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政治経済の人類学的な相対化

The Way we think now, or Anthropological relativization of political economy

(シラバス)


池田光穂

「「経済学」と呼ばれる科学は、もとも と、ある抽象の上に成り立っている。すなわち、人間のあらゆる実践が沈み込んでいる社会秩序から、あ る特定のカテゴリーないし局面を切り離すという抽象である。この沈み込みの諸側面や諸効果については、カール・ポランニー以後、埋め込み (embeddedness)について語る際によく見かけられる。そして、こうした浮き沈みがあるからこそ、もっとも明白かつ厳密な意味において「経済学 的」であるとされる実践をはじめとして、あらゆる実践は、たとえ認識の必要性からそれを別様に取り扱わざるをえない時であっても、マルセル・モース的意味 で「全体的社会的事実」である、と考えなければならないのである」。——ピエール・ブルデュ『住宅市場の社会経済学』(山田悦夫・渡辺純子訳)2000 [=2006:11]

「……思考とはそれぞれの共同体で手 に入れることのできる象徴による形式(言語、美術、神話、理論、儀礼、科学技術、法律、それに例の こざかしい人間が常識と呼ぶ格言、秘訣、偏見、もっともらしい言い伝えなどの総体)の相互伝達の間 そうした象徴形式や共同体の分析は思考を解釈する上で有益であるという以上に題となるわけだから、 その不可欠な要素だということである。この立場からしばしば引き合いに出される研究分野は知識社会 学ということになるが——私に言わせればこの名称はあまりにカント的である——、知識社会学は多様 な意識を社会組織の類型に対応させ、次に後者の奥まった一角からねらいも定めずおおざっぱに前者の ほうに矢を放つものではない。四角い部屋に座って四角い思索にふけっている四角い帽子をかぶった合 理主義者は、スティーブンズも一言うように、ソンブレロ[メキシコの帽子]を試してみるべきだ。知識社 会学とは認識、感情、動機、知覚、想像、記憶……等々をそれ自体として、そしてとりもなおさず社会 事象として考えるということなのである(ギアーツ 1999:267)。——「われわれの思考はいま」『ローカル・ノレッジ』

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授業科目名
基礎人間科学
政治経済の人類学(→「政治人類学」)
Anthropological Study of Politics and Economies
(授業コード: 010477)

担当教員 池田 光穂 非常勤講師
講義題目 政治経済的思考の人類学的な相対化について
授業の
目的・ねらい

授業の計画・内容

 民主主義社会では、個人の諸権利が認め られた上で、社会の将来をその政治に参加する人たちじしんが決定してゆくという仕組みがあります。 他方、自由主義経済というものがあり、財の私的所有を前提にして、その生産・流通・処分という活動になるべく制限をかけない(つまり放任にもとづく)社会 制度が保障されています。つまり政治的民主主義と経済的自由主義は、人間の「幸福の追求」のため基本的条件とされているのです。人類学を学ぶ者として、我 々はその理念一般に関する議論よりも、具体的にどのような形で我々の生活のあり方にこれらの思考が影響を及ぼしているのかについて考えたいと思います。政 治経済というのは、現代の生活を考える上でも根幹であるとしばしば主張されるので、この現象を人類学的に考えるというのは、まさに我々の社会について再帰 的に考えるという意味で、自文化人類学(native anthropology)の実践にほかなりません。

 授業は15コマ2単位相当の集中講義 で、次のようなプログラムで行います。

(1)政治経済思想[再]入門ーー講義を中心とした3コマ

(3)政治経済的思考の人類学研究ーー講 義を中心とした3コマ

(5)「幸福の追求」に関する人類学ーー 講義と学生参加のシンポジウム

キーワーヅ 経済学、経済 人類学、政治経済学、政治人 類学01政治人類学02、ポリティカルエコノミー(political economy)、権利の束(Bundle of rights

教科書 (授業の内容よりも授業での議論の基礎になる知識を提供するもので す)。

参考図書

成績評価

配布資料

●経済学の主要な概念ベスト5

文献

関連リンク

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