日本語のウィキペディアによると、こうある。「アイデンティティ・ポリティクス(identity
politics、アイデンティティの政治)は、ジェンダー、人種、民族、性的指向、障害などの特定のアイデンティティマイノリティーに基づく集
団の利益を代弁して行う政治活動。外部の多数派には分からない特定の集団独自のアイデンティティ-の数が増える一方、集団の垣根を超えた見解・感情が共有
が急速に失われている。国内外の左派はマルクス主義や社会民主主義の限界が明らかになる中で、新たな主義としてアイデンティティ政治を受け入れた。これ自
体は必要な一方で、格差是正のやり方を考えることよりもエリート内での議論に関心が向かった。そのため、古くからあるマジョリティー抱える問題、アメリカ
ならば白人労働者層の貧困の問題からは注意が逸れ、理性的な対話を脅かしかねないようになった。」(→アイデンティティ・ポリティクス)
●倫理的態度の軸と、リベラル=ポピュリストとリ
バータリアンの軸
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マイケル・ケニー『アイデンティティの政治学』藤原孝ほか訳、日本経済評論社、2005/The politics of identity :
liberal political theory and the dilemmas of difference / Michael
Kenny, Cambridge : Polity , 2004
- 1.アイデンティティの政治の性格とその起源
- 2.自由主義政治理論におけるアイデンティティの政治
- 3.シティズンシップ・公共理性・集合的アイデンティティ
- 4.市民社会とアソシエーションの道徳性
- 5.アイデンティティの政治の公共面
- 6.運動におけるアイデンティティ:社会運動の政治倫理
- 7.自由主義と差異の政治
- 8.自由主義と承認の政治
- 9.結論
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1.アイデンティティの政治の性格とその起源
- 1.1 はじめに
- 1.2 アイデンティティの政治を理解する
- 1.3 アメリカ例外論を超えて
- 1.4 アメリカ合衆国におけるアイデンティティの政治
- 1.5 結び
2.自由主義政治理論におけるアイデンティティの政
治
- 2.1 はじめに
- 2.2 自由主義と集合的アイデンティティの政治
- 2.3 リベラルな自己・再考
- 2.4 キムリッカの多文化主義
- 2.5 自由主義と自己
- 2.6 平等と文化
- 2.7 非選択的なアイデンティティと自由意志に基づくアイデンティティ
- 2.8 自由主義的な政治倫理と集合的アイデンティティの害悪
- 2.9 むすび
3.シティズンシップ・公共理性・集合的アイデン
ティティ
- 3.1 はじめに
- 3.2 市民的徳性への回帰
- 3.3 自由主義と市民的徳への回帰
- 3.4 公共理性とアイデンティティの政治
- 3.5 ロールズの公共理性
- 3.6 公共理性に対する多元主義者からの異議
- 3.7 「友愛:国民性と福祉
- 3,8 シティズンシップと社会的アイデンティティの再考
- 3.9 むすび
4.市民社会とアソシエーションの道徳性
- 4.1 はじめに
- 4.2 シティズンシップ的土壌の掘り起こし
- 4.3 市民社会は衰退しているか
- 4.4 市民社会の解釈
- 4.5 市民性の衰退模様
- 4.6 市民性の衰退を越えて:調和にみるディレンマ
- 4.7 アイデンティティの政治がもつ市民的効果
- 4.8 自己尊重
- 4.9 市民性
- 4.10 むすび
5.アイデンティティの政治の公共面
- 5.1 はじめに
- 5.2 アイデンティティの政治・利益集団・第二次アソシエーション
- 5.3 市民的徳の学校なのか
- 5.4 アソシエーション的多元主義
- 5.5 アソシエーションの自由に伴う困難
- 5.6 現代政治理論における文化的共同体
- 5.7 「ルサンチマン」としてのアイデンティティの政治
- 5.8 むすび
6.運動におけるアイデンティティ:社会運動の政治
倫理
- 6.1 はじめに
- 6.2 社会運動の解釈
- 6.3 アイデンティティの政治の表面的な特徴
- 6.4 集合的アイデンティティの特徴
- 6.5 公共圏とアイデンティティの政治
- 6.6 公共圏でのアイデンティティの政治の実践
- 6.7 むすび
7.自由主義と差異の政治
- 7.1 はじめに
- 7.2 アイリス・ヤングの差異の政治
- 7.3 ヤングの差異の政治をめぐる評価
- 7.4 複数化のエートス:ウィリアム・コノリー
- 7.5 コノリーの差異の自由主義をめぐる評価
- 7.6 むすび
8.自由主義と承認の政治
- 8.1 はじめに
- 8.2 承認をめぐる多様な政治
- 8.3 相互主観性としての承認:チャールズ・テイラー
- 8.4 テイラーの承認の政治の評価
- 8.5 承認と正義:ナンシー・フレイザー
- 8.6 承認と民主化:ジェームズ・タリー
- 8.7 承認、および自尊心の社会的基礎
- 8.8 むすび
9.結論
リンク
文献
- Imagined communities : reflections on the origin and spread of
nationalism / Benedict Anderson, pbk.. - London : Verso , 1983 (Rev.
ed., 1991)
- Mamdani, Mahmood 2001 When Victims Become Killers: Colonialism,
Nativism, and the Genocide in Rwanda. Princeton: Princeton University
Press.
- Jung. Courtney 2008 The Moral Force of lndigenous Politics:
Critical Liberalism and the Zapatistas. Cambridge: Cambridge University
Press.
- United Nations 2007 United Nations Declaration on the Rights of
Indigenous Peoples. A/RES/61/295
その他の情報:【出典】インディオ・メスティソ・ラサ:ラテンアメリカにおける人種的
カテゴリー再考(研究ノート)