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コヨーテ(coyote)

解説:池田光穂

こ:コヨーテ(coyote):コヨーテとは動物か らとったニックネームであるがグアテマラからアメリカ合衆国までの不法入国渡航を斡旋したり引率して国境を越えさせる業者のことである。メキシコからの合 衆国への移民は古くからあったが、やがてそれを斡旋する専業者が登場し、次第に国境を越えて南下するようになった。米国とメキシコの間の国境は1970年 代後半からは南米からのコカインの密輸ルートが確立するようになった。それに伴い麻薬マフィアやカルテルがサイドビジネスとして密入国事業に介入するよう になる。非合法の犯罪集団のネットワークとも言えるものであるがグアテマラでは国境周辺の街を中心にそのような業者(セールス・プロモーター)がおり、そ れぞれのカルテルネットワークに接続して移民を送り出している。だが、その全貌を知ることは容易ではない。コヨーテのネットワークの末端は個人的な縁故関 係(→ネポティズム)で結ばれている。不法移民として合衆国に渡ることを、その方角を指して「北(ノルテ)にゆく」と呼ばれ、合衆国は「エル・ノルテ」と 呼ばれる。ふつうはコヨーテに半額程度の手付金を渡すが、法外な額のために、土地や動産を担保にしたり、借金を縁者からかき集めてからコヨーテとの旅に出 る。コヨーテは中継点でまた別のコヨーテに引き継ぐこともある。無事に米国に渡り、日雇いや就職先が決まれば送金が始まるが、その多くは借金返済に充てら れる。1年から2年ほどで戻ってくるものが多いが、渡航時期が近年になればなるほど稼ぎの貯蓄の効率は悪くなる。そのため再度渡航に挑戦する者も多い。麻 薬カルテルの抗争に巻き込まれたり、行方不明になったり、渡航先で別の配偶者を見つけ連絡がなくなったり不幸な顛末があるにも関わらず、先住民が果敢にも 挑戦するのは、一にも二にも経済的な魅力によるものだと、多くの当事者である経験者は語る。

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