大学キャンパスにおけるコンプライアンスとは?
What is the regulatory compliance in your university campus?
日本語の企業や大学で言
われるコンプライアンスとは、組織規則への遵守履行(regulatory
compliance)のことです。要するに「組織で決まった手続きにもとづいて履行し、倫理的に不正なことをおこなってはいない」状態のことをさしま
す。不正(misconduct)とは、本人や組織の自覚・非自覚にかかわらず、不正義なこと、不法なことに手を染めることです。
研究費の不正流用、不正使用、カラ出張、契約先(企業)への預け金などの不正事案が発生すると、上司たちはすぐに「コンプライアンス遵守のた めの」研修会というものを開催し、多くの大学の構成員が動員される。その研修会は、しっかりと出席確認がとられているが、これは、最終的には、複数の大学 をとりまとめる政府、協会、監査委員会などに報告されるようになっているからだ。しかしながら、構成員は、自分が報道などで聞いたりすることはあれども、 自分が関わったことがない様々な不正の内容について聞かされても、異邦人体験するのが関の山である。
ここでは、研究や大学内における業務における命令や規則の遵守がメインですが、教
育者として教室のなかで、正しい知識と学生のレベルを配慮しながら、過不足なく伝えたり、また学生のプライバシーを毀損(=暴露)したり、先生という立場
を利用して保護されるべき学生への嫌がらせ(=アカハラ、パワハラ、セクハラ、ジェンダー差別など)などを意図的・非意図的(=過失)に行うこともコンプ
ライアンス遵守違反にあたります。
さて、コンプライアンスとは、大学のみならず企業に属するすべての人が、《何が許され、何が許されない》のかを弁別する能力のことである。あるいは、法令等など《規約に関する良好な遵守状態》のことである。
日本語の企業あるいは大学コンプライアンスの訳語は、complianceあるいは、regulatory complianceのことである。このことは大学の経営・リスクマネジメント、そしてコンプライアンスをまとめて、GRC (Governance, Risk management and Compliance)とも呼ばれる。
「一般に、コンプライアンスとは、仕様、方針、規格、法律などの規則に適合することを意味する。規制コンプライアンスとは、組織が関連する法 律、方針、及び規制を確実に認識し、遵守するための措置を講じる努力において達成することを目指す目標を示すものである。規制の数が増加し、業務の透明性 が求められているため、組織は、統合され調和された一連のコンプライアンス管理を採用するようになってきている。このアプローチは、リソースによる不必要 な努力や活動を重複させることなく、必要なガバナンス要件をすべて満たすことができるようにするために使用される。」
【原文】
"In general, compliance means conforming to a rule, such as a specification, policy, standard or law. Regulatory compliance describes the goal that organizations aspire to achieve in their efforts to ensure that they are aware of and take steps to comply with relevant laws, policies, and regulations. Due to the increasing number of regulations and need for operational transparency, organizations are increasingly adopting the use of consolidated and harmonized sets of compliance controls. This approach is used to ensure that all necessary governance requirements can be met without the unnecessary duplication of effort and activity from resources." - Regulatory compliance.
「ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス(GRC)とは、これら3つの実務にまたがる組織のアプローチをカバーする用語である: GRCに関する最初の学術研究は2007年に発表され、GRCは「組織が確実に目標を達成し、不確実性に対処し、誠実に行動することを可能にする統合され た能力の集合体」と正式に定義された。この研究では、内部監査、コンプライアンス、リスク、法務、財務、IT、人事などの部門や、事業部門、経営陣、取締 役会などで行われる一般的な「会社を軌道に乗せる」活動に言及している。」
【原文】
"Governance, risk management and compliance
(GRC) is the term covering an organization's approach across these
three practices: Governance, risk management, and compliance.The first
scholarly research on GRC was published in 2007 where GRC was formally
defined as "the integrated collection of capabilities that enable an
organization to reliably achieve objectives, address uncertainty and
act with integrity." The research referred to common "keep the company
on track" activities conducted in departments such as internal audit,
compliance, risk, legal, finance, IT, HR as well as the lines of
business, executive suite and the board itself." - Governance, risk management and compliance.
大学におけるコンプラアンス啓蒙には次のような段取りが踏まれる。1.大学憲章を謳う、2.構成メンバーに対して行動基準が示される、3.先の行動 基準に対応して行動指針(ガイドライン)が示される。ざっとこのような段取りである。そして、最後には、4.内部通報サービスの照会先、倫理要綱などの追 加情報がつづく。
こ のような事柄は、大学の事務職員や教員が、その現場に就労する前にきちんと説明されるべきことがらである。そのために、大学におけるコンプライアンス遵守 についての、既存の事務職員や教員に再度注意を促される時は、その直前に不正事案が発生したり、また、ルーティンである職場の綱紀粛正のためであると思わ れる。
いずれにおいても「適切な大学コンプライアンスが保たれている(守られている)」ための理想的状態の提示(=大学憲章の内容に ついての銘記)、不正について事務職員や教員が陥りやすい罠、そして、倫理規定を守ること、そして、不正を発見した時に対処すべき事柄が、すくなくとも、 それらに盛り込まれていなくてはならない。
以
下は、中間管理職である、私じしんのための備忘として記録に残しているものである。もし、あなたが大学の学生院生を含む教職員あるいは大学の構成員であれ
ば、今度は、管理される側から、管理者がどのような観点からあなたたちに接するのかを、分析してみましょう。そうすると、将来、あなたが、今度は管理者に
なったときに、何をどのようにすればよいのかが、迅速に理解できるようになるでしょう。
リンク(憲章)
リンク(行動基準と行動指針)
リンク(研究費不正使用)
リンク(研究行為の不正→「研究倫理入門」)
リンク(ハラスメント)
リンク(倫理入門)
文献
その他
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