池田光穂『暴力の政治民族誌』を舞台裏から読 む:研究費獲得編
Political
Ethnography on Brutal Violence against Indigenous People under
Guatemalan militaristic rulers, from 1960s to 2010s
この 本の(1)各章が書かれた時期、(2)取得していた研究費(外部資金)、(3)フィールドワークをした場所、そして(4)私自身の研究関心である。(池田の全研究費獲得の記録は「科学研究費補助金DB」にリンクしてください)
(1)各章が書かれた時期
一番最初は第3章に書かれたものである。医療人類学のテーマを「卒業」して、はじめて政治経済的な変動に関心をもった。フィールドはトド
ス・サントスが中心である。暴力の語りと暴力構造を分析した第5章がそれにつづく。第4章の「語りと証言」は、実際に印刷物として発表されたものではなく
ウェブページで、第5章の派生的副産物として書かれていたものである。その後、大阪に赴任する前後に書かれた7、8、6章が続く。第2章は、科研費の「都
市環境における実践コミュニティの人類学研究」でマムではなく、キチェ先住民の間での調査によって書かれたものである。そして、第9章と、第10章では、
地方自治やデモクラシーに興味が移り変わっていった。これらの調査地域は、コミタンシージョが中心になる。1章と11章は実質的に書き下ろしであり、メモ
アール的な意味をもつ。
(2)取得していた研究費(外部資金)
この図をみて、池田は研究費がリッチであるなぁと誤解しないでいただきたい。水色が私が代表者としていただいたものであり、濃い肌色のもの
は、私が分担研究者として配分したものである。中央アメリカへの旅費経費はコミュニティに到着すれば非常に安くすむが、そこに到るまでの航空運賃は高く、
また長いバス旅を要求される。さらに時差ボケ(ジェット・ラグ)があるために、みなさんが予測する以上に困難を極める。そのために喜びも悲しみのなかなか
半端なものではない。滞在中に大きな地震にも遭遇したことがある。フィールド調査の苦労を考えると、歳をとるにつれておっくうになる。里帰りのように行け
ば(=戻れば)それなりに旧交を温めて楽しいが、いくまでの資金の調達や、準備はあまり楽しいことではない。病気にも遭遇する。
(3)フィールドワークをした場所、そして
第3章、4章、5章、7章、6章、8章のフィールドはトドス・サントスが中心である。第9章と、第10章では、地方自治やデモクラシーに興 味が移り変わっていった。これらの調査地域は、コミタンシージョが中心になる。1章と11章のなかに、チアパスの思い出があるが、これは1990年のもっ とも初期の思い出にも含まれる。正直に吐露すると僕はフィールドワークはそれほど上手ではない。情報を提供する人たちの辛抱強さと、僕につきあってくれる 人柄の良さに感謝している。
(4)私自身の研究関心である。
上の推移で、本書に反映されていないのは、水色で示した「医療人類学」と「観光と経済」だけである。言い方をかえると、グアテマラの先住民
の人たちこそが、へっぽこ文化人類学の私を鍛えてくれて、道徳的に高潔であれという倫理観を陶冶してくれたのである。
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章立て(関連するリンクです。オリジナルの章と比較してくだされば、2度美味しい)『暴力の政治民族誌』を256倍より深く《読む》方法、より
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William
de Baskervilles and Jorge Borge, el gran sabio ciego
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