はじめによんでください

薬物・人間・社会の実践的比較文化論:ハームリダクション政策を手がかりに

Introduction to the Harm Reduction Policy for Japanese Medical Anthropologists

池田光穂・近藤千春・徐淑子

発 表者らは「ハームリダクション時代の依存症ケア」(科研萌芽:15K13084)という テーマを通して、依存症文化とケアに関する日蘭の比較 研究をおこなっている。本発表では、ハームリダクション政策を、これまでの「離脱回復」と「薬物禁止および健康プロモーション」からなる従来のアプローチ に加えたハームリダクション・アプローチという社会実践の連続体(harm reduction-abstinence continuum)に関する批判的検証をおこなう。この連続体における近年の批判的研究の多くはより洗練された医療化の伸展とソフトな社会統制の強化 (あるいは「寛容」の制度化)と見なされることが多い。だが、私たちは、当事者への質的インタビューを通してリフレクシブな語りがなす当事者を巻き込んだ コミュニティに基づく参加研究(CBPR)の可能性について論じてみたい。

1. ハームリダクションの連続体=離脱と回復の連続体(harm reduction-abstinence continuum)とはなにか?

ハームリダクションとい う発想がうまれる以前の、薬物依存(あるいは濫用)への医学的介入 は、離脱・回復は、薬物を完全に断つこと(drug free)つまり節制/断薬(abstinence)のことであった。しかし、ハームリダクションつまり(利用者と利用者を包摂する社会への双方への)危 害を軽減しようとするハームリダクションというもうひとつの薬物利用者とのつきあい方が生じる。

こ のタイプのハームリダクションは、たとえばかつての注射利用者の集団での回し打ちのよう にHIV感染の温床になっていたことを、個人の利用を推進するために、注射針を無料で交換するようなサービスのことをさしていた。売春利用施設へのコン ドームの無料配布もハームリダクション対応のひとつである。

し かしながら、このようなハームリダクションは、「そもそも注射での薬物利用が違法である のに、注射針を無料で交換するのは、薬物濫用を容認どころか推進するようで道義的に問題だ」という医療者からの抵抗を招くことになる。他方で「従来の薬物 濫用の容認によるHIV感染機会の増大」と「注射針の無料交換による感染機会の減少」を秤にかけて、後者のほうを優先するという現場的なプラグマティズム のほうが、HIVの感染機会を軽減するというより重要な戦略のためには優先されることが次第に認識されてきた。だが、ハームリダクションのシステムは、薬 物利用を容認するために、それまでの回復=断薬というポリシーとは相いれないことも事実であった。

そ れらを克服するのが、21世紀初頭にでてくる統合的アプローチである。ただし、この統合 アプローチは、ハームリダクションと従来の回復=断薬ポリシーの共存であり、両者の関係の整合性という課題は未整理のままであった。

そ れをさらにすすめるのが、Kellog(2003)の漸進主義(gradualism) あるいはハームリダクション=断薬回復の連続体(harm reduction-abstinence continuum)という考え方である。

2. 文化相対主義の問題系

西 洋近代医療側の問題提起:普遍か?特殊か? 【その問いに関する処方箋】批判的アプロー チ

伝 統医療研究側の問題定期:本当に効くのか? 医療そのものではなく《医療的なもの》か? 【その問いに関する処方箋】オリエンタリズム批判アプローチ

3. 「薬物=装置=人間の身体=社会という身体」の連続体(substance- apparatus-human_body-social_body continuum)

