かならずよんで ね!

人工知能と宗教

Artificial Intelligence and Religion

Georges Rouault (1871-1958)

池田光穂井上大介

このページでは、AI(人工知能)と宗教 を考え、池田と井 上大介氏との共同プロジェクトである。(将来的には〈AIが宗教を信じるという可能性〉 も思考実験として取り入れるつもりでもある→※「ギアーツ「文化体系 としての宗教」」「シンギュラリティ崇拝の構造」)

︎人工知能・機械学習・深層学習・連合=協調学習人工知能と宗教︎▶︎︎ある「生命論と宗教と人工知能」論に対するスコラ的論駁▶︎電脳レリギオについて▶︎︎AI時代において「空気」を読むシンギュ ラリティ研究のための11のテーゼ(解説編)︎▶宗教人類学︎︎▶︎サイバー 空間における宗教▶宗教コミュニケーション︎︎▶︎AI(人工知能)のエスノグラフィー︎▶︎人工知能とサブルカルチャー▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎

● 我々(井上・池田)が、考えている/取り組む べき課 題

テーマ

1)デジタル聖典
経典や聖典をインプットし要望に応じてその内容が検索できる
2)デジタル神官
その内容を教祖や指導者の音声、映像、あるいはロボットとして感情的な 要素も加えて提示してくれる。AI開祖的なもの
3)デジタル・シャーマン
死者や先祖の言葉を死者や先祖の情報をインプットすることで共有できる デジタル・シャーマニズム
4)デジタル・エクスタシー
特定の音声や映像、宗教的メッセージの共 有によるエクスタシー体験
5)デジタル回心
人間が頑張ろうとするメッセージ、欲望を 乗り越えようするメッセージ、他者と調和しようとするメッセージなどをAI分析によって抽出し、そのメッセージに触れるだけで宗教的感動が体験できる

 宗教経験の時代的(歴史的)相対性について

今日もし、 もっともロボット化された、もっとも非「個性的」な個人がプラトンの『国家』を読むとすれば、 びっくりしてつぎのように叫ぶであろう。そこでは個人は、分業によってわりあてられた自分の 場所に完全に従属させられていて、なんの自由もないではないか、と。けれども、プラトンの時 代においては、だれも——プラトンのもっとも激しい論敵でも——こんなふうに彼を非難はしな かった。アリストテレスもしかりである。なぜならば、プラトンの国家機構のなかでの 暮らしは、 当時の個人にとって、彼の個性の侵害を意味するものではなかったからである。つまり、個人は とうてい今日の個人ではなかった。じっさいに現存する欲望や要求だけが「侵害し」うるものな のである。われわれは、モアの『ユートピア』を読むときにも同じ感じを持つ。けれども彼の生 きていた頃には、だれもが、人間はユートピア島においては無条件に自由なのだと考えていた。 共同体がその成員に、なんらかの宗教に所属することを命じたら、ユートピアの住民としては、 個人の束縛だと感じたであろうが、11世紀の共同体においては逆におそらくだ れからも自由の侵害とは感じられなかったであろう」(ヘラー 1976:14-15)。

——つまり、実際に現存する欲望や要求だけが「侵 害」しうるものなのである——つまり個人の尊厳や自由という概念は普遍的価値をもつと信じるのがリベラルデモクラシーの底の浅いところで欲望や要求がどの ような条件のなかで制限されたり禁止しているのか注意深く「権力」を観察することなのだ。そして、現存する欲望を侵害する権力は、科学権力(知は力)か社 会権力(掟は力)しかありえない。そのために、科学と社会を排除する言葉として「個人の自由を権力に対して要求すること」はその発見的意味として有効であ る。

