かならずよんで ね!

09: 「空 気と空間づくり」から考えるイノベーション・キャンパスの実現:

鉄は熱いうちに打て、自分が置かれた状況を反省せよ、行動はすぐに適切にせよ!!!

(旧版)

Hit the iron while it's hot, You need to reflect on the situation you're in, and take immediate and appropriate action.

上掲キャラクターはDAIKINの キャラクター「ぴちょんくん」(「ぴちょんくん なう」より引用しています)

池田光穂・松浦博一・宮本友介


◎このページは、ダイキン工業株式会社による「基礎 検 討フェーズ報告書・研究テーマ提案」から「2020年度共同研究委受託研究」のフィージビリティ調査研究「「空気と空間づくり」から考えるイノベーション・キャンパ スの実現」である。調査研究班は、池田光穂・松浦博一(大阪大学COデ ザインセンター教員)と宮本友介(大阪大学大学院人間科学研究科)である。2021年1月29日発表

このページは、ダイキン工業株式会社によ る「基礎検討フェーズ報告書・研究テーマ提案」から「2020年度共同研究委受託研究」のフィージビリティ調査研究である。

上掲キャラクターはDAIKINのキャラクター「ぴちょ んくん」(「ぴちょんくんなう」より引 用しています)

調査研究班は、池田光穂・松浦博一(大阪大学COデザインセンター教員)と宮本友 介(大阪大学大学院人間科学研究科)である。
1958年ミルチャ・エリアーデ (Mircea Eliade, 1907-1986)が国際宗教史学会のために来日した時に、ハイデガー哲学者と思しき学者が龍樹の仏教哲学など勉強する時間が惜しいと心情を吐露しまし た。しかしエリアーデはG.W. F.ヘーゲルまでの論理学の中に(龍樹=ナーガルジュンナの)中観哲学の思想が埋め込まれているのだと説諭し喝を入れたらしい。自戒を込めていうが、思想 や哲学の教育が日本では子供時代から貧困なため、立派に大人になった後でも(現代の知のあり方や人間存在の問題に関わる)AI研究でもファンダメンタルな 部分で西洋の素養の深い学者の後塵を拝するはめになるわけです。アルトゥール・ショーペンハウアーしかりカール・ヤスパースしかり、ドイツ観念論は、フラ ンスやプロシアの東洋学者から仏教哲学勉強してきました。くだんのハイデガー学者はそのことを忘れているわけです。僕の友人の科学哲学者は、日本でなんで フーコーがこんなに人気あるのか、それほど上手じゃなフランス語でフーコーの訓詁学を紐解くよりも、フランス語と母語の日本語で、日本における フーコー受 容を日本文化との関連性の中で論じて、フランス語で論文書いたら第一人者になれるのにと言っていたことを思い起こします。ここから得られるわれわれの教訓 は、(1)鉄は熱いうちに打て、(2)自分が置かれた状況について反省的に把握せよ、そして(3)行動すべき時がくれば、すぐに適切に動け、ということで す。
壱之巻 
 鐡は熱いうちに打て
ダイキン工業株式会社による「基礎検討 フェーズ報告書・研究テーマ提案」から「2020年度 共同研究委受託研究」のフィージビリティ調査研究発表である。上掲はスケジュール。
僕(池田)はかつて大学の「空気」につい て、次のように書きました→「大学では、社会的経験をもつ大学以外で育った「知識人」や「専門家」を、特任教授の名で多く雇用しはじめた。大学の空気を入 れ替えるためである。それは、とりもなおさず、大学という穴蔵に暮らす大学人は、そのような世間の知恵には疎く、てっとりばやく、実践知系の知識をほどよ くアウトソース(=外部資源利用)化することだ。だが、それは雇用した人間の経験知を評価することができずまた管理もできない『なんちゃって大学教授』を キャンパスに蔓延らすことになった」。だがよく考えれば俺たちもまたなんちゃって教授と変わらんじゃないかと反省しています。
また、インターネットはもはや「空気」み たいなものなので、「大学に行けば『知識』が得られるから大学に来い!」と大学は踏ん反り返っている場合じゃないと、僕はもはや、大学だけが高等教育を学 べる場ではないと「大学よ!さようなら!(現在は、それを改造し て、大学を再考する、に改名)」や「知の理論(TOK)」というページを書きました。

僕は、スポーンサー企業であるダイキン工業株式会社(https://www.daikin.co.jp/) から冠講座というタイトルをつけることで、その企業の知名度を上げるために、教育経費を出してもらう計 画を練った。この冠講座=冠講義は、企業との利益相反関係をクリアにして、企業が純粋にフィランソロピーの理念で動いて、その社会的名誉のために、大学に 寄附をしていただくことを目的としていた。だが、これは大学人にありがちな、あまりにも幼稚な考え方だった。
そこで2019年度の年度末だろうか?ダ イキンの偉いさんを前に「「空気」が読めるための大学 院共通教育科目」というカッコいい(ブエノス・アイレスで仕入れてきた写真の)スライドを使って PBLや全国の大学院教育の現状と課題をまとめたすばらしいレクチャーをした。

