サステナビリティ時代におけるAIは現時点では人類とは共存不可能です!!!
AI in the age of sustainability cannot
coexist with humanity at this time!
● サ ステナビリティとは?
サ ステナビリティ(ないしはサスティナビリティ sutainability)とは、地球の生命圏と人類文明がダイナミックな調和をもって今後とも持続性していくしくみ、あるいはそれらの持続可能性とい う意味である。
"Sustainability is the ability to exist constantly. In the 21st century, it refers generally to the capacity for the biosphere and human civilization to coexist. It is also defined as the process of people maintaining change in a balanced environment, in which the exploitation of resources, the direction of investments, the orientation of technological development and institutional change are all in harmony and enhance both current and future potential to meet human needs and aspirations" - Sustainability (Wiki).
国連では種々の宣言や提言の承認を通して「未来の世界(具体的には2030年まで)に、17の 持続可能な開発目標(SDGs)を国連に加盟する各国のみならず、地球市民のひとりひとりが具体的に実現しようという提案」をおこなっている。
以上の観点から、世界の状況はサ ステナビリティを17のテーマ群の具体的な課題と解決で考えようとするのが、現代社会(2020年以降)の課題である。
● さ て人工知能(AI)とは?
AIすなわち「人工知能」は、国連がサステナビリティを目標に掲げたものとはべつに、民間の企業や政府系研究機関 や大学などで研究がすすんできたものである。私は、人工知能を文化人類学者の立場から定義し直して、「人 間の知性・知能を計算機によって作り出すこと、作り出された〈実体〉、あるいは、このことに関 する学問分野や実践、さらには欲望などを指す複雑な言葉」 と定義し(なおし)ている。
また、人工知能の能力が、人間の能力を凌駕する時代 を「シンギュラリティ(ないしは技術的特異点)」と呼んで、さまざまな未来社会のあり方 についての提言がおこなわれている。
松 尾 豊監修『AI大図鑑』ニュートンプレス、2020年よりAIに関して言われている議論の「タイプ」を分類整理してみよう。そこでAIがどのよ うに論じられているのか整理するのである。
● 人 工知能(AI)とサステナビリ的の最大の問題は、AI(とくに生成型AI)は膨大な電力を消費することである。
★AI's increasing use
is expected to lead to a significant increase in the amount of
electricity it consumes, which in turn will contribute to global
greenhouse gas emissions: ★ Data center power demand ★ Goldman Sachs Research estimates that data center power consumption from AI will increase by 200 terawatt-hours per year between 2023 and 2030. Barclays Research estimates that data center electricity use could be above 5.5% in 2027 and more than 9% by 2030. ★ AI chip power consumption ★ TechInsights estimates that AI accelerators will consume 2318 TWh of global power between 2025 and 2029, which is 1.5% of global electricity consumption. ★ Individual AI usage ★ A single ChatGPT query requires 2.9 watt-hours of electricity, which is about ten times the electricity of a Google search. ★ AI model training Training AI models consumes a lot of energy because it involves running data through the model thousands of times. ★ AI model inference Once trained, AI models are applied to solve real-world problems, which is the inference phase. Inference takes up the lion's share of an AI model's environmental footprint. ★ Some companies are working to address AI's energy consumption, including Microsoft, which is working to be carbon negative, water positive, and zero waste by 2030. Others are suggesting that companies introduce energy star ratings for AI models, similar to how appliances are rated. |
★AIの利用拡大は、電力消費量の大幅な増加につながり、ひいては世界的
な温室効果ガス排出の一因となることが予想される: ★ データセンターの電力需要 ★ ゴールドマン・サックス・リサーチは、AIによるデータセンターの電力消費量は、2023年から2030年の間に年間200テラワット時増加すると予測し ている。バークレイズ・リサーチは、データセンターの電力使用量は2027年には5.5%を超え、2030年には9%を超える可能性があると予測してい る。 ★ AIチップの電力消費 ★ TechInsightsは、AIアクセラレーターが2025年から2029年の間に世界の電力消費の1.5%に相当する2318TWhを消費すると予測 している。 ★ 個々のAI使用量 ★ ChatGPTのクエリ1回に必要な電力は2.9ワット時で、これはGoogle検索の約10倍に相当する。 ★ AIモデルのトレーニング AIモデルのトレーニングは、データをモデルに何千回も通すことになるため、多くのエネルギーを消費する。 ★ AIモデルの推論 学習されたAIモデルは、実世界の問題を解決するために適用される。推論は、AIモデルの環境フットプリントの大部分を占める。 ★ 2030年までにカーボン・マイナス、ウォーター・プラス、廃棄物ゼロを目指すマイクロソフトなど、AIのエネルギー消費に取り組む企業もある。また、家 電製品の評価方法と同様に、AIモデルにもエネルギースター評価を導入することを提案する企業もある。 |