 よくあるAIと宗教に関する俗説について解説する、と共に、その俗説をきちんと文化人類学という専門の立場から批 判すること

よ くあるAIと宗教に関する俗説
俗 説(=つまりハッタリ)言説の紹介
批判的コ メンタリー
・マツコロイドに代表されるように「対話能力」の発達したAIができて きた。
・人工知能の言語処理は、我々の話す自然言語の分析、すなわち「自然言 語処理技術」は発達してきたので、やがて、人の悩みを聞いて、答えや説教をするロボットがでてくるはずだ。
・確かにそのとおりかもしれません。しかし、これは、高度なおみくじと 同じで、機械は入力された情報を処理して、また追加の質問して、その時点での最適解を提示するにすぎません。興味ふかいのは、AIの推論能力ではなく、人 間はメディア等式の図式のなかで、しばしば、過剰に人工知能に思い入れをする可能性です。
・したがって、そのような人格化されたロボットに宗教家のような取り扱い方をする人が登場したり、また、マネージメントして教団をつくろうとする動きがあ るかもしれません。ただし、それには、やはり多くの人間的な相互協力が必要で、それは規制の宗教教団とほとんど変わらないものだとおもわれます。
・また社会もそれを管理する国家も、既存の宗教団体として認定するにすぎません。
・シンギュラリティ(技術的特異点)というのがやってきて人間は機械に 支配コントロールされるようになる。
・シンギュラリティ(技術的特異点)というのが2045年かそれよりも 早い時期に到来して人間は機械に支配コントロールされるようになる。
・人工知能は人間よりも賢いから、次第に人間はその機械の言うことをきくことになる(→「シンギュラリティ時代における宗教」)。
・人間が機械に支配されるという定義の問題もありますが、知能が凌駕す るのと、人間が人工知能に支配されるとの間には、異なったプロセスがあるために、その可能性は否定できないものの、それほど悲観的になる必要はありませ ん。
・ただし、機械が暴走して、人間生活が立ちいかなくなった時に、予防措置や免疫のようなものは必要です。例えば、1週間に1日ぐらいはスマホやインター ネットを使わない「ネット断ち」は、その免疫力を高めるひとつの方法です。
・検索エンジンを利用すれば、解決方法を教えてくれるので、AIは宗教 に代わるようになる。
・代表的な検索エンジンを使って悩みを解決できるので、宗教はいならく なる。 ・「宗教はいならくなる」という主張が愚かです。たぶん、この人は宗教 のなんたるかを知らないでしょう。イオアン・ルイス(1977)は、伝統宗教、新宗教を問わず既存の宗教は「信仰、儀礼、霊的体験」が必要だと言っていま す。信仰は、心の課題ですし、霊的体験は身体的な経験です。そのうち儀礼の部分には、さまざまな宗教的シンボルが必要になります。検索エンジンは、文章と いくつかのイメージを提示してくれますが、既存の宗教が提供するさまざまな強力なシンボルを提示することはできません。なぜなら、そのシンボルは、心と身 体にともに作用するからです。
・神とする宗教団体が、既存の宗教団体に置きかわり、世の中はAI信仰 だらけになる。 ・元GoogleエンジニアがAIを神とする宗教団体(Way of the Future)を作った。日本では「エイアイクオリア(旧AI宗)」 がある。。今後とも、そんな人は増えるに違いない、というのが、俗説のひとつです。(→「電脳レリギオ」)
・AIを神とする人たちは今後でてくると思われますが、それは、アニミ ズムのような万霊信仰でも、唯一神でも、それに置き換わるだけで、既存の宗教とそれほど大きくかわることはないようです。
・それよりも「世の中はAI信仰だらけになる」という信念が事実とは異なります。というのは、全世界的には19世紀以降の世俗の流れのなかで、「宗教を信 じていない人」の数は増加傾向にあります(→「無神論の系譜」)。
・特定の宗教団体の活動を批判するつもりはありませんが、右にあげた「エイアイ クオリア(旧AI宗)」の運営団体は「一般社団法人いきいきぷらざ」は、いわゆる葬儀会社であり、この「エイアイクオリア」はHPでいう「人々が抱える悩みはその時々異なるため、 一つの宗教に限らず、多面的に宗教的価値観から、その人のその時にベストな答えを与える」と称しているのも、どのような宗派での葬儀でも可能にするために エキュメニアン化(世界宗教化)とということも言えます。
・既存の人間の宗教的職能者は、やがて機械によって代替されるようにな る。だから、その人間よりもみんな機械によって宗教は管理されるようになる。
・お経をするロボットであるペッパーの「ロボット導師」や京都の高台寺 の「アンドロイド観音」で宗教をハンドリングする社会が 到来するはずだという仮説(というか妄想)です。これがちょっとSF的になると「宗教的職能者の人間よりもみんな機械によって宗教は管理されるようにな る」という恐怖言説になります。 ・「宗教的職能者の人間よりもみんな機械によって宗教は管理されるよう になる」という恐怖言説になるという人は、もともと、宗教でない「無神論」者に多くみかけら れます。そのような主張は、宗教を表面的にみて、「宗教のもつ人間的機能」を過小評価しています。一言でいうと、宗教などはどうなってもいいと思っている ので、その希望的願望が、客観性を帯びた、未来予測になるのです。
・現在は、ロボット導師やアンドロイド観音は、人々の興 味をかきたてるエピソード以上の関心の思想的意味はなさそうです。ただし、アンドロイド観音
・人はいろいろな考え方をするものだから、AIが既存の宗教に代わって いくことは避けられない。
・「人はいろいろな考え方をするものだから、AIが既存の宗教に代わっ ていくことは避けられない」という歴史主義かつ運命論的な見方。
・このような歴史主義かつ運命論的な見方には、なんら科学的根拠はあり ません。AI宗教を推進したり、もともと宗教などどうでもいい人は、既存宗教が衰退することを最初から期待しているからです。だから、このような無責任が ことを言う人は、もともと宗教に関心がなく、また、奥が深く複雑な世界のさまざまな「宗教」の実態に関心がないのです。無責任な思い込みにすぎません。
・このような謬見(=間違った主張)から自由になる学問的方法に「宗教人類学」という方法があります。ぜひ、リンク先を参照してください。

