はじめによんでください

マヤ・ポピュラー音楽とラテン・西洋音楽

Musica Latinoamericana  popular chapina con la aceptación de la musica occidental en Guatemala : una discusión sobre las influencias afro-musicales

Por Nanako Sarah TAKI y Mitzub'ixi Quq Chi'j

☆ 【結論】わたしたちは日ごろ何気なく、バッハやショパンなどの西洋音楽、ジャズ、ロック、ラップやヒップホップなどに触れている。しかし、その音色には裏付けがあることをこの発表では、実演を通して、皆さんと共有することを試みました!

︎★【関連ページ】グアテマラの音楽▶︎アフロ-カリビアン音楽▶︎︎サルサ音楽︎ラテン・ヒップ・ポップレゲトン︎︎▶︎レゲトンとデムボウ音楽とナショナリズム︎︎▶︎ヌエバ・カンシオンラテンアメリカという概念︎︎文化がもたらす美的機能︎▶カリブ海・カリブ海地方︎︎▶

マヤ・ポピュラー音楽とラテン・西洋音楽
Musica Latinoamericana  popular chapina con la aceptación de la musica occidental en Guatemala : una discusión sobre las influencias afro-musicales

Por Nanako Sarah TAKI y Mitzub'ixi Quq Chi'j

Flor de Monja Blanca

「マヤ・ポピュラー音楽と西洋音楽」のタイトルのもとで、講演とピアノの演奏をおこないました。
 講演でとりあげたテーマは私が長く専門として調査を続けてきました、中米グアテマラ共和国のマヤ系先住民のケクチの人たちの伝統音楽を皮切りに、グアテ マラの国民的楽器ともいうべきマリンバそして、若者に大変人気のあるヒップホップ音楽であるレゲトンの受容へといたる道筋へと至るもので、その内容はみな さまに感じ取っていただけるために映像と動画が中心になりました。また最後は、数え上げてもきりがないぐらい多様なラテン音楽のうち、サルサ、メレンゲ、 バチャータ、ボサノバ、サンバ、クンビア、タンゴ、テハノなどを楽譜とともにご紹介させていただきました]

マヤ民族とは

マヤ民族あるいはマヤ族は、メソアメリカの先住民族の民族言語グループである。古代マヤ文明はこのグループのメンバーによって形成され、今日のマヤ族は一 般的にその歴史的文明の中で生きた人々の子孫である。現在、彼らはメキシコ南部、グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラスに居住している。 「マヤ」は、この地域の人々のための現代的な総称であるが、この言葉は歴史的に先住民族自身によって使用されていなかった。それぞれの集団、社会、民族が 独自の伝統、文化、歴史的アイデンティティを持っていたため、異なる集団、社会、民族の間に共通のアイデンティティや政治的統一感はなかった。現在、この 地域には推計で800〜1,000万人のマヤ族が住んでいる。
グアテマラのマヤ族

グアテマラでは、マヤ系の先住民が人口の約42%を占める。最大かつ最も伝統的なマヤの人口は、バハ・ベラパス県、キチェ県、トトニカパン県、フエウエテ ナンゴ県、ケツァルテナンゴ県、サンマルコス県の西部高地に存在する。グアテマラ高地のマヤ族には、Achi、Akatek、Chuj、Ixil、 Jakaltek、Kaqchikel、Kʼicheʼ、Mam、Poqomam、Poqomchiʼ、Qʼanjobʼal、Qʼeqchiʼ、 Tzʼutujil、Uspantekが含まれる。Qʼeqchiʼは Alta Verapaz、Peten、西ベリーズの低地に住む。その後何世紀にもわたって、土地の移動、再定住、迫害、移住が繰り返され、Qʼeqchiʼのコ ミュニティはグアテマラの他の地域(Izabal、Petén、El Quiché)へと広く分散した。
マヤの伝統音楽

グアテマラの伝統音楽は、多様な文化と歴史の影響を受けており、特に先住民族のマヤ文化とスペインの影響が融合しています。この音楽には様々な楽器が使わ れており、それぞれが独特の音色と役割を持っています。以下に、グアテマラの伝統音楽における主要な楽器や演奏形態を紹介します。

グアテマラの音楽全般はこちらをご覧ください。
マリンバ (Marimba)
マリンバはグアテマラの国民的楽器であり、木製の鍵盤と共鳴管からなる木琴の一種です。通常、複数の演奏者が一緒に演奏し、華やかでリズミカルな音色を奏でます。マリンバは祝祭や特別なイベントでよく演奏され、グアテマラの音楽文化の象徴とされています。
チリミア (Chirimía)
チリミアは、マヤのフルートに似た楽器で、リードを使って音を出します。スペインの征服時代に持ち込まれたヨーロッパのオーボエに似ており、宗教儀式や祭りでよく使われます。音色は力強く、グアテマラの先住民族の儀式で重要な役割を果たしています。
アルパ (Arpa)
スペインの影響を受けたハープすなわちアルバは、グアテマラの伝統音楽にも取り入れられています。大型で弦が多いハープは、優雅でメロディックな音色を持ち、宗教音楽やフォークソングで使用されます。
ギターラ (Guitarra)
スペインから伝来したギターすなわちギターラも、グアテマラの伝統音楽に欠かせない楽器です。フォークソングやバラッドの伴奏として使われ、親しみやすく暖かい音色が特徴です。
パーカッション (Percusión)

