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文化相対主義から政治的相対主義への危ない綱渡りについて

On the dangerous tightrope walk from cultural relativism to political relativism

池田光穂

文化相対主義から政治的相対主義への危ない綱渡りについて/Franz Uri Boas, 1858-1942/ 柳宗悦(やなぎ・むねよし)1889-1961/ Franz Omar Fanon 1925-1961/池田光穂 太田科研研究会 2021.12.11発表/基盤研究(A)「先住民族研究形成に向けた人類学と批判的社会運動を連携する理論の構築」代表者:太田好信・九州大学名誉教授 (20H00048)
結局科学とは、人間存在の——個人のではなく——自分自身やあらゆる物 事に対する感じ方を確立しようとするものであり、したがって科学は、諸々の孤立した存在や集団の特性を排除し、そのことによって永続的な関係を確立しよう とする。こうしたやり方で認識されるのは真理ではない。そうではなくて人間存在が、とくにその存在の舞台となる時代のすべてにおいて、認識されるのだ。と いうことはつまり、一つの亡霊が捏造されるということである。……つまり科学は、種の本質を構成したプロセスをたどりなおすだけであり、その種の本質なる ものは、幾つかの事物に対する信仰を人々に蔓延させ、信仰を共有しない者を排除して破滅の道を歩ませようとするものなのだ——フリードリヒ・ニーチェ(引 用はクロソフスキー2004:268-269)。
以上のような観点[=野蛮としての文化]から、過去への「感情移入」と か、「あるがままの事実」を主張する実証主義は、断固として排撃されることになる。なぜなら、それらは過去の支配者への感情移入であるからだ。より正確に いえば、事実の実証主義は過去の支配者へ感情移入することを通して、現在の支配者へ感情移入し、それをもって現在の社会をあるがままに正当化するのである ——今村仁司『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』2000:114-115.
ストリーライン

1.鶴見俊輔の「知識人の戦争責任」を自分に向けられた批判として考えること
2.柳宗悦は「〜に与ふる書」「〜贈る書」「送る書」を(集合的な)先住民・被植民者・少数民族になぜ乱発してきたのか?(それらに先行する「〜を想ふ」 「〜の見方」などの後に)
3.批判理論がもつ権威主義的ならぬ検事的な性格
4.文化相対主義から政治的相対主義への危ない綱渡り
1.鶴見俊輔の「知識人の戦争責任」を自分に向けられた批判として考え ること

責任論

知識人の戦争責任

チャールズ・ライト・ミルズ
1.鶴見俊輔の「知識人の戦争責任」を自分に向けられた批判として考え ること

・責任からの回避ということばでまとめられる
・知っていながら声をあげなかった
・責任の取り方の原則は「自発性」にある
・責任の取り方の時間性:pre hoc, ad hoc, post hoc.
・コンフォーミズム(順応主義)とそれに抵抗するノンコンフォーミズム
・共産党員(一部)のノンコンフォーミズムに首肯(→戦後の鶴見「転向」に関する組織研究)
知識人の戦争責任
2.柳宗悦は「〜に与ふる書」「〜贈る書」「送る書」を(集合的な)先 住民・被植民者・少数民族になぜ乱発してきたのか?(それらに先行する「〜を想ふ」「〜の見方」などの後に)

物神化する文化

無名の先住民の作品に意匠権を与える

鈴木大拙,あるいは鶏が鳴く前に三度戦争を肯定した覚えはない

1940年の民藝と日本民俗学の課題

日本民芸運動と文化人類学

学術人類館への長い旅

・いやいやながらコロニアリストにされ(父権主義的な文化的植民者としての柳宗悦)——「文化的植民者の眼
2.柳宗悦は「〜に与ふる書」「〜贈る書」「送る書」を(集合的な)先 住民・被植民者・少数民族になぜ乱発してきたのか?(それらに先行する「〜を想ふ」「〜の見方」などの後に)
・柳宗悦批判には、柳宗悦の政治的立ち位置と、民藝運動がもつ美的=非政治的態度の2種類のものがある。
・柳宗悦はコンフォーミストかどうかという審問
・柳宗悦批判(崔のいうコロニアリスト)は、鈴木大拙を批判するブライアン・ビクトリア『禅と戦争』のスタイルに酷似
鈴木大拙,あるいは鶏が鳴く前に三度戦争を肯定した覚えはない
・美的判断は政治的コミットメントに繋がるということをカント『判断力批判』第一部を典拠にして議論を展開したのが、ハンナ・アーレント『カント政治哲学 講義録』である。
3.批判理論がもつ権威主義的ならぬ検事的な性格
3.批判理論がもつ権威主義的ならぬ検事的な性格

【用語法】批判理論という用語(1937)—ホルクハイマー「伝統的理論と批判理論」およびアドルノとの共著『啓蒙の弁証法』(1947)
【その内容】社会哲学の方法論のひとつ;権力構造を明らかにして、それに挑戦する;社会と「文化」のリフレクシブな(=反映と反省)関係について「批判 的」に研究する;社会学と文学批評の研究者に膾炙;社会問題の淵源は個人よりも社会構造をそれを可能にする文化的前提にある;イデオロギー批判では、イデ オロギーは人間解放を阻害する要因であり現象だと主張する。
【批判の批判】社会科学の審級の上位に属するという認識(=認識論的中心主義)を、唯物論的立場から論究することの「矛盾」に無自覚。

批判理論とその実践について
4.文化相対主義から政治的相対主義への危ない綱渡り

左上から時計回りに;ミシェル・ド・モンテーニュ、フランツ・ファノン、ルース・ベネディクト、ガヤトリ・スピバック、ノームチョムスキー、フランシス・ フクヤマ、マシュー・アーノルド
4.文化相対主義から政治的相対主義への危ない綱渡り(今後予定してい る事例研究)

1)文化相対主義から政治相対主義への「移行」を、オクターブ・マンノーニ『植民地化の心理学』とフランツ・ファノンの「思考の人種化」の対比でとらえる ——「植民地状況における心理学」https://navymule9.sakura.ne.jp/000528psy.html

2)いやいやながらコロニアリストにされ(父権主義的な[善意に裏付けられた]文化的植民者としての柳宗悦)——「文化的植民者の眼
https://navymule9.sakura.ne.jp/cultual_colonialist.html


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