01:「空気と空間づくり」から考えるイノベーショ ン・キャンパスの実現

だがしかし偉いさんは、「判で押したようなスライドですが、せんせーは本当は何をなさりたいのですか?!」と突っ込まれたのだった!!!
そこで僕は「端的に言って大学を、いやも とい大阪大学をぶっ壊したいためにこの研究をはじめたのです!!」と本当のことを正直に話したのだった

偉いさんは「それならどうぞ、おやりください」と促してくれた。つまり彼は僕よりももっと偉かったのだった!!
弐之巻 
自分が置かれた状況について反省的に把握せよ
マクロウィキノミクスの予測図(上)と現 状分析(左)

※マクロウィキノミクスとは、マクロ経済学と、ウィキ ノミクス(=ICTインターネット・ネットワーク社会の中で「大衆のコラボレーショ ン(mass collaboration)」と「オープンソース(open-source model)」が生み出す新しい経済の仕組み)という意味です。この用語は、ドン・タプ スコットとアントニー・ウィリアムズの同名の書名により、はじめて提唱されました。
2020年9月の中間発表会では、そのい きさつを踏まえて、僕たちは(1)空気が詰まる大阪大学の研究・教育・産学共創をデザイン思考により積極的に改造する、(2)空気ソリューション技術から 快適性のみなら破壊的イノベーションをうみだすダイキンイメージを刷新する、(3)コロナ禍がもたらしたブレンディド教育化が大阪大学をして「人間環境空 気を変える」スマートキャンパスをデザインせしめる、という3つの目標をつくり上げました。

そして【現実課題】として、(a)デジタル・ヒューマニティーズの 構築、(b)ハイパーアクセシビリティキャンパス構想、そして(c)ハンダイ・デザイ ン・スクールの創出が急務とした。また、それらを実現するための【デザイン課題/デザイン理念】として、(d)イノベーション・デザイン、(e)大学のア ンチエージング、(f)ハンダイDWAA(双翼型学術アーキテクチャー) の3つの柱を提案した。
リニアーな進化図式として教育のイノベー ションを考えると

1)新型コロナ以前の研究と教育状況(低レジリエンス)

2)新型コロナ蔓延が生み出した研究と教育システムの崩壊

3)ポストコロナ状況が生み出す自律的学習研究人間の誕生
デジタルヒューマニティーズDH (digital humanities, humanities computing)とは、人文学(自由七科)とICT(情報通信技術)との「対話」のこと。DHとは、ICTを通して実現する人文学のイノベーションの ことであり、また、技術偏重に傾いたICTをヒューマナイズするプロジェクトのことである。スマート・キャンパスの実現でもっとも重要なのは、ICT技術 を最大限に使い、大学がおこなう教育・研究・社会貢献などを実現している新しい大学キャンパスとキャンパスの中での学び方・働き方であり、情報エンジニア のための玩具や気ままな失敗がゆるされる遊び場のことではない。
Open innovationとは、組織内部のイノベーションを促進するために、意図的 かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことで ある(Henry W. Chesbrough, Open Innovation(2003)
キャンパスにおけるアドワーズ (AdWords)戦略*とは、大学における学生の履修方法も、従来型の時間割と履修規定にあわせたものをユーザー自身がやりくりしてなんとか創りだすも のではなく、学生の学習への取り組みや自分自身のキャリアデザインをICTによりサポートしてあげ、それをもとに学生に対して最適化した時間割とシラバス 閲覧と選択をさせることができる技術的理想のことをさす——*このチーム(池田・松浦・宮本)による造語。
參之巻 
行動すべき時がくれば、
すぐにかつ適切に動け
大学のアンチエージング化(=企業のアン チエージング化につながる)とは、本来のアンチエイジングの意味は細胞の耐久性を伸ばすことではない。むしろ組織の生死ターンオーバーを促進させることで ある。ICTによる情報アーカイブ化と更新が、教育カリキュラムと教授内容におけるターンオーバーを促進させるさせいつもキャンパスの情報と空気は新鮮 (フレッシュ)である。
DWAA: 学部・大学院教育内容のさらなる充実化:1)生涯学び続ける人材を輩出することを目的とする、2)DWAA(双翼型高度教養教育=高度汎用力をつける3つ のモーメントの合成と考える。F1:知と知の融合、F2:知と社会の統合、F=F1+F2:知の探究
人文社会科学系組織の教育プログラムの体 系化の促進:大学院横断教育の基盤構造である双翼型大学院高度教養「Double-Wing Academic Architecture (DWAA)」教育の3つの柱である、「知の探究」「知と知の融合」「知と社会の統合」のカリキュラムを横串にして、人文社会科学系組織の教育プログラム を、《問題の所在》発見と《解決法の探究》というセットを、全領域において展開させる(Problem-Base Learning 2.0)。そのことを通して、本学ならでは従来型の「知の探究」の伝統の上に、「知と知の融合」ならびに「知と社会の統合」をさらに展開する。
The Cathedral and the Bazaar