グアテマラの伝統音楽には、様々なパーカッション楽器が含まれます。カホン、コンガ、ボンゴなどが使われ、リズムとビートを提供します。これらの楽器は、アフリカの影響も受けており、多文化的な背景を示しています。

これらの楽器が組み合わさることで、グアテマラの伝統音楽は豊かで多彩な音楽体験を提供します。各楽器の独自の音色と役割が、グアテマラの音楽文化を支え、その魅力を世界に伝えています。
ドラムセット (Batería)
ドラム(ス)セットは、多くの音楽アンサンブルで使用される打楽器のセットである。この楽器はリズムセクションとして、ダンス音楽や民謡に欠かせない存在です。
バンダ (Banda)

バンダは、金管楽器や打楽器を中心とした楽団で、パレードやフェスティバルでよく見られます。トランペット、トロンボーン、チューバ、ドラムなどが含まれ、活気ある音楽を提供します
チリミア
タンボーロの演奏
Hip Pop Guatemala (1/2)

伝統的な音楽が重んじられるなか、とくに若者文化のなかではポピュラー音楽が多く聴かれるようになり、ラップやヒップホップをマヤの言語で歌うようになった。そのリズムはまさしく、アフロのものである。
Hip Pop Guatemala (2/2)

https://youtube.com/clip/UgkxKoYEg6IOZk8Qudc6tFgijnmdno1gd3T1?si=pbcq-2uIXSk9NRtl
ビリャンシーコ(Villancico)

16世紀にスペイン人征服者は、ビリャンシーコと呼ばれるスペインの中世の音楽を用いて、マヤの人びとをカトリック教徒へと改宗させようとした。ビリャンシーコはスペインとポルトガルの伝統的な音楽と詩の形式で、15世紀から18世紀にかけて大流行した。

20世紀には、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、エルビス・プレスリーといったアーティストたちによって、アメリカでも大きな人気を博し、英語で も広まった。 クリスマスキャロルは元々、リフレイン付きの不敬な歌で、ポピュラーな起源を持ち、いくつかの声部で歌われていた。その後、教会で歌われるようになり、ク リスマスにちなんだものとなった。キャロルの著名な作曲家には、フアン・デル・エンシナ、ペドロ・デ・エスコバル、フランシスコ・ゲレーロ、ガスパール・ フェルナンデス、フアン・グティエレス・デ・パディージャ、ロケ・ハシント・デ・チャバリア(1688~1719年)などがいる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Villancico
La Marimorena- Villancico rumba-Juli&cia, Duendes, Chaskio y Toreros con duende.
(La Marimorena- Villancico rumba-Julícia, Duendes, Chaskio y Toreros con duende.)

https://www.youtube.com/watch?v=kiBGgjuutRQ
ラテン音楽とは?(概説)

ラテン音楽は、ラテンアメリカの国々で生まれた音楽のことです。これには、スペイン語やポルトガル語を話す国々の音楽が含まれます。ラテン音楽はリズムが 楽しくて、踊りたくなるような音楽が多いのが特徴です。中でも有名なジャンルをいくつか紹介します。つまり、サルサ (Salsa)、メレンゲ (Merengue)、バチャータ (Bachata)、ボサノバ (Bossa Nova)、サンバ (Samba)、レゲトン (Reggaeton)、クンビア (Cumbia)、テハノ (Tejano)です。

ラテン音楽は、それぞれの国や地域の文化や歴史が反映されています。どのジャンルも、それぞれの魅力があり、聴いているだけでその国の雰囲気を感じることができます。
サルサ (Salsa)

サルサは、キューバやプエルトリコで生まれたダンス音楽です。楽しいリズムと速いテンポが特徴で、ペアダンスによく使われます。サルサの楽器には、コンガ、ボンゴ、トランペット、ピアノなどがあります。
メレンゲ (Merengue)
メレンゲは、ドミニカ共和国のダンス音楽です。とても速いビートで、踊りも元気いっぱいです。主な楽器は、アコーディオン、ギター、グイロ(擦る楽器)などです。
バチャータ (Bachata)
バチャータもドミニカ共和国から来た音楽で、メレンゲよりもゆっくりしたテンポです。ロマンティックな歌詞が多く、恋愛のテーマがよく歌われます。ギターが中心の楽器です。
ボサノバ (Bossa Nova)
ボサノバは、ブラジルの音楽です。ジャズの影響を受けていて、ゆったりとしたリズムが特徴です。ボサノバの歌詞は、自然や愛について歌うことが多いです。アコースティックギターとソフトなドラムの音がよく使われます。


