かならず 読んでください

大学教育を再考する

Rethinking Our University!


池田光穂

最初の呼びかけ: 《インターネットの普及により、もう大学で勉強する意味なんてなくなったんじゃない の?》 という意見があります(→「大学よ、サヨナラ!!」)。大学で長い間、教育に関わってきた、教員で ある僕も、長年教える経験の中から、インターネットにお世話になり、自分の教室で十全に 教えることのできない情報を提供したり、メールなどで授業以外の場で、学生たちと相談にのってあげることが、当たり前になっているので、インターネットの 普及で、完全に大学が不要になるとは考えていません。しかしながら、インターネット環境がなかったり、制限されている状況の中で、もはや大学教育は円滑に 回すことができない、と実感するようになりました。このページは、このことをしばしの間、真剣に皆さんと一緒に考えてみたいと思っています。 協働術A(2017)協働術A:ネオ・アクションリサーチの探究(2018)の授業計画から「この 授業は、ネオ・アク ションリサーチについて、考えます。このリ サーチがもた らす最終的な 成果とはなにかについて考えます。この授業は新しいネオ・アクションリサーチをさまざまな角度から考察することを目標にします。このことを実現するため に、解説つきで 基本文献であるドン・タプスコットとアントニー・ウィリアムズ『マクロ ウィキノミクス : フラット化・オープン化・ネットワーク化する社会をいかに生きるか』を参照にして考えます」

問い(1)——アイスブレイク課題(10分)

 あなたが勤める大学(例えば、国立大学法人・大阪大学)で大学全体でも学部・研究科あるいは研究所・センター等のでも、
 「イケてる」あるいは「ウリの魅力」になる点を3点あげてみましょう。そして、
 「ちょっと恥ずかしい」あるいは「これはウリにならんなぁ 〜」と思う点を3点あげてみましょう。

二番目の呼びかけ: 皆さんは、『脱学校の社会』 (Deschooling society, 1971)を書いたイヴァン・イリッチをご存知でしょうか?学校は生徒たちを伸び伸びと育てる組織ではなく、産業社会に適合的な人間を造り出す機関になっ ているという批判です。学校教育批判はそれまでにも沢山ありましたが、当時の第三世界の視座を踏まえた最も秀逸なものでした。その後、問題に基づく学習 (PBL)やアクティブラーニングの普及、学習環境を変えたインターネットの登場などのドラスティックな変化もあります。『脱学校』のとりわけ第1章「なぜ学校を廃止しなければならないのか?」の読み直しと小グール プ議論を通して、今日の大学教育の意義について反省的に考え、皆さんの様々な意見交換の場にしたいと思います。03-19mikeda191018.pdf with password

本日のテーマは、そして「大学教育の存在意義について考える」そして「大学よ、さようなら!」 (あるいは垂水源之介の遺言)です。

問い(2)——(15分)

 あなたにとって職業の場であるという以外に、一般論として、大学は、必要でしょうか?それとも不要でしょうか?
 必要である/必要でない、どちらの立場にたっても、大学はこんな点ですばらしい/つまらない、ダメだという点をそれぞれ3点程度あげてください。
 また、つまらない、ダメだという点については、どのような具体的な改善案があるでしょうか?それぞれ記載してください

大 学のすばらしい点
大 学がつまらない、ダメだという点 左 記のつまらない点に対してあなたの改善点
(大学の学長になった気分で!)
1.



A.
A.
2.



B.
B.
3.



C.
C.
4.



D.
D.
5.




E.
E.

 2019年10月18日(金)のWSの結果を見たい方はこちらへどう ぞ

以 下解説です!