Google search AI and electric
consumption |
★AI and energy: Will AI help reduce emissions or increase demand? Here's what to know
出典:https://www.weforum.org/stories/2024/07/generative-ai-energy-emissions/
● 人 工知能(AI)について、そのことを何も考えない、AI啓蒙図鑑のご紹介
命題 | 命題のタイプ |
解説やコメント(垂水源之介) |
● AIとは? |
疑問 |
|
1 ほんとうの意味での人工知能は、まだ
実現していない |
言明 |
|
2 AIの研究は過去の2度のブームを経
験する。現在は3度目 |
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3 AI新時代の幕開けをつくったディー
プラーニング |
||
4 人工知能に、まだ確立された定義はな
い |
||
5 AIは社会にどう進出しているか? |
||
6 AIがAI自身を進化させる日、すな
わちシンギュラリティは来るのか? |
||
●● AIの仕組み | ||
1 7 人間よりずっと速い計算ができる
コンピューターの誕生 |
||
2 8 コンピューターの「知能レベル」
を判定する方法 |
||
3 9 コンピューターを「賢く」するた
めの「機械学習」 |
||
4 10 AIは機械学習で「グループ分
け」のしかたを学ぶ |
||
5 11 機械学習には「教師あり学習」
と「教師なし学習」の2種類がある |
||
6 12 「樹形図」をつくって予測する
「決定木」という学習法 |
||
7 13 ニューラルネットワークは脳の
細胞の働きをまねた学習法 |
||
8 14 人工ニューロンのつながりの強
さをくりかえし調整することで賢くなる |
||
9 15 ディープラーニングは、層をた
くさん重ねて特徴をみつけだす |
||
10 16 ディープラーニングが画像の
特徴を見つけ出すしくみ |
||
11 17 重み付けを変えながら、正し
い答えを導きだせるように調整をくわえてゆく |
||
12 18 インターネットの拡大が、
AIを賢くした |
||
13 19「学びすぎ」で猫だと認識でき
なくなる「過学習」 |
||
14 20 正解を与えられない学習で強
くなった人工知能 |
||
15 -- 人間がモノを認識するしくみ
と、コンピューターがモノを認識するしくみ |
(〜の違いを説明する)2つの名詞句のつ
らなり |
|
●●● AIと医療 | ||
1 21 診断から手術、創薬まで、幅広
く活躍するAI |
||
2 22 AIによる画像診断でがん細胞
の見落としを防ぐ |
||
3 23 AIによる高速画像処理で、医
師はリアルタイムで結果がわかる |
||
4 24 先入観のないAIは画像チェッ
ク役に最適 |
||
5 25 医療用AIは学習データに求め
られるのは量より質 |
||
6 26 話し方の特徴からAIが精神疾
患の有無を判定する |
||
7 27 手術の「腕」をAIが客観的に
評価する |
||
8 28 AIで患者ごとに最適な医療を
提供できるようになる |
||
9 29 ウイルス1個を検出できるAI
を使ったセンサー |
||
10 30 薬として使えそうな物質を
AIが提案する |
||
11 31 問診から診断まで、医療現場
で活躍するAI |
||
12 -- AIも錯視図形に騙され
た!!! |
||
●●●● AIと言語コミュニケーション | ||
1 32 AIは言語をすべて数字の組に
置き換えて翻訳する |
「翻訳作用は計算である」の言い換え |
|
2 33 AIは会話や文章の行間を読む
ことができない |
行間とはコンテクストのことである |
|
3 34 音声翻訳は、3つのAIが瞬時
に動いている |
||
4 35 AIと人が会話する |
||
5 36 AIはうまく聞き取れなくて
も、意味から音声を推測する |
||
6 37 スマホが呼びかけにこたえるし
くみ |
||
7 38 雑談ができるAI |
||
8 39 より少ないデータで、多彩な
キャラクターを生み出せる |
||
9 40 AIが人間と同じように会話す
るために必要なこと |
||
▼ AIと自動運転 |
||
1 41 AIは自動運転社の目として威
力を発揮する |
※コンピューターは人間のように見ること
ができない(p.100) |
|
2 42 信号や車が情報のやりとりをす
る協調型の自動運転 |
||
3 43 自動運転の6つのレベル |
||
4 44 自動運転を支える2種類のAI |
||
5 45 人間には不可能な車間距離をと
ることができる |
||
6 46 ドライバーが居眠りをしていな
いかをAIが監視する技術 |
||
7 47 自動運転化は2020年代に加
速する |
||
8 48 自動運転の開発は、すでに実践
段階をむかえている |
||
9 -- 自動運転車の死亡事故はなぜお
こったのか? |
||
▼● さまざまな場所で活躍するAI | ||
1 49 進化をつづける将棋や囲碁の
AI |
||
2 50 教師なし学習で最強となった
AI=アルファゼロ |
||
3 51 販売の現場に浸透するAI |
||
4 52 人事採用にAIにより評価され
る時代が到来(している) |
||
5 53 AIが結婚のパートナーをおす
すめしてくれる |
||
6 54 ビッグデータを解析し株価を予
測するAI |
||
7 55 AIがフェイク動画をつくる、
その嘘を見抜くAI(の堂々巡り) |
||
8 56 サッカー戦術を画像から見抜く |
||
9 57 デジタルゲームの仮想世界を自
在に動き回るAIたち |
||
10 58 道路や橋のひび割れを、人に
かわってAIが点検 |
||
11 59 膨大な実験データを学んだ
AIが、より優れた材料を提案 |
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12 60 AIを使って、隠れた系外惑
星を発見 |
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13 61 AI技術によって目や耳を
もったロボットが登場 |
||
14 -- その映画
(Ex_Machina)物語の結末が、AIとはなにか?を理解するヒントを教えてくれる |
||
▼●● AIの弱点と汎用AI | ||
1 62 AIが社会進出していくために
獲得しなければならない6つの能力 |
1)画像を正確に見分けられる、2)複数
の感覚データを使って特徴をつかむ、3)動作に関する概念を獲得する、4)行動を通じた抽象的な概念を獲得する、5)言葉を理解する、6)知識や常識を獲
得する(pp.150-151)。 |
|
2 63 AIに奪われる仕事、AIに奪
われない仕事 |
||
3 64 AIは適切に考えることが苦手 |
||
4 65 AIの弱点である、シンボルグ
ランディング問題とは?(pp.156-157) |
In cognitive
science and semantics, the symbol grounding problem concerns how it is that words (symbols in general) get