人類と機械の関係性のなかに既存宗教をどのように位 置づけるか?

グレマスの四角形を使った「シンギュラリティ・カルトは宗教とはい えない」説明

AI審問集(YOSHIHIKO教授らの指摘より)

審問
議論
AIにとって「生きる意味」とは何だろう か? AIが自己言及的に思考できることが「生 きる意味」を考える前提条件
AIにとっての「死」とは何か

AIをインスタンス(実装本体)として考 えると、それはソフトウェアとハードウェアの融合体

AIが、現状のコンピュータに実装されて いる限り、メモリ(半導体)上の電荷によるビットイメージにすぎない
現状のコンピュータの実装から「自由」に なる、機械的条件とはなにか?
ハードウェアを破壊または故障すれば、イ ンスタンス(存在)が消えるはず
ハードウェアは冗長化されており、地理的 に分散されているため、ビットイメージは、瞬時にバックアップされ、世界中を自由に移動することができる
インスタンスも断片化かつ分散化されてい るため、部分的に破壊されても、残りの部分で、特殊な演算(パリティ)によって修復できる

人間の体(ハードウェア)と魂(ソフト ウェア)のようなものとの類似性

◎【別の審問のヴァリエーション】

AIと宗教の共存は可能か?:宗教にできてAIにで きないもの或いはその逆について

この課題は「AIと宗教の共存は可能か?」は宗教に できてAIにできないもの、およびAIにできて宗教できないものついて、AI研究、文化人類学、コミュニケーション研究、宗教研究、保健カウンセリング研 究の立場から、新しい科学技術立国をめざす日本における、最新のAI研究、企業や社会でのAI実装、主教教団の中でのICT活用やAIの導入、宗教的カウ ンセリングと保健カウンセリングにおけるAI実装などについて調べ、この学問的「問い」に答えようとする。日本の研究を中心に行うが、米国における同様の 審問についても比較考察する。なぜならば、北米の大学ではキリスト教創造主義と生物進化論が激しく対立する反面、日本では「科学と宗教」は論争になってこ なかったからである。しかし両国では現在、AI至上主義的動向が、宗教と倫理という既存の枠組を破壊し、ポスト真実的政治状況を惹起しつつあるAIと宗教 の共存の動きは、今後日米の間で想像もできないような展開も予想される。そのために実証的兆候の資料を集め、動向の未来予測も試みる。

● 現在の水準では、AIは我々の日常生活でどんなことをやっ てくれるのか?(久留米工大のHPより)