4. 当事者がまず第1という参加型研究の可能性

結 論

+++

1. Introduction to the Harm Reduction Policy for Japanese Medical Anthropologists

Mitsuho IKEDA, Chiharu KONDO, and Sookja SUH
2. 梗概

1. ハームリダクションにまつわる説明
2.ハームリダクション vs. 離脱論争
3.医療人類学的含意
4.結論
3.薬物利用者PWUDとは?
人間は薬物を使う動物である。薬物とは病気を 治したり改善したり、心身にさまざまな(積極的な/消極的な)効果を与える物質(substance)のことである。ただしここでいう薬物は、その利用が 禁止されていたり、制限されているものを、公的な約束に反して利用されるものをさす。そのような薬物=ドラッグ・ドラッグス(drugs)を利用する人 (Persons Who Use Drugs, PWUD)には、これまでさまざまな呼称が与えられてきました。ジャンキー、薬物中毒者(たんに中毒者)、薬物依存症者(あるいは「ヤクブツイゾン」=薬 物依存)、ヤクチュウ(薬物中毒者の略語)……それらは、自己卑下したり、その行為を恐ろしいもの、蔑むべき者として、あたかも汚らわしいもの、あるいは 自分の意思の弱い者、医学的治療が必要になる「病人」、それらのいずれもが否定なレッテルです。薬物利用者(PWUD)という用語法をつかうからと言っ て、著者たちは薬物利用を推奨したり容認すべきだと言っているわけではありません。この用語=薬物利用者(PWUD)が、考案されるまでの「その人」たち を指し示す用語があまりにも、その人たちの人格や存在そのものを否定するような、消極的あるいは自虐的な呼称だったからです。「その人たち」と対話し、彼 らが直面してきた危害(ハーム)を回避するための呼称は、あくまでも礼儀ただしくリスペクトするものでなければならないからです。

4.ハームリダクション(harm reduction)

ハーム・リダクションとは、個人ならびに社会 がもたらす危害(ハーム、 harm)を軽減する(リダクション、reduction)ための社会実践のことであり、公衆衛生および社会政策上の概念枠組み・実践モデルのひとつとし て提唱されているもの
5. ゼロ・トレランス、非寛容(zero-tolerance)

薬物の使用と好ましくないと認め、自分のみな らず他者の利用にも非寛容的立場をとること。しばしば、非寛容/断薬(zero- tolerance/abstinence)と断薬とあわせて表現されることが多い。
6. 離脱(abstinence)

アブスティネンス(abstinence)と は、節制・禁欲・禁酒のことで、薬物を一切利用していない状態のこと。薬物利用の場合は「離脱(りだつ)」つまり「クスリ(ドラッグ)」を断っている状態 を維持する個人の方針、ないしは、集団で薬物を利用しないような状況のことをさす。そのため、離脱とは、薬物利用の文脈から離れること、すなわち離脱であ り、医療者の側からみると薬を断っている状態なので、断薬*(だんやく)状態とも表現される。*対応英語なし
7. 再使用(relapse)

リラプスは、疾病概念の説明においては再発 (relapse)のことをさす。しかし、薬物利用の文脈のなかでは、離脱(abstinence)した状態をやめ、再び、薬物を習慣的に利用するように なる状態を、リラプスあるいは再使用と読んでいる。
8. 共感的プラグマティズム (compassionate pragmatism)

アラン・マーラット(1988, 改訂版2011)は、ハーム・リダクションそのものを「共感的プラグマティズム」だと指摘する。なぜなら、薬物利用者とそのコミュニティにふりかかる危険 性を防止する方法を通して、薬物利用者がまずプラグマティクに受容することからはじまることがハームリダクションだという(Tatarsky & Marlatt 2010:117)。
9. ハーム・リダクション連続体 (harm reduction continuum)

Suh & Ikeda (2015) は同名の用語が入った論考のなかで、Kellogg (2003)を引用した。連続体の含意は、harm reduction - abstinence continuum つまり、ハームリダクション(施策)と断薬(施策)の間には、どちらか一方——日本でのハームリダクションへの誤解の最大のものは「ハームリダクション施 策と断薬施策は、麻薬の寛容政策とゼロトレランス政策が対立(Kellogg (2003)は相互排除と表現)するように、日本ではハームリダクションは受け入れられない」というものである——のアレかコレかの二者択一ではなく、そ れらの間の連続体にすぎないというものである。徐・池田・近藤(印刷中)は、オランダのハームリダクション政策とその現状を紹介するなかで、(寛容政策で 断薬政策がないと思われている)オランダでも断薬を希望するユーザーには、医療資源をきちんと導入できるような制度的枠組みが歴史的にあり、オランダにお いても「ハームリダクションと断薬政策の連続体(harm reduction - abstinence continuum)」があることを指摘した。
Harm reduction-Abstinence Continuum
10.
Harm Reduction-Abstinence Continuum
11. What is Harm reduction?