their meanings,[1] and hence is closely related to the
problem of what meaning itself really is. The problem of meaning
is in turn related to the problem of
how it is that mental states are meaningful, hence to the problem of
consciousness: what is the connection between certain physical
systems and the contents of subjective experiences. |
|
5 66 AIが俳句を詠む、AIは創造
性を獲得することができるか |
偽問題のように思える。人間にこそ「創造
性」はあるのか?と。 |
|
6 67 AIには特化型AIと汎用AI
がある |
||
7 68 汎用AIのお手本はヒトの脳で
ある |
||
8 69 AIが現実世界に学ぶための
「身体」 |
反人工知能派がつねに持ち出す「身体」について: H・ドレ
イファス、J・ワイゼンバウム(1976年以降) |
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9 70 AIに心をもたせることは可能
か? |
心は著者たちは、ダニエル・デネットに習
い「理解力」と定義する |
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10 71 汎用AIの実現は、私たち自
身の知能を知ることにもつながる |
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11 -- 汎用AIの判定基準コーヒー
テスト |
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▼●●● AIとの共存 |
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1 72 AIが攻撃されたことに、人間
は気づきにくい |
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2 73 AIに求められる公平性 |
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3 74 プライバシーを守りすぎると
データが活用できない |
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4 75 AIが労働力不足を解消し、科
学の難問に答えを出す未来 |
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5 76 AIが人類の脅威になる2つの
シナリオ |
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6 77 AIの開発に際して守るべき
23の項目 |
アシロマの人工知能23原則. |
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7 -- シンギュラリティを広めたカーツワイル博士の予言 |
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▼●●●● AIと教育 |
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1 78 AIが提案する一人一人におす
すめの学習 |
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2 79 コンピュータ社会で必要になっ
たプログラミング教育 |
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3 80 師匠の技をAIが解析 |
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4 81 読み書きそろばんから、数理・
データサイエンス・AIへ |
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5 82 将来の教育現場で必要とされる
のはAIと融合する教育 |
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● 基本用語集 |
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︎AI/人工知能/ACC︎︎/︎アダプ
ティブ・クルーズ・コントロール/BERT/BMI/CG /e-コマース/GPS/GPT-2/ICT/IoT /LiDAR /NEDO /NICT /アプリ/オープンAI /音声認識/顔認証システム/過学習/画素(ピクセル)/機械学習/協調型/ゲノム医療/コンピューター/実証実験/シナプス/車車間通信/十進法/シン ギュラリティ/技術的特異点/人工ニューロン/スーパーコンピューター/ソフトウェア/チャットボット/ディープラーニング/ドローン/ナレッジグラフ/ 二進法/ニューラルネットワーク/ノード/汎用AI/ビッグデータ/ブラックボックス/プログラミング言語/プログラム/翻訳バンク/モーションキャプ チャー/リテラシー/ |
● サ ステイナビリティと人工知能(AI)との関係とは?
Ricardo Vinuesa et al., The role of artificial intelligence in achieving the Sustainable Development Goals. Nature Communications. 11, Article number: 233 (2020)
"The emergence of artificial intelligence (AI) and its progressively wider impact on many sectors requires an assessment of its effect on the achievement of the Sustainable Development Goals. Using a consensus-based expert elicitation process, we find that AI can enable the accomplishment of 134 targets across all the goals, but it may also inhibit 59 targets. However, current research foci overlook important aspects. The fast development of AI needs to be supported by the necessary regulatory insight and oversight for AI-based technologies to enable sustainable development. Failure to do so could result in gaps in transparency, safety, and ethical standards."
リンク
リンク(SDGs)
リンク(AI関連)
文献
その他の情報