サンバ (Samba)
サンバもブラジルの音楽で、カーニバルでよく演奏されます。速いリズムと明るいメロディが特徴で、ダンスも活発です。サンバの楽器には、サンバドラム、カバキーニョ(小さなギター)、パンデイロ(タンバリンのような楽器)があります。
レゲトン (Reggaeton)
レゲトンは、プエルトリコで生まれた音楽で、ヒップホップとラテン音楽が混ざっています。重低音のビートとラップが特徴です。ダンスクラブでよくかかる音楽です。
クンビア (Cumbia)
クンビアは、コロンビアで生まれた音楽です。リズムがゆったりしていて、ダンスはステップが簡単で楽しいです。アコーディオンやドラム、マラカスがよく使われます。
テハノ (Tejano)
テハノは、アメリカのテキサス州とメキシコの音楽が混ざったジャンルです。ポルカのリズムが特徴で、アコーディオンが重要な役割を果たします。
最後に、もう一度、音楽的に「西洋音楽」と「アフロ音楽」の相違について、演奏を通して考えてみたい。
まとめ
わたしたちは日ごろ何気なく、バッハやショパンなどの西洋音楽、ジャズ、ロック、ラップやヒップホップなどに触れている。しかし、その音色には裏付けがあることをこの発表では、実演を通して、皆さんと共有することを試みました!
ご清聴ありがとうございました!
「そ してピアノ演奏としては、歴史時間的あるいは音楽様式における対位法的な発想をもって、フランツ・ショパン「ワルツ4番、通称、猫のワルツ」、ケクチ先住 民のハープ音楽を自ら採譜編曲した「コバン女性のうた」、スカルラッティ「ソナタK.9」ラテン音楽のリズムの基本「ソン・モントゥーノ」を演奏し、最後 にアストラ・ピアソラ「リベルタンゴ」を合間に演奏させていただきました。最後のものは自ら編曲したもので想いも大きかったために、不調法ながら再度演奏 にチャレンジさせていただきました。講演だけ、演奏だけといういつもの活動とは異なり変則的になりまた、聴衆のみなさまにも暖かく迎え入れていただき、な んとかこの講演のシリーズのキックオフ(序曲ですね)を務めさせてもらい、関係者のみなさまにも大変感謝しております。」
「私 は市立京都芸術大学芸術資源研究センターの非常勤講師としてグアテマラの民族音楽について長年研究を続けてきております。また、他方で、私は西洋クラシッ ク音楽を中心とした演奏活動をおこなうピアニストであり、数多くの生徒たちに演奏を指導してきた教師でもあり、また微力ながら若手演奏家のためのコンクー ル審査員なども務めさせていただいています。そのため、多くの民族音楽学(ethnomusicology)の研究者と同様、西洋古典音楽学を一度修めた 上で、音楽的に全く異なる非西洋音楽にアプローチする研究の人生を歩んできました。西洋音楽から出発した音楽学では、「音楽」を形式、和声、旋律、リズム あるいはその他の表現をもった「音の配置」と定義しています。しかし、私の知人で民族音楽学者だったクリストファー・スモールさん(1927-2011)は、「音楽の本質とその根本的な意味」は、その音楽作品のなかにあるのではなく、音楽をする「人びとの行為」の中にあるとおっしゃっています。」
「私 の講演と演奏にご来場いただいた聴衆のみなさまも、ラテン音楽に詳しい方やまたじっさいに演奏されている方も多く、質疑応答でも熱心なご質問をいただきま した。まさにスモールさんの言うように、みなさんは音楽作品を聴き時に演奏しているということ、すなわちスモールさんのいう「音楽という行為(ミュージッ キング)」そのものが人間にとっての音楽そのものであることを確認した次第です。」
「ラ テン音楽は、リズムが多様で、また快活なものが多く、演奏と共にダンスすることが多い楽しい音楽です。また、その音楽形式が音楽家の創意工夫により発明さ れるとともに、スペイン語あるいはポルトガル語という共通言語の基盤があるために容易に国境の壁をこえて広域的に演奏家の交流が激しく、まさに、ラテンア メリカの人たちのように情熱的であると同時に芸術探求の真摯さには、音楽家として私が共鳴するところです。」




「今 はウクライナでもガザでも大変な時期であることはご存知の通りです。ちょうど私が演奏をおこなった9号館インターナショナルホールの隣の8号館建物の入り 口にはラテン語で"Pax Mundi per Linguas"すなわち「諸言語を通した世界平和」という言語教育を通した大学の標語が謳ってありました。当日ご来場いただき演奏と会場が一体となった みなさまには、わたくしともども「音楽の通した平和」の大切さに心を新たにした次第です。本当にありがとうございました。」

リ ンク

文 献

そ の他の情報


Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

Acknowledgement; This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number 21K18363