"Harm reduction has been called ‘‘compassionate pragmatism’’ (Marlatt, 1998) because it begins with the pragmatic acceptance that people are and will use drugs in ways that pose threats to themselves and their communities." - Tatarsky A., and G. Allan Marlatt, 2010. State of the Art in Harm Reduction Psychotherapy: An Emerging Treatment for Substance Misuse. JOURNAL OF CLINICAL PSYCHOLOGY: IN SESSION, Vol. 66(2), 117--122 (2010).
12. 医療人類学的含意

科学研究費補助金の申請書(健康科学とその関 連領域)から:
「この研究は、高齢者の自殺や安楽死が問題に なっている社会がその解決法や政策を模索する時に、比較文化論を使うことが、どのような影響を与えているのかについて考察することを目的とする。現在、高 齢者政策の健全な推進にとって、高齢者の民族誌資料が客観的かつ有効な参照資料として機能するために「社会科学としての老年学」の位置づけにおいて提案を おこなうこと必要とされている。しかしながら比較文化の資料が有効に機能していないのが現状である。本研究は健康科学や老年学というものは「問題に基づく 科学(PBSs)」としての構成されることをめざす。世界のさまざまな民族誌資料を、我が国の高齢者問題を考えるために活用するための教育的文脈の整理を おこなうことが急務である」。
13. 結論

1.医療人類学は、人間の健康や病気にまつわ る現象を文化人類学と医学の両方の複眼的観点から明らかにするために出発した。
2.文化人類学は蝶々集めの「比較文化論」と 「誇大妄想的理論」の2つ振幅をゆらいでいる間に学問のアイデンティティ——研究対象との同一化を通して認識論/存在論の変容を経験し世界の多義性を明ら かにすること——を失った。端的に言うと「対象のことを夢中に語っているいうちに眼の前の対象が生身の人間であることを忘れてしまった」
3.医学はバイオメディシンの原理に嵌まって しまい「患者のことを夢中に調べているうちに眼の前の対象が生身の人間であることを忘れてしまった」
4.文化人類学と医学が見落としていた視座 「私たちは眼の前にいる生身の人間とつきあっている」を復権するのが医療人類学の責務である。
14. The Great Debate

April 6th, 2001, at a conference entitled, ‘‘The Great Debate: Abstinence vs. Harm Reduction in Addiction Treatment’’ that was held at The New School University. が重要な議論です。
僕は、1978年アルマアタ宣言のPHCを世 界の保健の現場に実装した時に生じた、選択的 vs. 包括的PHC論争(拙著『実践の医療人類学』に解説)のことを思い出しました。
文化人類学も医学も、そして医療人類学もまた 「問題にもとづく科学」であることを《思い出すこと!》これが重要、行動はこの問題を解法するために、私たちがひねり出すものです。
大義のために、がんばるわけです。俺たちは、 チェ・ゲバラになれるかも……
15. Para memoria de tí, a Che...

■ 依存物質別のリスク相対表(ウィキコモンズより)

