池田光穂
協働術A(2017)/協働術A:ネオ・アクションリサーチの探究(2018)の授業計画から「この
授業は、ネオ・アク
ションリサーチについて、考えます。このリ
サーチがもた
らす最終的な
成果とはなにかについて考えます。この授業は新しいネオ・アクションリサーチをさまざまな角度から考察することを目標にします。このことを実現するため
に、解説つきで 基本文献であるドン・タプスコットとアントニー・ウィリアムズ『マクロ
ウィキノミクス
:
フラット化・オープン化・ネットワーク化する社会をいかに生きるか』を読みます」
"Le long titre proposé signifie d'abord que l'université moderne devrait être sans condition. Par
« université moderne », entendons celle dont le
modèle européen, après une histoire médiévale
riche et complexe, est devenu prévalent, c'est-à-dire
« classique », depuis deux siècles, dans des États de
type démocratique. Cette université exige et devrait
se voir reconnaître en principe, outre ce qu'on
appelle la liberté académique, une liberté inconditionnelle de questionnement et de proposition,
voire, plus encore, le droit de dire publiquement tout ce qu'exigent une recherche, un savoir et une
pensée de la vérité. Si énigmatique qu'elle demeure,
la référence à la vérité, paraît assez fondamentale
pour se trouver, avec la lumière (Lux), sur les
insignes symboliques de plus d'une université."
■ スタンフォード・ビジネス・スクールのソーシャル・イノベーションの学習モデル
([Defining Social Innovation, by the
Center for Social Innovation]より)
その学習モデルは、3つの柱からなっている;1)課
題を理解する(Understanding Issues)、2)技法とフレームワークをマスターする(Mastering Skills and
Frameworks)、3)実践を通して学ぶ(Learning by doing): Teaching & Curriculum, より
■ 独学のススメ(あ
るいは野口学習理論に関するチップス)【冒
頭に戻ります】
僕は大学完全不要論者
ではないものの「大学は概ね不要論者」であることは変わりありません。
その理由は、大学で勉
強できることの8割は独学でできることにあります。
野口先生流の独学の
テーゼをまとめると次のようになります。(数字)は野口悠紀雄『「超」独
学法』のベージです。
- □ 独学は難しいという自分の思い込みから自由になること。
- □ 独学には才能の有無は関係ない
- □ 独学は受け身ではなく「なにかを引き出す(=プル)」ことだ
- □ 独学は必要なことを重点的に勉強できる
- □ 独学は楽しい
- □ ICTの発達が独学を変えた!
- □ 独学にも欠点がある
- □ 大げさに考えずに前にすすもう
- □ スタートしてから《準備する》という逆転の発想
- □ 独学の敵と思われ
るようなものを味方にする(40)
- □ 権威にめげない
- □ 自由な立場で新しい発想を!
- □ 新しい時代への期待
- □ その分野を征服しようと考えずに「シグナル」を得ようとする(78)
- □ 教師と学生の間は確実に狭まっている(81)
- □ 大学での勉強の意義とは「大学の勉強とはこの程度だ」と見極めることである(84)
- □ 日本には実力獲得のための勉強法のトレーニングが欠けている
- □ 技術進歩がつづくとディスラプター(これまでの価値観をぶち壊す者)が登場する(93)
- □ 変化はチャンスを招来する
- □ 組織人ではなく、市場価値のある人間になりましょう
- □ 経営者ですら自己投資が重要である、いわんや従業員をや!