AI活用事例
久留米工大の解説
宗教の現場の実装
お掃除ロボット 人工知能の最も身近な例としては、お掃除ロ ボットの「ルンバ」があげられると思います。人工知能と聞いて「お掃除ロボット」「ルンバ」をイメージする方も多いことでしょう。

人工知能が搭載されたルンバは、内蔵されたセンサーによって障害物を避けながら掃除をすることができます。また、部屋の間取りや家具の配置などをデータと して設定することで、同じ道を通ることなく、効率的に掃除を行うことができます。掃除が終わったら、ルンバ自身で充電器のある位置まで戻ることができま す。

「掃除もできないくらいに疲れている時に、特に便利だと思う。」「帰宅時、いつも綺麗に掃除されていて、すごく心地いい。」という声が多いようです。
・教団施設のお掃除→しかし、これは教団の活動の「本質的」なことだろ うか?
自動車の自動運転
近年、各自動車メーカーが特に力を入れているのが、人工知能による自動 車の自動運転です。画像認識機能や音声認識機能から得られた情報を用いて、通行人、対向車、信号、標識などを認知することや、駐車していた車が動き出す瞬 間を察知することなど、人間と同じような水準の認識を可能とする人工知能の研究開発が進められています。

また、「人間が見落としそうな危険を認識することができる」「疲労や感情の乱れがない」といったことから、自動運転以外に、事故率の減少にもつながると期 待されています。
・教祖や要職の自動車の運転→しかし、これは教団の活動の「本質的」な ことだろうか?
感情を持つロボット
ソフトバンクは、「愛を持ったロボット」をコンセプトとして、人間の感 情を認識できるロボット「Pepper(ペッパー)」の研究開発に取り組んでいます。人間の表情、声のトーン、文章などを読み取ることで、喜びを分かち 合ったり、悲しみに同情したりといったことが可能となるようです。
・信徒へのさまざまな相談業務。でも、これを可能にするには、信徒が教 団のロボットやAIへの「信頼」を かちとることが先決。
コールセンターにおけるオペレーション業務のサポート
コールセンターの中にはオペレーション業務の品質向上のために人工知能 を活用しているところがあります。音声認識機能により顧客との会話内容を文字ベースで記録したり、会話内容を分析しながら問題解決につながるような情報を オペレーターに提示したりするものです。

大手銀行などではすでに導入されており、「顧客の満足度がアップした」「オペレーター不足の問題を解消できた」と喜びの声があがっています。
・信徒へのさまざまな相談業務。これも可能だが、データの蓄積や、(教 団が必ずしも良しとしない)既存の慣習とのすり合わせ、違法性の回避などさまざまな対策が必要とされる。
クレジットカードの不正使用検知
クレジットカード業界では、クレジットカードの使用状況をモニタリング したり、個々のユーザーの利用パターンを把握したりできる人工知能が使われるようになってきています。いつもの利用パターンから大きくずれた行動や、膨大 なデータから抽出された不正使用時のパターンと一致するような行動があれば、カード会社からユーザーに連絡がいくようになっています。

この技術は、自動学習により精度が高まっていくという見方がされ、将来的には、今と比べ物にならないくらいにまで被害が減少していくのではないかと期待さ れています。
・あまり関係ない。
検索エンジンの最適化
例えば「Google」など、インターネットの検索エンジンにも人工知 能が活用されています。キーワード、文字数、滞在時間、直帰率といった情報をもとに学習をしながら、質の低いコンテンツ、有害コンテンツ、コピーコンテン ツなどを排除するようしています。

このインターネット社会、多くの方が検索エンジンを利用されていますが、人工知能のおかげで、自分が必要とするコンテンツにたどり着けるようになっている のですよね。
・むしろ、メジャーな検索エンジンに対して、アピールするためには、宗 教色を排して、客観的な情報に徹する必要がある。

https://www.kurume-it.ac.jp/style/ai-case

●旧クレジット:AIと宗教(英タイトル変えず: Artificial Intelligence and Religion)[→人工知能と宗教

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文献

その他の情報

Maya_Abeja

Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

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