依存症専門の精神科医による、乱用薬物の有害性についての投票による、有害性の依存性の 「心証」による評価

☆参照:2024年11月アメリカ人類学会での予稿集

1789 Can Harm Reduction as a Praxis of Political Love Survive Professionalization?
11/20/2024 12:45 PM-02:15 PM
TCC 115
Oral Presentation Session
1789 政治的愛の実践としてのハームリダクションは専門化に耐えうるか?
2024年11月20日 午後12時45分〜午後02時15分
TCC 115
口頭発表セッション
In the context of enduring mass casualties from drug overdose, harm reduction is increasingly gaining recognition as an alternative approach to punitive drug war policies. While this appears to be a straightforward public good, the on-the-ground ways in which harm reduction is currently implemented, understood, practiced, funded, and evaluated are evolving, and often moving away from its roots in mutual aid and social justice. While some harm reduction organizations operate as grassroots praxis driven by people who use drugs, in other contexts it is being professionalized within non-profit and medical institutions, while certain interventions (e.g., naloxone, an overdose reversal medication) are being outsourced to police and treatment centers who now also claim to do harm reduction (Szalavitz 2021; Campbell 2020; Vakharia 2024). Even amidst such expanding notions of harm reduction, and despite decades of scientific evidence attesting to its public health effectiveness, antagonistic local, state, and federal policies continue to codify an uneven landscape of harm reduction that altogether denies many communities access to services (Syvertsen & Pollini 2020). Taking seriously a conceptualization of harm reduction as a form of political love and praxis centering compassionate care, this panel brings together empirical analysis and theoretical insights from anthropologists working in harm reduction to critically reflect on the impacts and implications of its evolving practice. Questions that participants think through include: What do Black feminist, Indigenous, queer, and spiritual perspectives teach us about harm reduction? What are the most effective ways to ensure that policies and services remain true to whom they serve? What is the role of anthropological research in supporting policies and programs? How should we respond when the police insert themselves into harm reduction policymaking and spaces? And finally, can harm reduction remain a form of political resistance and praxis, or is it time to imagine alternatives? 薬物の過剰摂取による多数の死傷者が後を絶たない状況において、薬物撲滅政策に対する代替策として、ハームリダクション(害の軽減)が徐々に認知されつつ あります。一見、これは明白な公共の利益のように思われますが、ハームリダクションの実際の実施、理解、実践、資金調達、評価の方法については進化を遂げ ている一方で、相互扶助や社会正義というそのルーツから離れていく傾向も見られます。薬物使用者自身が運営する草の根の実践として活動しているハームリダ クション団体がある一方で、他の文脈では、非営利団体や医療機関内で専門化が進んでいる。また、特定の介入策(例:過剰摂取を回復させる薬物であるナロキ ソン)は、警察や治療センターに外注され、今ではそれらの機関もハームリダクションを実施していると主張している(Szalavitz 2021; Campbell 2020; Vakharia 2024)。このような拡大するハームリダクションの概念があるにもかかわらず、その公衆衛生上の有効性を証明する数十年にわたる科学的証拠があるにもか かわらず、地域、州、連邦政府の対立する政策は、多くのコミュニティがサービスへのアクセスを完全に否定する不均一なハームリダクションの体系化を継続し ている(Syvertsen & Pollini 2020)。本パネルでは、思いやりあるケアを軸とした政治的愛と実践の一形態としてのハームリダクションの概念化を真剣に受け止め、ハームリダクション に従事する人類学者による実証的分析と理論的洞察を統合し、進化するその実践の影響と意味合いを批判的に考察します。参加者が考察する質問には以下のよう なものがあります。 ブラックフェミニスト、先住民、クィア、スピリチュアルな視点は、ハームリダクションについて何を教えてくれるのか? 政策やサービスが対象者に忠実であり続けることを保証する最も効果的な方法は何か? 政策やプログラムを支援する人類学的研究の役割とは何か? 警察がハームリダクションの政策立案や現場に介入してきた場合、私たちはどのように対応すべきか?最後に、害の軽減は政治的な抵抗と実践の形態であり続け ることができるのか、それとも代替案を考える時期に来ているのか?
Society for Medical Anthropology
Allison Schlosser, University of Nebraska, Omaha, Department Sociology of Anthropology, Jennifer Syvertsen, University of California, Riverside, Allison Schlosser, University of Nebraska, Omaha, Department Sociology of Anthropology, Keshav Kundassery, UCLA, Lauren Textor, University of California - Los Angeles (UCLA), Department of Anthropology
医療人類学会
アリソン・シュロッサー(ネブラスカ大学オマハ校人類学社会学部)、ジェニファー・シバートセン(カリフォルニア大学リバーサイド校)、アリソン・シュ ロッサー(ネブラスカ大学オマハ校人類学社会学部)、ケシャブ・クンダセリー(カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)人類学部)、ローレン・テク スター(カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)人類学部
Alison Knopf, Szalavitz's harm-reduction history a must-read for the field. https://doi.org/10.1002/adaw.33148