- □ 人生100年時代は、いつまでも勉強をつづける時代
- □ いまやフリーランサーの時代(101)
- □ 起業やフリーランスが容易になる時代の到来
- □ 兼業や副業で準備し、定年後にフリーランサーに
- □ 兼業をみとめる会社は増えている
- □ ネットを経由したサービス
- □ 教育のビジネス化(これが野口理論の魅力のひとつでもある)
- □ 教室にいくのは効率が悪い
- □ 独学に容易な分野とそうでない分野がある
- □ メディア(印刷術/ICT)の発達で、それまでの教育制度(徒弟制/学校)は崩壊する
- □ 大学の効用は人事交流(124)
- □
ムークス(MOCs;Massive Open Online
Courses)のやり方:1週間で視聴する授業は5-10本、10分程度の動画で、見終わると確認のための小テスト。1週間終わると課題が提示され期間
内に提出する。これを4週間くりかして、合格したら修了書が発行される。
- □ 独学の(提供する側の)問題は、カリキュラム作成が難しいということだ。
- □ 継続のための4つのチップス:1)はっきりした目的をもつ、2)強いインセンティブ、3)勉強のたの
しさを活用する、4)時間の確保。
- □ できることとできないことを見極める(135)
- □ 長期目標のみらず中期目標も定める
- □ インセンティブの基本は向上心である(138)
- □ 勉強して地位の向上する社会は健全
- □ 自分を勉強に強いるような環境をつくる
- □ 好奇心こそ勉強の推進力
- □ 知識がないと興味がわかない
- □ 知識を増やしたければ(逆説的だが)教えることである
- □ ブログで発信する(148)
- □ 忙しくても時間は見いだせる
- □ 無駄なことは切り捨てる
- □ 日常生活を見直そう
- □ 通勤電車内は独学の環境
- □ 独学の最大の問題は(自分に課す)カリキュラムの問題(156)
- □ 過去問や教科書でカリキュラムを作る(158)
- □ 問題を探すことの重要性
- □ 重要なことは全体の2割(161)
- □ Crucial(大切な)ことを教えてくれるのがよい教師(162)[Crucial は
Trivial(些細・瑣末)の反対語]
- □ 一歩一歩ではなく高いところを目指す
- □ バイパスすることも考える(そちらが正解であることもある)
- □ 本を選ぶ
- □ どこを読めばよいかを考える
- □ 本に書き込みをする(もちろん自分の所有物にのみ)
- □ どんな仕事でも英語が必要
- □ 言葉を独学で学んでいる子供(子供もまた独学する)
- □ ビジネス英語には専門語の理解が必須——英会話学校ではそれを教えぬ
- □ 丸暗記も悪くない(180)——僕(池田)は丸暗記が苦手なので、学生には音読をすすめることが多い
- □ 聞くことは重要
- □ 正確な英語を書くのは難しい——英文校正サービスにアウトソースするのは意味がある
- □ インターネットに音源を見出す
- □ (英語等の)専門用語を学ぶには、興味のある分野から
- □ (外国語は)日本語に翻訳して理解しようとしない
- □ 外国語を学ぶ時間は4,000時間。それを通勤時間で換算すると約2年間
- □ ビジネス英語は、独学でしか学べない(198)
- □ (ネット)検索の前に、何を知るべきかをはっきりさせる
- □ わからないことを検索で調べるという「態度」を習慣づける(201)
- □ 情報は自分で探す
- □ 検索は、体系を知ることなく知識を得られる
- □ 逆向き勉強法——部分から全体に——で効率化する
- □ より深く検索したいときには、検索語を含む疑問文を入力する——検索エンジンのAIの仕事を利用さえ
ていただく
- □ 関連語を羅列して入力することを通して「検索語」を知らずして、検索語を探索することができる
- □ 検索の落とし穴のひとつ、信頼性の欠如
- □ 検索の落とし穴のふたつ、体系性の欠如
- □ AIが人間的な知的な仕事を代替する
- □ ブロックチェーンが経営者の仕事(の一部?)を代替する(221)
- □ セマンティク(意味論的)検索への期待(222)
- □ Learning is Earning
を利用する(ブロックチェーンに個人の学習履歴を記録する)(225)
- □ なにが人間の仕事か、人間は何をする存在かを考えよ(=機械、AIとの対比において)
- □ AIの時代にこそ、問題意識の重要性はますます高まる
- □ AIの時代でも、外国語の勉強は必要であり重要(229)
- □ アイディアと知識は、車の両輪——野口先生ことばではなく僕のことば(230)
- □【最後のチップス】AIは疑問をもつことができるか?(231)
文献:野口悠紀雄
『「超」独学法』角川新書、2018年
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文献
- タプスコット、ドンとアンソニー・ウィリアムズ
(2013)『マクロウィキノミクス:フラット化・オープン化・ネットワーク化する社会を
いかに生きるか』夏目大訳,東京:ディスカヴァー・トゥエンティワン/Macrowikinomics : rebooting business
and the world,Don Tapscott and Anthony D. Williams,Portfolio/Penguin
2010
- 人間はガジェットではない : IT革命の変質とヒトの尊厳に関する提言 / ジャロン・ラニアー著 ; 井口耕二訳, 早川書房
(2010)/ Jaron
Lanier, You are not a gadget : a manifesto. Penguin 2011 Penguin
books,
- (なんでも自由にやらせるべきだ、という反論としての歴史的資料)ケインズ「自由放任の終焉」『ケインズ 貨幣改革論/若き日の信条』宮
崎義一・中内恒夫訳、Pp.343-88, 中央公論新社、2005年
- 条件なき大学 / ジャック・デリダ著 ; 西山雄二訳、 月曜社 , 2008年/ J.
Derrida, L'université sans condition. Galilée , 2001
その他の情報