先住民調査研究の倫理
Research
Ethics for Collaborative Studies with Indigenous Peoples
La Malinche (椅子に座っているコルテスの傍らに立つマリンチェ(トラスカラの 古写本より))
『研
究』という言葉自体が、先住民の言語の中で最も汚れた言葉の一つである——リンダ・トゥヒワイ・スミス『脱植民地化の方法論:研究と先住民』(1999:
1).——The word itself, 'research', is probably one of the dirtiest words
in the indigenous world's vocabulary(Smith 1999:1 )
■緒言
2007 年9月13日国連総会で採択された「先住民の権利に関する国際連合宣言( (A/RES/61/295)-UNDRIPS)」以降、大学・研究機関、民間機関さらには非先住民(当事者でない人をさす)が、先住民に対しておこなう 研究調査は、介入・非介入に関係なく、研究倫理的関係を取り結ぶことが必要になりました。このページでは、先住民を対象とするあらゆる研 究調査に関する必要不可欠な倫理的基盤について、自分で考え、そして自分で行動するためのガイドです。
■『アイヌ文化環境 保全対策調査』(2003-2005)における、調査倫理の10項目(岩崎 2010:259-260)
1.
地域の人々のプライバシーを守り,伝統文化を尊重しなければならない。 2. 協力者が納得する高度な調査を目指さなければならない。 3. 責任者は調査中の調査員の言動についても,責任を負わなければなればならない。 4. 調査目的,調査費用の出所を明らかにしなければならない。 5. 本人あるいは保護者から事前に以下の事項について承諾書を得なけばならない。 ・ 情報収集手段——録音,ビデオ,写真,文書,その他 ・ 得られた情報の用途に関して(名前,写真,映像,音声等。民具等の写真,作 留の公開・非公開) 6. 承諾を得るために,協力者に不適切な圧力をかける様なことをしない。 7. 調査のいずれの時点でも,協力者は調査協力を中止することが出来る。 8. 協力者との合意事項をふまえ,地域の人々へ知り得た情報を公開しなければならない。 9. 協力者との合意事項をふまえ,報告書等では調査に協力してくれた人に感謝の意をふさわしい形であらわさなければならない。 10. 情報を公開する前に協力者の確認を取らなければならない。 |
【再
掲】
1. 地域の人々のプライバシーを守り,伝統文化を尊重しなければならない。
2. 協力者が納得する高度な調査を目指さなければならない。
3. 責任者は調査中の調査員の言動についても,責任を負わなければなればならない。
4. 調査目的,調査費用の出所を明らかにしなければならない。
5. 本人あるいは保護者から事前に以下の事項について承諾書を得なけばならない。
・ 情報収集手段——録音,ビデオ,写真,文書,その他
・ 得られた情報の用途に関して(名前,写真,映像,音声等。民具等の写真,作 留の公開・非公開)
6. 承諾を得るために,協力者に不適切な圧力をかける様なことをしない。
7. 調査のいずれの時点でも,協力者は調査協力を中止することが出来る。
8. 協力者との合意事項をふまえ,地域の人々へ知り得た情報を公開しなければならない。
9. 協力者との合意事項をふまえ,報告書等では調査に協力してくれた人に感謝の意をふさわしい形であらわさなければならない。
10.
情報を公開する前に協力者の確認を取らなければならない。
■Guidelines for
Ethical Research in Australian Indigenous Studies, 2012
Guidelines for Ethical Research in Australian Indigenous Studies, 2012(オーストラリア先住民研究における倫理的研究のガイドライン)
Guidelines for Ethical
Research in Australian Indigenous Studies,
2012(オーストラリア先住民研究における倫理的研究のガイドライン) 1.個人の多様性をはじめとして、人びとの多様性とユニークさ(かけがえの無さ)を認めることが、根本的なものである。 2.先住民の人たちの自己決定権を明確に認めなければならない。 3.先住民の人たちの無形遺産に関する権利を明確に認めなければならない。 4.先住民の人たちの伝統的知識と伝統的な文化的表現の権利は、尊重され、保護され、維持されなければならない。 5.先住民の知識、実践、そしてイノベーションは、尊重され、保護され、維持されなければならない。 6.相談すること、交渉すること、自由で・優先的で・情報提供にもとづく同意は、先住民と共同した研究調査あるいは先住民についての研究調査の基礎とな る。 7.相談と交渉のための責任は、つねに進行中のものである。 8.相談と交渉は、提案された調査研究についての相互了解を達成されるものでなければならない。 9.交渉は、それぞれの研究調査プロジェクトの実施においては公式な合意がなされるものでなければならない。 10.調査研究のプロジェクトとその過程において、先住民の人たちは、彼/彼女らの技術と経験にふさわしい十全な参加の権利を有する。 11.調査研究に巻き込まれたり、調査研究によって影響をうけるかもしれない先住民の人たちは、調査研究から恩恵を受けるとともに、そこから不利益を被ら ないようにしなければならない。 12.調査研究の結果は、先住民の人たちの必要と利益に応答する具体的ではっきりした結果を吹くんでいなければならない。 13.計画は、調査研究の結果の管理利用とそれへのアクセスについての合意がなされているものでなければならない。 14.調査研究のプロジェクトは、調査研究の倫理的側面についての報告とこれらのガイドラインの遵守のために適切な手続きの仕組みと手順が含まれなければ ならない。 |
【再掲】
1.個人の多様性をはじめとして、人びとの多様性とユニークさ(かけがえの無さ)を認めることが、根本的なものである。
2.先住民の人たちの自己決定権を明確に認めなければならない。
3.先住民の人たちの無形遺産に関する権利を明確に認めなければならない。
4.先住民の人たちの伝統的知識と伝統的な文化的表現の権利は、尊重され、保護され、維持されなければならな い。
5.先住民の知識、実践、そしてイノベーションは、尊重され、保護され、維持されなければならない。
6.相談すること、交渉すること、自由で・優先的で・情報提供にもとづく同意は、先住民と共同した研究調査あるいは先住民についての 研究調査の基礎となる。
7.相談と交渉のための責任は、つねに進行中のものである。
8.相談と交渉は、提案された調査研究についての相互了解を達成されるものでなければならない。
9.交渉は、それぞれの研究調査プロジェクトの実施においては公式な合意がなされるものでなければならない。
10.調査研究のプロジェクトとその過程において、先住民の人たちは、彼/彼女らの技術と経験にふさわしい十全な参加の権利を有す る。
11.調査研究に巻き込まれたり、調査研究によって影響をうけるかもしれない先住民の人たちは、調査研究から 恩恵を受けるとともに、そこから不利益を被らないようにしなければならない。
12.調査研究の結果は、先住民の人たちの必要と利益に応答する具体的ではっきりした 結果を吹くんでいなければならない。
13.計画は、調査研究の結果の管理利用とそれへのアクセスに ついての合意がなされているものでなければならない。