Harm Reduction Framework [pdf]

Campbell 2020, Harm Reduction Research and Social Justice: Working Naloxone into Public Health USA. https://doi.org/10.7551/mitpress/12054.003.0010


 Sheila P. Vakharia, 2024. The Harm Reduction Gap. Routledge. 978-1032294735

This long-awaited book teaches how harm reduction can be a safety net for people with substance use disorders that our current addiction treatment rejects, abandons, and leaves behind.

Harm reduction is an approach to helping people who engage in high-risk activities to develop the skills and strategies to keep them and their communities safe. This can include the provision of sterile equipment, low-threshold and low-barrier care, and the acceptance of non-abstinence goals in treatment. In this novel guide, Dr. Vakharia discusses the shortcomings of the dominant “Just Say No” drug prevention messages and abstinence-only treatment approaches, introduces harm reduction strategies and technologies borne from people who use drugs themselves, and suggests various policy options available as alternatives to the current policies that criminalize drugs, drug-using equipment, and the settings in which people use drugs. The final chapter calls on the reader to destigmatize drug use and support efforts to reform our drug policies.

By highlighting the large gap in our current approach to substance use – the harm reduction gap – this book is the first step for those interested in learning more about the limitations of our current approach to drug use and how to support local efforts to ensure people who use drugs and their communities can stay safe.
 Sheila P. Vakharia, 2024. The Harm Reduction Gap. Routledge. 978-1032294735

この待望の著書は、現在の薬物中毒治療が拒絶し、見捨て、取り残している薬物使用障害を持つ人々にとって、ハームリダクションがどのようなセーフティネットとなり得るかを教える。

ハームリダクションとは、危険度の高い行動を取る人々を支援し、彼ら自身と彼らのコミュニティの安全を確保するためのスキルと戦略を開発させるアプローチ である。これには、滅菌器具の提供、敷居の低いケア、治療における非禁断治療目標の受け入れなどが含まれる。この新しいガイドの中で、ヴァカリア博士は、 支配的な「ノーと言うだけ」という薬物防止メッセージと禁欲主義的治療アプローチの欠点を論じ、薬物使用者自身が生み出した害削減戦略と技術を紹介し、薬 物、薬物使用器具、薬物使用環境を犯罪化する現行の政策に代わるさまざまな政策オプションを提案している。最終章では、薬物使用に対する偏見をなくし、薬 物政策の改革に向けた取り組みを支援するよう読者に呼びかけている。

薬物使用に対する現在のアプローチにおける大きなギャップ、すなわち「害の低減ギャップ」を浮き彫りにすることで、本書は、薬物使用に対する現在のアプ ローチの限界と、薬物使用者とそのコミュニティが安全を確保できるようにするための地域レベルの取り組みを支援する方法について、より深く学びたいと考え る人々にとっての第一歩となる。
Jennifer L Syvertsen 1, Robin A Pollini, Syringe access and health harms: Characterizing "landscapes of antagonism" in California's Central Valley. 2020 Jan:75:102594. doi: 10.1016/j.drugpo.2019.10.018. Epub 2019 Nov 24.

Abstract
Background: Sterile syringe access reduces injection-related health harms, yet access in the U.S. remains grossly inadequate. In California, syringe services programs (SSPs) are authorized mainly at the local level, and many communities remain underserved. State law also allows, but does not require, non-prescription syringe sales at pharmacies, but participation is low. We draw on the theoretical concept of "landscapes of antagonism" to examine how discordance between state and local decision-making contributes to uneven syringe access and health harms in California's Central Valley, where injection rates are high.

Methods: Our study took place in Fresno and Kern counties. We draw on participant observation and qualitative interviews with individuals who inject drugs and key informants to examine issues around syringe access.