  • タプスコットとウィリアムズ『マクロ ウィキノミクス  』より第8章
  • 8.1 大 学よ、さようなら 224
  • 8.2 大 教室からコラボ学習へのモデルチェンジ 228
  • 8.3  ツール活用で教育のカスタマイズを重視 234
  • 8.4 大 学をコラボレーションで開放する 236
    • 8.4.1  大学オープン化——1)教材を交換する 238
    • 8.4.2  大学オープン化——2)教材を共同で開発する 240
    • 8.4.3  大学オープン化——3)コラボ学習を組み合わせる 244
  • 8.5 大 学に再投資すべきか、それとも衰退か 246
    • 8.5.1  学習指導モデルを中心にコラボ学習を取り入れる 249
    • 8.5.2  新たな収益モデルとコラボモデルを構築し、大学間の壁を取り払う 249 
    • 8.5.3  報酬制度を改革し、研究だけでなく指導実績も反映させる 250
  • 8.6  21世紀の高等教育のためのインフラを整備する 251

 スタンフォード・ビジネス・スクールのソーシャル・イノベーションの学習モデル ([Defining Social Innovation, by the Center for Social Innovation]より)

その学習モデルは、3つの柱からなっている;1)課 題を理解する(Understanding Issues)、2)技法とフレームワークをマスターする(Mastering Skills and Frameworks)、3)実践を通して学ぶ(Learning by doing): Teaching & Curriculum, より

 クレイトン・クリステ ンセン大先生らも大学教育に「破壊的技術」の実装が可能だと主張されます(クリステンセン、アンソニー、ロス 2014:189)(→「メディア授業の導入で大学はどのように変わるか」)。

●誰もが消費を行って いるように思われる環境にも、無消費は存在する(→無消費の構造が「市場創造型イノベーション」を生み出す)。consumptionless economy.

●無消費者が重視する 用事を簡単に片づけられるようにすることは、成長への近道である。

●企業は同じイノベー ションをまったく異なる方法で導入することがある。

●企業は市場の周縁部 から始め、それから中核市場に進出すれば、政府規制の網をかいくぐれる。

●非営利組織でさえ、 どんな組織もスキルと動機づけをもっており、それらが組織にできること、できないことを決定する。

 独学のススメ(あるい は野口学習理論に関するチップス)冒頭に戻ります】(僕は野口悠紀雄先生の教徒つまり「野口教」の信者です!)

僕は大学完全不要論者 ではないものの「大学は概ね不要論者」であることは変わりありません。その理由は、大学で勉 強できることの8割は独学でできることにあります。野口先生流の独学の テーゼをまとめると次のようになります。(数字)は野口悠紀雄『「超」独 学法』のベージです。

文献:野口悠紀雄 『「超」独学法』角川新書、2018年

関連リンク:サイト内(大学教育)※サイト内検索で2,770件ひっかかりました(2019年 10月17日)

ウィキノミクスが実現可能になる6つの ルール(pp551-569.)※パラフレ イズしています

1)ク リエイターではなく、キュレーターを目指しましょう!

2)共 有財の価値をみなおしましょう!

3)自由にさ せましょう!

4)活動をになう前衛を発掘し、強化するようにしましょう!

5) コラボレーションの文化をつくりましょう!

6)ネット世代に権限を委譲しましょう!


・地球的アジェンダ → UN SDGs, Sustainnable Development Goals

結論:冒頭にあるものを画像として再掲(クリックす ると4倍になります)

2019年 10月18日1030-1210、FD研修での板書の情報

問い(再掲)

 あなたにとって職業の場であるという以外に、一般論として、大学は、必要でしょうか?それとも不要でしょうか?
 必要である/必要でない、どちらの立場にたっても、大学はこんな点ですばらしい/つまらない、ダメだという点をそれぞれ3点程度あげてください。
 また、つまらない、ダメだという点については、どのような具体的な改善案があるでしょうか?それぞれ記載してください

大 学のすばらしい点
大 学がつまらない、ダメだという点 左 記のつまらない点に対してあなたの改善点
(大学の学長になった気分で!)
・土地が広い
・学知が入手できる
・(論理的な)道筋を示してくれる
・自由度がある、自由に研究できる
・文献などが手に入り、実験などができる
・環境が整っている
・人間環境が整っている
・議論が面白い、開かれている
・若い、エネルギーがある
・カオス性抜群、多様性がある。
・他者を理解しようとする(その気がある)
・学力水準が保証されている、一定以上である。
・共有性が担保されている。開かれている。
・人生の選択肢を考えられる/さまざまな選択肢がある
・独学だけではえられない、多様性が開かれがある
・情報交換ができる

