[なになに]人類学入門
私の本業の医療人類学をはじめ、文化人類学という大きな分野には、しばしば「何々(なになに)」人類学と形容する下位分野があります。多くの西 欧語では、形容詞が人類学を修飾し、日本語では名詞の形容詞的用法で人類学という学問の領域について限定をしています。これらを、ハイ フンつき人類学あるいは連辞符人類学というふうにも表現するすることができます。これについての説明は後ほど説明しますので、用語をお探しでしたら、下記 のリンクからアクセスください。またリンクがない、あるいはここでリストアップされていないものがありましたら[お知らせ]ください。
【解説】
私の本業の医療人類学をはじめ、文化人類学という大きな分野には、しばしば「何々(なになに)」人類学と形容する下位分 野があります。
多くの西欧語では、形容詞が人類学を修飾し、日本語では名詞の形容詞的用法で人類学という学問の領域について限定をしています。これらを、ハイ フンつき人類学あるいは連辞符人類学というふうにも表現するすることができます。
ただし「何々」人類学の中にも、文化人類学の下位分野ではなく、それに匹敵する大きな領域、つまり文化人類学の隣接分野とよべるものがあり ます。その例としては、自然人類学があります。
またフェミニスト人類学や構造人類学のように、人類学者が依って立つ視点(イデオロギーや研究視座)を強調したような呼称があります。
あるいは応用人類学のように、人類学的知識の使われ方に関する議論もあり。これらは例えば、都市人類学や医療人類学のような研究と共存する こともあり、それぞれ都市応用人類学とか、応用医療人類学と呼ばれたりすることがあります。
また英国起源の文化人類学研究を「社会人類学」と呼ぶように、実質的に中身(=研究のスタイルや理論)は類似しているかほとんど同じものが あります。
社会人類学と対比して、わざわざ意識して「文化人類学」と呼ぶ場合は、北アメリカの知的伝統にあることを明示していることになります。社会 人類学も文化人類学も、隣接学問である自然人類学や言語学と区別することを意識しながら、広義の人類学 の枠組みのなかにとどまっています。
このような「何々」人類学の呼称を、文化人類学がもつ本来の相対主義にもとづく全体論的思考から離れるものであると批判する人たちがいます (その理由はこちらで説明)。そのような立場とると、例えば「医療人類学」が「医 療の人類学」、「宗教人類学」が「宗教の人類学」と呼ばれるようになります。もちろん、延々と自分の専攻分野を繰り返して呼称することに飽きて、代替的に そう呼ぶこともあります。後者では、2つの間は同義語の関係になります。
以上で列挙したのは、文化人類学の下位分野としての何々人類学です。それ以外にも研究の立場を表明したものも含まれます。
順番に優劣はありません。たまたま私が見たり聞いたりしたものを列挙しています。
文化人類学に関連する学問で、連辞符つきの表現により成長してきたのがカルチュラル・スタディーズです。
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