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よい感情労働/悪い感情労働

Good emotional labour and bad emotional labour

池田光穂

—— 「あらかじめ定まった普遍的で合理的な基準など存在しないのである」(ジジェク 2002: 203)

感情労働」とは、相手(=顧客)に特定の精 神状態を創り出すために、自分の感情を誘発したり、逆に抑圧したりすることを職務にする、精神と感情の 協調作業を基調とする労働である。

★感情労働を軸にした人と人の関係

人 と人の関係を規定する倫理は「コミュニケーションの 倫理」(正確にはinter-personal communication)でもある。医療倫理の4原則というものがもっとも有名である。すなわち、1)自己決 定(Autonomy)2)善行(Benevolence)3)無加害(Nonmaleficence)、そして、4)配分上の正義(Distributive Justice)

●病気の治癒過程における、病人と医療者 の関係

●よい病人感情労働/よい医療者の感情労働(よいとは、ストレスのかかりにくい、という意味で、道徳的な意味ではありません)

●悪い病人感情労働/悪い医療者の感情労働(悪いとは、ストレスのかかりにくい、という意味で、道徳的な意味ではありません)


★よーするに、悪い病人の感情労働によって、いくらよい意思をもった医療者も、時には反応的に悪い医療者の感情労働をやっちまう、ことがある、ちゅうことです!!!

●よくいわれる、医療倫理実践における原則 (出典:バーナード・ロウ[2003:12-21])

  1. 個人の尊重
  2. 詐術と情報非開示の回避
  3. 守秘義務
  4. 約束の遵守
  5. 患者の利益を優先する
  6. 医療資源を公平に配分する
  7. 倫理原則の実践——1)ケースを通して具体的に考える、2)例外についての配慮とオプションを認めること、3)矛盾する複数の倫理原 則が あることを、容認する
  8. 原理と義務を確認
  9. 倫理へのさまざまなアプローチ:1)決疑法(casuistry)、2)ケア倫理、3)徳の倫理 (→サルにもわかる倫理学

バーナード・ロウ『医療の倫理ジレンマ』 北野喜良, 中澤英之, 小宮良輔監訳、新潟:西村書店。

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★個人の中の内面における価値や実践の倫 理

個人の中の内面における価値や実践の倫理 (マルチン・ブーバーの用語だと「我」と「汝」、ジョージ・ハーバート・ミードだと、アイ(I)とミー (Me))の関係である

われわ れはみな、甲胃を身にまとい、われわれに生ずるしるしを近づけぬようにしている。 しるしはたえず生じている。生きていることは、語りか けられていることであり、われわれはただこのしるしに立ち向かい、これに耳を傾けることだけが必要である。しかしこの冒険はわれわれにとって非常に危険な ものである。音のない雷は、われわれに破滅の威嚇をなすごとく見え、それゆえ、われわれは世代ごとに防禦の備えを完全なものにしようとする。われわれの知 識は、つぎのような確信を与える〈落着きなさい、すべては必然的に起るべくして起る。何もあなたに向けられているのではない、あなたがねらわれているので はない。まさにこのようなのが世界である。あなたは自分で望むままに世界を体験することができる。しかしあなたが心の中でいつも思っていることは、すべて あなたから生ずるのである。あなたは何も要求されず、だれもあなたに語りかけず、すべては静かである〉と」(ブーバー 1979:189)。

(未完)

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文献