研究不正
Scientific misconduct, Research misconduct
研究不正(scientific misconduct, research misconduct)と言われているものは,実験データの改竄(falsify),捏造(fabrication),剽窃(plagiarism),他 の研究からの窃盗(data theft),そして論文共著者としての名義貸し(gift authorship)などから構成されている。
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それぞれについて解説してみよう
1. 実験データの改竄(falsify)
文字通り、実験データを事実とは異なるものとして意
図的に変更を加えて、自分の研究に利するようにデータを操作することである。
2. 捏造(fabrication)
事実に基づくはずである実験データを、全く人工的に 加工してでっちあげることである。そのことにより自分の研究に利するようにデータを捏造することである。
3. 剽窃(plagiarism)
論文引用等の手続きなしに、他者の著作からの文章や 図表などを盗用し、あたかも自分の創作であるようにすることです。(→剽窃について)なお、他人の業績からの引用符や原典を書かない窃盗行為。自分の既発表論文は引用ではなくそのまま流用すると限りなく「自己剽窃」に近くなるので注意します。
4. 他の研究からのデータの窃盗(data theft)
論文引用や、非公開の実験データを、当人たちの承諾
を得ずに(つまり、引用された研究者に敬意を払うことなく)盗むことである。
5. 共著者としての名義貸し(gift authorship)/幽霊著者(Ghost Authorship)
共著者としての名義貸し(gift authorship)とは、実際の論文に貢献していないのに、共著者としての資格をその人にプレゼントすることです。なぜ不正なのか、以下に説明しましょう。論文の著者は、実際に実験に参加したり、当事者とし ての著述に携わったり、論文という共同制作の行為に関わった人だけが《著者》として名乗ることができます。研究費を取ってきて、共同研究者に配分しても、 研究に全くかかわらない人は、言葉の正しい意味での共著者になることができません。とりわけ、名義貸しの禁止は、従来の日本の考え方よりも厳しく考えるように なってきたのがグローバルスタンダートで、今日では常識(良識)化しつつあります。
幽霊著者(Ghost Authorship)とは、名義貸しや次に述べる「名声を利用した名義借り(honorary authorship)」 のように、実際に著述に関わらない、倫理的に全く無責任な著者のことです。以前、私は、学術雑誌の編集長を務めたことがありますが、投稿されてきた共著論 文の内容があまりにも酷く、その最後の(著名な)著者が私の知人であったために、直接照会し、実際に論文に関わったのかどうかを調べたことがあります。具 体的にその後の対処については、守秘義務もあるので、多くは語れませんが、その知人には(今後は重大な倫理違反になりえる可能性があるので)厳しく対処す るようにアドバイスしました。
「だれが論文著者(クレジット)として掲載されるか」を参照のこと!
6. 名声を利用した名義借り、あるいは名誉著者(honorary authorship)
幽霊著者(Ghost Authorship)——実際に著述に関わらない、倫理的に全く無責任な著者のこと——の一種ですが、著者のなかに著名な学者を「招待」することで、査 読過程を有利にすすめようとするかなりグレイな不正です。近年の共著論文では、複数の著者の投稿の場合は、論文中ないしは脚注の中に役割分担に関する記載 をすることになり、仮に、名誉として著者として招待されても、〈論文の完成に実質的に貢献〉しない限り、著者とは認めないようになってきました。また、共 著の中にセレブリティが入ることで、逆に厳しく査読されることもあり、名誉著者性(honorary authorship)とは実際には不名誉な著者性(dishonourable authorship)にもなりかねません。
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また、米国の研究公正局(The Office of Research Integrity)では、研究不正(Research Misconduct)を、ねつ造(捏造:Fabrication)、改ざん(改竄:Falsification)、ひょうせつ(剽窃: Plagiarism )、「悪意のない誤り(honest error)ないしは意見の違いや齟齬(differences of opinion)を含めない研究上の不正」の4つを分類している。【Definition of Research Misconduct, by ORI】
a. ねつ造
(a) Fabrication is making up data or results and recording or reporting them.
b. 改ざん
(b) Falsification is
manipulating research materials, equipment, or processes, or changing
or omitting data or results such that the research is not accurately
represented in the research record.
c. ひょう窃
(c) Plagiarism is the appropriation of another person's ideas, processes, results, or words without giving appropriate credit.
d. 「悪意のない誤りないしは意見の違いや齟齬を含めない研究上の不正」
(d) Research misconduct does not include honest error or differences of opinion.
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●研究不正がおこる二大要因(Motivation to commit scientific misconduct)(Scientific misconduct, by Wiki.より)
1)キャリアへのプレッシャー(Career pressure)
"Science is still a
very strongly career-driven discipline. Scientists depend on a good
reputation to receive ongoing support and funding, and a good
reputation relies largely on the publication of high-profile scientific
papers. Hence, there is a strong imperative to "publish or perish".
Clearly, this may motivate desperate (or fame-hungry) scientists to
fabricate results."- Motivation to commit scientific misconduct.
2)安易な不正行為に流されること(Ease of fabrication)
"In many scientific
fields, results are often difficult to reproduce accurately, being
obscured by noise, artifacts, and other extraneous data. That means
that even if a scientist does falsify data, they can expect to get away
with it – or at least claim innocence if their results conflict with
others in the same field. There are no "scientific police" who are
trained to fight scientific crimes; all investigations are made by
experts in science but amateurs in dealing with criminals. It is
relatively easy to cheat although difficult to know exactly how many
scientists fabricate data"- Motivation to commit scientific misconduct.
●白楽ロックビル先生の「研究倫理(ネカト、研究規範)」(日本最大の情報サイト)
研究不正者の「論文取り下げ」世界ランキング——不幸なことに日本の研究は上位ランクに位置づけられています。決して他人事ではありません!!!!(最新情報はTW「白楽ロックビル」先生で)
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しかしながら,研究不正について,私は科学者の常識 以上に不正の範囲を広くとって考えている。私が考え る,広義の研究不正は,上の通常の定義のものに加えて,研究費の流用,すなわち公的研究費の目的外使用,不正流用,伝票の預け替えという,経理上の不正, カラ出張などや,社会的に認められた研究者としての資質を疑う行為をもふくめた〈研究生活にまつわる不正・不道徳〉(scientist misconduct)をも研究不正の範囲に含めて考えている。
したがって、研究不正の反対の意味である研究公正と
は、(1)組織の研究者としての倫理規範(コンプライアンス)と、(2)研究
専門職の行動規範の遵守(研究倫理)という側面がある。
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文献
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