)』にみられる。

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