十全参加
Full Participation,
解説:池田光穂
状況的学習において、実践共同体=実践コミュニティに参与することを通して学ば れる知識と技能の最終的のプロセスのことを、十全参加(Full Participation, FP)という。
実践コミュニティへの参加は、状況的学習の深度により正統的周辺参加すなわちLPPから十全参加(full participation)に移行すると、モデル化されている。
状況的学習とは、外部表象化された〈知識や技能〉を学習者の内 部に取り込むというメタファー(例:数式が頭に入った。ろくろを上手に回すことを覚えた)で、語ったり理解したりすることのできない学習——これを古典的学習という——への批判あるいは乗り越えるために、人工知能研究者であるジー ン・レイブと人類学者エチエンヌ・ウェンガーの同名の書籍, "Situated Learning"(1991)において主張された言葉である。
正統的周辺参加(LPP)および十全参加が成立するための場ないしは学習を成り立たせる構成主体は、実践共同体(実践コミュニティ)と呼ばれる。
図:実践コミュニティとしての霊媒カルト(正統的周辺参加(LPP)から十全参加(FP)まで
が下から上までのモーメントで示されている)
用語集
【文献】
レイヴとウェンガー著/佐伯胖訳『状況に埋め込まれた学習——正統的周辺参加』産業図書, 1993.
Situated learning : legitimate peripheral participation / Jean Lave, E tienne Wenger. -- (BA13636737) Cambridge [England] ; New York : Cambridge University Press, 1991 138 p. ; 24 cm. -- (Learning in doing : social, cognitive, and compu tational perspectives) -- : hard;: pbk 注記: Bibliography: p. 125-129 ; Includes index ISBN: 0521413087(: hard) ; 0521423740(: pbk) 著者標目: Lave, Jean ; Wenger, Etienne, 1952- 分類: LCC : BF318 ; DC20 : 153.1/54 件名: Learning, Psychology of ; Transfer of training
池田光穂「現場力」(仮想 医療人類学辞典)
附 録 用語集