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アリストテレスと文化相対主義

Aristoteles and Cultural relativism


池田光穂

アリストテレスはその初期の著作『トビカ』(115b, 20-30)において次のように記している。

アリストテレスは、価値概念の相対性について、ある慣習(エトス)を共有する人たちにおいてはな りたち、それは、その人たちがどこにいることよりも、そのような価値観を抱く個人の意識のなかに存在することを指摘している。

トリバロイ人とは、池田康男注解によると、トラキア地方の人々で、「原始的な野蛮さの例として」 しばしば引き合いにだされる人々らしい。

アリストテレスと文化相対主義を論じるのであれば『アテナイ人の国制』について触れる必要がある かもしれない。

エシックス(倫理)が習慣から派生することは『ニコマコス倫理学』の中で主張される。

はるかに後の時代の20世紀、ハンナ・アーレントはこう述べる。

「意 見の形成過程そのものは、誰かが思考したり心をはたらかせる際に、自らの身を置く立場の人々によって規定される。そして、他者の立場に立つために構想力を はたらかせる唯一の条件は、利害関係の無さ、つまり自分自身の私的利害からは下方されていることである」——アーレント『過去との未来の間』引田・齋藤 訳、p.328.、みすず書房、1994年

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