Results: Overall, 8 key informants represented harm reduction, medical, and faith-based organizations. Among 46 people who inject drugs, mean age was 39 (range: 20-65), 37% were female, and 37% self-identified as Latino. About half of individuals at each site had ever successfully purchased from pharmacies, but limited locations and perceived judgement from pharmacy staff posed common barriers. There was no SSP in Kern County due to political opposition; Fresno's SSP has been run by volunteers for more than 20 years despite opposition, and recently gained authorization. Reflecting this disparity, all but two individuals in Fresno accessed syringes from the SSP, whereas only one person in Kern had ever been to an SSP. To fill gaps in access in both sites, individuals obtained syringes that were often already used from diabetics, friends, and people on the street, sharing and reusing syringes at dangerously high rates.

Conclusion: Landscapes of antagonism create syringe access inequities that threaten to exacerbate disease transmission and other health harms. Our study raises questions about accountability for the health of people who use drugs and suggests a need for political action.

Keywords: California; Injection drug use; Landscapes of antagonism; Nonprescription pharmacy syringe sales; Syringe access; Syringe services programs.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31775079/
Jennifer L Syvertsen 1, Robin A Pollini, Syringe access and health harms: Characterizing "landscapes of antagonism" in California's Central Valley. 2020 Jan:75:102594. doi: 10.1016/j.drugpo.2019.10.018. Epub 2019 Nov 24.

要旨
背景:注射器の無菌処理サービスを利用することで、注射による健康被害を減らすことができるが、米国では依然としてその利用は著しく不十分である。カリ フォルニア州では、注射器サービスプログラム(SSP)は主に地方レベルで承認されており、多くの地域では依然として十分なサービスが提供されていない。 州法では、薬局での処方箋なしの注射器販売も許可されているが、義務付けられてはいない。しかし、参加率は低い。私たちは、「対立の風景」という理論的概 念を参考に、州と地方の意思決定の食い違いが、注射率の高いカリフォルニア州セントラルバレーにおける注射器へのアクセス格差と健康被害にどのように影響 しているかを検証した。

方法:本研究はフレズノ郡とカーン郡で実施された。注射薬物使用者と主要情報提供者に対する参与観察と質的インタビューを行い、注射器へのアクセスに関する問題を検証した。

結果:全体として、8人の主要情報提供者は、被害削減、医療、および信仰に基づく組織を代表していた。薬物を注射する46人の平均年齢は39歳(範囲: 20~65歳)で、37%が女性、37%がラテン系と自己申告していた。各拠点の約半数の個人が、薬局で注射器を購入した経験があったが、薬局の場所が限 られていることや、薬局スタッフから偏見の目で見られることが共通の障壁となっていた。カーン郡では政治的な反対によりSSPが存在しなかったが、フレズ ノのSSPは20年以上にわたり、反対にもかかわらずボランティアによって運営され、最近になって認可された。この格差を反映して、フレズノでは2名を除 くすべての個人がSSPから注射器を入手していたが、カーンではSSPを利用したことがあるのは1名のみであった。両地域における注射器入手の格差を埋め るため、人々は糖尿病患者や友人、通りがかりの人から、すでに使用済みの注射器を入手し、危険なほど高い割合で注射器を共有したり再利用したりしている。

結論:対立の構図が注射器入手の不公平を生み出し、病気の感染やその他の健康被害を悪化させる恐れがある。本研究は、薬物使用者の健康に対する説明責任について疑問を投げかけ、政治的な行動が必要であることを示唆している。

キーワード:カリフォルニア州、注射薬物使用、対立の構図、処方箋不要薬局での注射器販売、注射器入手、注射器サービスプログラム。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31775079/





The oldest surviving depiction of St. Francis is a fresco near the entrance of the Benedictine abbey of Subiaco, painted between March 1228 and March 1229. He is depicted without the stigmata, but the image is a religious image and not a portrait.

リ ンク

文 献

Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

Do not paste, but [Re]Think our message for all undergraduate students!!!