14.調査研究のプロジェクトは、調査研究の倫理的側面についての報告とこれらのガイドラインの遵守のために 適切な手続きの仕組みと手順が含まれなければならない。
Australian Institute of Aboriginal and Torres Strait Islander Studies
さて、一般的な注意として以下のような注意書きがでます。御注意ください。
"Please note: Aboriginal and Torres Strait Islander people
should be aware that this website may contain images, voices or names
of deceased persons in photographs, film, audio recordings or printed
material. Some material may contain terms that reflect authors’ views,
or those of the period in which the item was written or recorded, but
may not be considered appropriate today. These views are not
necessarily the views of AIATSIS. While the information may not reflect
current understanding, it is provided in an historical context."
この語でググってください。あるいは、カナダのヴィクトリア大学(University of Victoria)のホームページから"indigenous studies"で検索をかけてください。pdfがダウンロードできます
■Guidelines for Ethical Research in Australian Indigenous Studies, 2012(組織内閲覧用:要パスワード)GuidlinesEthicalResearch_2012.pdf
■調査参加への依頼同意書(ひな型)パス ワードはかかっていません。下のアイコンからもリンクします:hinagata_GSIND_2018.pdf
●文化的に敏感な素材(ネ イティブ アメリカンのアーカイブ資料のプロトコル, 2007年4月9日より)の扱いに関する「倫理」
Culturally Sensitive
Materials Most archives and libraries hold information of a confidential, sensitive, or sacred nature. The amount of this material may constitute a small percentage of the entire collection. For Native American communities the public release of or access to specialized information or knowledge—gathered with and without informed consent—can cause irreparable harm. Instances abound of misrepresentation and exploitation of sacred and secret information. Each community will understand and use the term “culturally sensitive” differently, although there are broad areas of common agreement for Native Americans about this issue. Privacy rights extend to groups in some situations. The limited right of organizations, governments, and families to associate in confidence may apply to American Indian tribes who wish to minimize or prevent intrusion into their practices. Tribal groups have societies, bands, and clans that may be privileged vis-à-vis information. Archivists and librarians should understand that “the privacy of the information itself may be more paramount.”2 Archives and libraries guidelines for action: Consult with culturally affiliated community representatives to identify those materials that are culturally sensitive and develop procedures for access to and use of those materials.3 Request that researchers obtain clearance from Native American communities before accessing sensitive materials. A tribal community endorsement will strengthen the value of a research publication. In 1991, the Cline Library at Northern Arizona University and the Hopi Tribe agreed that sensitive ceremonial images would not be reproduced (or digitized for Internet access) without written permission from the Hopi Cultural Preservation Office. Access is still provided onsite. Other institutions have comparable policies; some institutions will not provide any access without prior written community authorization. Respect a community’s request to restrict access to and use of materials that describe and represent esoteric, ceremonial, or religious knowledge that is significant to the community. Protecting certain kinds of secret information may be a matter of “national security” for sovereign tribal governments. Review