共同研究者の宮本友介は、エリック・スティーブン・レイモンド『伽藍とバザール』(1999)からヒントを得て、知識・人々・大学キャンパス内での情報の 集いの形態を、(i)伽藍(カテドラル)と(II)バザール(市場)の2類型に分類できることを指摘した。私たちの改革案もカテドラルのような時間のかけ た精緻な設計と計画とバザールのような柔軟なアドホックなバラック仕立ての柔軟即応戦略のバイリンガルで、イノベーション作戦を展開しなければならないだ ろう。

●最終対決(ボス戦)

共同研究者の宮本友介は、エリック・スティーブン・レイモンド『伽藍とバザール』(1999)からヒントを得て、知識・人々・大学キャンパス内での情報の 集いの形態を、(i)伽藍(カテドラル)と(II)バザール(市場)の2類型に分類できることを指摘した。私たちの改革案もカテドラルのような時間のかけ た精緻な設計と計画とバザールのような柔軟なアドホックなバラック仕立ての柔軟即応戦略のバイリンガルで、イノベーション作戦を展開しなければならないだ ろう。

当時の総長のM先生が発足当初のCSCDに2006年に視察に来た時に僕(池田)は「そうちょうっ!!! コミュニケーション・デザイン教育が必要なのはハンダイの院生じゃなくて、本当は教員なんですよ!!」と直訴したところ、M先生は「そのために君を雇用し たんじゃないか?!君がそれをやるべきだよ」とおっしゃった。M先生からいただいた宿題は、現在、僕はいまだ取り組み中である。
【ひつこいぐらいの再掲は、重要なことだ からです!!!】
1. 鉄は熱いうちに打て
2. 自分が置かれた状況について反省的に把握せよ、そして,
3. 行動すべき時がくれば、すぐに適切に動け、ということ.



私どものCOデザインセンターは大学院が中心なのですが、学部高学年の 学生もいます。この5年間、対話型の教育を やってきたのですが、授業を受ける学生は、いわゆるゆとり教育の世代の人たちです。グループディスカッションなどをやらせると、結構熱心に話してくれま す。また、ある程度段取りをつけてやると、発表も出来ます。こういう能力は、明らかに最近の若い人たちの方が高いと思います。対話型教育で能力の高い学生 に聞くと、今まで中学校や高校でこういう授業を受けてきたと言います。

私たちは、対話型の授業をやっているのですが、それを受ける学生は、先ず、率先して意見を言えねばなりません。それも、言うだけではなく て、周りの人の言っていることをよく理解しないといけない、当意即妙の発言もしなければなりません。それから、自分の考えと相手の考えが、何が共通で何が 違うのかをよく解析・理解する能力も要求されます。このような能力は、対話型授業をやる教師も持っていなければなりません。

しかし、私自身が受けてきた教育は、先に小学校や中学校の先生方が言われたような、受け身型の授業でした。その私が対話型授業をしているわ けです。私自身は、人間というのは、教育の長い効果の中で、徐々に成熟していく部分と、非常に短い期間で変わる部分があると思います。それぞれの部分が具 体的に何であるかは、むしろ、このフォーラムの中で検討すべき問題かとも思います。いずれにせよ、実際に非常に短期間でコミュニケーションの仕方、モード をある程度変えることができるのであれば、そういうことは教育の長い効果でないと出来ないと考えて対話型授業をしないよりは、出来るところからやっていこ うというふうに、現状を楽観的に見て行動する方が、教育現場のためには良いと思います。

大学の現場でも、学生の全てが最初から対話型授業を成り立たせる能力を持っているわけではありません。テレビ番組、NHKの教育テレビの トーク番組などで、若い人たちが意見を戦わせているのを見て、これなら自分もできるのではないかと思っていたところへ、教育の場で実際にそういう機会が与 えられたので、実際にやってみた。一度やってみると、面白いのでどんどんエスカレートしていって、やがて好きになるというふうな学生も多いのです。授業を 受けている短期間に変わったとも言えます。ここで大事なのは、学校教育であれ、社会教育であれ、どのような教育でもやらなければならないこと、すなわち、 学ぶことの楽しさ、あるいは、身につけることの楽しさを対話型授業は提供しているのは間違いないということです。

■クレジット:「鉄は熱いうちに打て、自分が置かれ た状況を反省せよ、行動はすぐに適切にせよ!!!」「2020年度共同研究委受託研究」のフィージビリティ調査研究「「空気と空間づくり」から考えるイノ ベーション・キャンパスの実現」2021年1月29日発表

●動画(限定公開:ここからのリンクのみ可能です)

こ のキャラクターはDAIKINの キャラクター「ぴちょんくん」(「ぴちょんくん なう」より引用しています)

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