アメリカ合衆国のネット調査でも学生たちは、新型コロナ（COVID-19）流行のもとでのオンラインのみでの大学授業料は下げるべきとの意見をもっているらしい（Abigail Hess, "More than 93% of U.S. college students say tuition should be lowered if classes are online," July 27, 2020, make it）。日本でも、大学当局に対して大規模な授業料返還訴訟が起こるのではないかと危惧している大学関係者も多い。だが「授業料は得られた知識と等価物」 などではない。また、そのような項目記載が、大学と学生（授業料納付者）との契約書類に出てくるわけではない。大学の執行部や経営に教員の代表として関 わったことのある人間なら、大学の財務諸表を穴のあくほどみているはずなので、そのような推論するものは「素人」だと見なされるのがオチだろう。だけど、 大学教員も学生も、新型コロナ（COVID-19）流行のもとでのオンラインのみでの大学授業料は下げるべきだとどうしても考えてしまう。そのような謬見 （＝びゅうけん：誤った意見）や臆見（＝おっけん：不確かな思い込み）の原因には、対面授業よりもネット授業がコストが安くかかっているはずだという、 ジェレミー・リフキン（Jeremy Rifkin, 1945- ）流の「限界効用ゼロ大学」という愚かなビジョンがあるように思える。

そ のような、愚かな意見を払拭するためには、学生たちに財務諸表など見せても、それを理解することできない。したがって、新型コロナ（COVID-19）流 行のもとでの大学の急務は、コロナ流行がおこる以前の対面型授業よりも、オンラインあるいはオンデマンド授業が「抜群に面白くためになる」つまり、支払っ た「授業料は得られた知識と等価物」と学生と授業料を支払う者に錯認させるような仕掛けが、大学当局には必要になる。（国立大学では、文科省や財務省などの霞が関の官僚にも「満足していただけるような」魅力的な大学の心証操作が必要になることは言うまでもない）。

授業の改善策としては、より多くの顧客（＝受講学生）を確保する（＝人気授業、学生にとっては「元が取れた」と錯認する）ために、よりよい教育の充実のためには、大学の側に十分なマーケティングの思想が重要になる。だが、市場や顧客の動向の変 化のため、マーケティングの理論もまた不変ではない。クリストファー・ロックは『ゴンゾー・マーケティング』のなかで、これまでのマーケティングの基本は 「あなたのお金がほしい」というものから転換して（商品やサービスを提供するものは）「あなたたちと同じことに興味をもっています」と変わらないとならな いと主張している（→「日本の教育に物申す！」）。

大学の授業もまた、これまでの「あなたたちは私の授業を受けてほしい／受けるべきだ」という古典的マーケティングの原則から脱却して、教師集団 もまた新しいセンスに基づいて「あなたたちと同じことに興味をもっています」つまり「一緒に興味あることを学んでいきましょう」という姿勢がないとならな いだろう。なぜなら、それが、良識ある学生が教師にもってもらい態度だからだ。もし教師が古典的な態度で「学生はツベコベ言わずにコレコレを学ぶべし」と 強圧的な態度きたら、学生は「授業料」をかえせというだろう。勉強をしたい学生の自由意思こそが、授業を改善するのだということを忘れてはならない（→「大学よ！さようなら！」「」）。

では、どうすれば我々は意識改革をすべきか？それは、既述のように「学生を顧客として」考えるのみならず、「学生を顧客として」扱うことにあ る。（このルーブリックを君のところに相談にきた学生と共にうめ てほしい）

リンク（サイト外）

• Clayton M. Christensen, 1952-
• 大学の先生になるに は、どうすればよいか？：進路講座（26分）（YouTube）
• 鉄は熱いうちに打て、自分が置かれた状況を反省せよ、行動はすぐに適切にせよ!!!
  

リンク（プロパガンダ・イデオロギー）

• ︎ゲッベルスの宣伝術▶ソマティック・マーカー仮説▶︎︎︎フィッシャーとユーリーの交渉の技法▶︎イデオロギー▶︎︎Il est interdit d'interdire !▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
  

リンク（日本の教育に物申す! - サイト内リンク集）

• ︎01■「ゆとり教育」は決して悪くない！▶︎02■対話型の授業とは？▶︎︎03■問題にもとづく学習とは？▶︎04■学ぶとは１人でおこなう実践ではなく「みんなで一緒に」する実践のことである▶05■対話型の教育実践の困難さについて︎︎▶06■子供たちを「解放する」とは？︎▶︎︎07■マスコミと政府を人民が「飼い馴らす」ことの戦略的重要性▶︎08■学校の風景は「醜悪」なのか？▶︎︎09■楽しい学校にするためには？▶10■怒れ！人民たち（ピープル）︎▶︎11■皆が哲学を「勉強させられる」のではなく、皆が哲学者になればいい︎▶︎12■「先公」（＝先生）の存在の意義▶
  

リンク（サイト内：教育）

• 教育方法としてのアクティブラーニング
• マーケティングの観点から現代社会が抱える問題とその処方のヒント集
  

リンク（授業料に値するものとはなにか？）

• ︎授業料は得られた知識と等価物なのか？▶︎ローレンス・レッシグ『CODE』と『コモンズ』について考える▶︎︎CO*-DESIGN 用語集▶︎大学破綻処理法▶真摯な高校生の質問にお答 えします︎︎▶︎能産的自然と所産的自然▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
  

リンク（学生や国民のコロナに対するマインドセット）

• NHK世論調査（新型コロナウイルス感染症に関する世論調査（第２回）単純集計結果）2021︎▶NHK世論調査部「多メディア時代における人々のメディア利用と意識」『放送研究と調査』2021年秋︎, pdf▶︎︎吉藤昌代／渡辺洋子「若年層のスマートフォンによるメディア利用行動と利用意識」2020,pdf▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
  

リンク

• ︎高度教養教育とはなにか？▶︎高度教養教育のデザインは可能か？▶高度汎用力とは？︎︎▶︎次世代イノベーショ ン人材育成にむけた企業現場における高度汎用力教育の具体像に関するニーズ調査▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
  

文献

• ゴンゾー・マーケティング / クリストファー・ロック著 ; 山形浩生訳、翔泳社 (2002)／Christopher Locke, Gonzo marketing : winning through worst practices. Perseus, 2001
• クレイトン・M・クリステンセン（Clayton M. Christensen, 1952- ） ほか『ジョブ理論』依田光江訳、ハーパー・コリンズ、2017年／Christensen, Clayton M.; Dillon, Karen; Hall, Taddy; Duncan, David (2016), Competing Against Luck, New York, New York, USA: HarperBusiness,
  
• 教育×破壊的イノベーション : 教育現場を抜本的に改革する / クレイトン・クリステンセン, マイケル・ホーン, カーティス・ジョンソン著 ; 櫻井祐子訳, 翔泳社 , 2008/ Disrupting class : how disruptive innovation will change the way the world learns
  
• XXXX
  

その他の情報