acquisition policies and forms with Native American community representatives in order to share suggestions for culturally responsive restrictions on deeds of gifts with potential donors. Ensure that any restrictions or agreed upon procedures are fully implemented and observed. Refrain from attempting to perform specialized care, such as smudging, offering corn pollen, or a general blessing, for sacred or spiritual items that have been removed from original contexts. Rituals or ceremonies should only be conducted by religious or cultural practitioners. Accommodate the needs of such practitioners (i.e. temporary suspension of a fire suppression system) as local circumstances permit.4 Examples of the kinds of archival materials—both human readable and digital—which may be culturally sensitive from a Native American perspective include: Still and Moving Images (Photographs and Films)/Graphic Art human remains religious or sacred objects ceremonies of any kind burials, funerals archaeological objects (especially if from burials) hospitals, churches, cemeteries, kivas, sacred places Recordings/Transcripts songs, chants music religious practice healing, medicine personal or family information oral histories community histories "myths,” folklore Cartographic Materials sacred sites or areas religious sites or areas village sites, territories, use areas Records/Documents/Ephemera/Grey Literature/Theses and Dissertations/Published Texts personal or family information archaeological data religious materials ethnobotanical materials genealogical data |
文化的に敏感な素材 ほとんどのアーカイブや図書館には、機密、機密、または神聖な性質の情報が保管されています。この資料の量は、コレクション全体のわずかな割合を占める可 能性があります。ネイティブ アメリカンのコミュニティにとって、インフォームド コンセントの有無にかかわらず収集された専門的な情報や知識の公開やアクセスは、取り返しのつかない損害を引き起こす可能性があります。神聖な秘密情報の 虚偽表示や悪用の例は数多くあります。「文化的に敏感」という用語の理解と使用方法はコミュニティごとに異なりますが、この問題についてはネイティブ アメリカンの間で共通の合意が得られる広範な領域があります。 状況によっては、プライバシーの権利がグループにも適用されます。組織、政府、家族が内密に交際するという制限された権利は、自分たちの慣習への侵入を最 小限に抑えたい、または阻止したいアメリカ・インディアンの部族に適用される可能性があります。部族グループには、情報に関して特権を与えられる社会、バ ンド、氏族があります。アーキビストや図書館員は、「情報自体のプライバシーがより重要である可能性がある」ことを理解する必要があります。 2 アーカイブと図書館の行動ガイドライン: 文化的に敏感な資料を特定し、それらの資料へのアクセスと使用のための手順を作成するには、文化的に関連したコミュニティの代表者と相談してください。3 研究者に対し、機密資料にアクセスする前にアメリカ先住民コミュニティから許可を得るように要求します。部族コミュニティの支持は、研究出版物の価値を強 化します。1991年、北アリゾナ大学クライン図書館とホピ族は、ホピ文化保存局からの書面による許可がない限り、機密性の高い儀式画像を複製(またはイ ンターネットアクセス用にデジタル化)しないことに合意した。敷地内では引き続きアクセスが可能です。他の機関も同様のポリシーを持っています。一部の機 関は、事前の書面によるコミュニティの許可がなければアクセスを提供しません。 コミュニティにとって重要な難解、儀式、または宗教的な知識を説明および表現する資料へのアクセスと使用を制限するというコミュニティの要求を尊重しま す。特定の種類の機密情報を保護することは、主権を有する部族政府にとっては「国家安全保障」の問題である可能性があります。 潜在的な寄付者と贈与行為に対する文化的な対応を制限するための提案を共有するために、アメリカ先住民コミュニティの代表者と取得ポリシーとフォームを検 討します。 制限または合意された手順が完全に実施され、遵守されていることを確認してください。 元の文脈から切り離された神聖なアイテムやスピリチュアルなアイテムに対して、スマッジング、トウモロコシ花粉の提供、一般的な祝福などの特別なケアを実 行しようとするのは控えてください。儀式や儀式は、宗教的または文化的実践者によってのみ行われるべきです。地域の状況が許す限り、そのような専門家の ニーズ(消火システムの一時停止など)に対応します。4 ネイティブ アメリカンの観点から文化的にデリケートな可能性がある種類のアーカイブ資料 (人が判読できるものとデジタルの両方) の例は次のとおりです。 静止画・動画(写真・映像)/グラフィックアート 人間の遺体 宗教的または神聖な物品 あらゆる種類の儀式 埋葬、葬儀 考古学的オブジェクト(特に埋葬されたもの) 病院、教会、墓地、キバス、神聖な場所 録音/トランスクリプト 歌、詠唱 音楽 宗教的実践 癒し、薬 個人情報または家族情報 オーラルヒストリー コミュニティの歴史 「神話」、民間伝承 地図資料 神聖な場所や地域 宗教的な場所または地域 村の敷地、領土、使用区域 記録/文書/エフェメラ/灰色文学/論文および論文/出版テキスト 個人情報または家族情報 考古学的データ 宗教資料 民族植物材料 系図データ |
https://www2.nau.edu/libnap-p/protocols.html |
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