・お金がかかる
・何をやっているのか不明。なんのためになるのか?あとで後悔することがある。
・部外者が加わりにくい
・情報が意外と古く紋切り型
・世間知らず、お役所体質、画一的。
・やる気なしでも卒業できる/してしまう
・卒業時の学生の質保証ができにくい
・教員の仕事が「ブラック」。忙しさを要求する。
・仕事の内容が均質的すぎる
・授業クラスの達成度のレベルの差がでかい
・細分化しすぎ
・母校愛をもりあげる企画がもりあがりに欠ける。あるいはダサい。
・優秀な人に仕事が行き過ぎて、過労死の原因になる
・実践性に欠けている
・ただたんに成績をあげるために注力しすぎ
・外の世界に無知
・だるい、退屈である(特に授業が!)
・大講義室の授業
・キャンパスが昔のまま。
・トイレが汚い
・授業を中心に大学が動かない

・大学無償化、税金投入して、サポートの ビジョンを共有すること。
・紹介、広報の充実。大学に参与する人に情報提供する
・部外者の参入に、条件をつけるな。
・学生のニーズの多様性に応えること
・(画一性や同じものの繰り返しに対して)常にアップデートすること。学内で競争して、随時改善する。
・どうせできないので、諦める(という適応方法もある!)
・卒業試験を厳しくする。授業の質の保証
・員数を増やす、分担案を示し、改善をはかる
・均質な仕事に対してじゃ、選択の可能性をあげる。
・評価がなされない部署をきちんと評価して、正当に扱う
・教育をする人によりリソースを配分する。
・学生には授業の内容を面白くして、教員にはインセンティブをつけてあげる。
・高学年になっても、他学部、他研究科、他部局間を自由に渡り歩けるように、部局間の敷居を低くする。
・ロゴマークがダサく、また母校愛への盛り上げをがたらないものには、デザインをかっこよくする。大学が所在する街の人たちにも支援やサポートをいただけ るように、広報交流活動を続ける。
・実践と理論の合致を、勉強だけでなく、職場で実際にやってみる。
・失敗を恐れず、いろいろなことに挑戦する。
・外部世界に出会う。グローバル・ヴィレッジ化する
・学士の勉強を、ステップごとに、目標と達成度をわかりやすくする
・専門科目の履修は、医師・歯科医師・看護師・薬剤師などの職業訓練校とそれらの科目だけに特化しないような工夫。
・高度汎用性教育が重要
・お金儲けは、重要だが、お金儲けだけに特化しない方法を考える。全体で儲けて、分配は公平原則でも考える
・インターンシップなどのように、外部依存だけに頼らない。
・規制が邪魔するものには、世間全体に規制緩和を訴える


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批判的テーゼ

【マクロウィキノミクスの定義】マクロウィキノミクス(Macrowikinomics)とは、マクロ経済学と、ウィ キ ノミクス(=ICTインターネット・ネットワーク社会の中で「大衆のコラボレーショ ン(mass collaboration)」と「オープンソース(open-source model)」が生み出す新しい経済の仕組み)という意味です。この用語は、ドン・タプ スコットとアントニー・ウィリアムズの同名の書名により、はじめて提唱されました。

新しい大衆のコラボレーションについてはこちら:新しい大衆の(マス)コラボレーション

1.コラボレーション(ウィキノミクス原則1)Collaboration

2.オープン(ウィキノミクス原則2)Openess

3.共有(ウィキノミクス原則3)Sharing

4.公正さ(ウィキノミクス原則4)Integrity
***

◎ 改革のための基本原則(=ウィキノミクス成功ルール)

●このFDワークショップのまとめ

→→→→

リンク(教育のオープンイノベーションに関して)

リンク(無消費に関して)

文献

その他の情報



(c)Mitzub'ixi Quq Chi'j. Copy&wright[not rights] 2017

Do not copy and paste, but you might [re]think this message for all undergraduate students!!!



tecolote

アナスタシアの御加護により、マクロ ウィキノミクスの議論は出尽くした感あり。残されたテーマは(1)「ICTにおける悪」の具体的な諸相を枚挙すること、次に(2)それらに対する処方せん (複数)を考えること、そして(3)その悪の本質をなすものはなにかについて考察すること、となっています。

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