ポポル・ヴフ神話, Popol Vuj
ぽ:ポポル・ヴフ神話(Popol Vuj):『ポポル・ブフ』とはグアテマラ先住民キチェの人たちがスペイン征服期以前から伝承していた世界の創世神話である。双子の英雄フンアフプーとイ シュバランケーらが織りなす冒険譚、世界の来歴、混沌と秩序、人間がトウモロコシからうまれるなど、読者をわくわく、ハラハラさせる。今日でもさまざまな 校本と翻訳がある。18世紀にドミニコ会司祭のフランシスコ・シメーネス(1666-c.1729)が採集し保管していたが、19世紀に偶然に発見、翻訳 されて、西洋世界にもたらされた。デニス・テッドロックは、それを現代キチェ語とスペイン語に対訳翻訳し、現地の伝統文化の復興に文化人類学者として大い に貢献した(この項目は第2章脚注(1)の再掲である)(→『ポポル・ヴフ』機能的索引)。
なお「20世紀になって、何人かの学者がヒメネスの
翻訳を検討した結果、ヒメネスは定量化できないほどの不正確な訳を導入しており、さらにヒメネスのポポル・ブ
フの翻訳を詳細に検討することが不可能なことから、その翻訳は非常に不誠実で、修道士が高い割合で訳を省略していると結論づけた。この発見は、ポポル・ブ
フの最初の1180行を、修道士が作成した2つのスペイン語版と徹底的に比較分析した結果である。また、『ポポル・ブフ』が西洋的な発想で書かれた書物で
あることは、その構成の統一性から、物語の収集者が一人であるとする根拠があることも指摘されている。批評家は、ヒメネスがどの程度テキストと相互作用し
たかは十分に確立されておらず、最初のフォリオ・レクトに含まれるアイデアのいくつかは、完全に土着のものではないと確認できると結論づけた」二人のヒメネス」より)
第1部から第4部までの4部構成である。第1部の第 1章、第2章、第3章→第2部と第4部:宇宙と人類の形成、キチェ4人(柱)の創造とその子孫の、移動、征服、供犠、祭祀、天体の移動、が描かれる。そし て、第1部の第4章〜第9章:双子のフンアフプーとイシュバランケーが、巨人ヴクブ・カキシュとその子どもシバクナーとカブラカンを退治する物語(夜の出 来事)がメインである。さらに、第2部(全14章):第1部第9章を受けて、双子の誕生について話す。双子の父親のフン・フンアフプーとオジのヴクブ・フ ンアフプーの兄弟が、シバルバーの神に破れて、木に吊るされたフン・フンアフプーの首がヒカロの実になり唾で少女を孕ませたことなど。双子のフンアフプー とイシュバランケーは、異母兄のフンバッツとフンチョウエンを猿に変身させ、シバルバーの神を滅ぼし父の仇を報い、最後に太陽と月になり天に昇る。
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【略号】フナ→フナアフプー(フンアプフー);イシュ→イシュバランケーの2人は双子の文化的英雄 | アドリアン・レシーノス原訳校注 ; ディエゴ・リベラ挿絵 ; 林屋永吉訳『ポポル・ヴフ』1972年 |
1 |
59 |
序文 | p.13 |
2 |
67 |
原初的世界・本源的世界( primordial world) | p.17 |
3 |
70 |
大地の創造 | |
4 |
74 |
動物の創造 | p.20 |
5 |
75 |
動物の消滅 | p.26 |
6 |
78 |
泥の人間の創造 | |
7 |
80 |
木彫による肖像の創造 | |
8 |
85 |
木彫による肖像の消滅 | |
9 |
91 |
日没前の七羽のオウムの誇り | |
10 |
94 |
七羽のオウムとその息子たちの消滅 | |
11 |
97 |
七羽のオウムの敗北 | |
12 |
101 |
シパクナの功績と四百の少年たち | |
13 |
105 |
シパクナの敗北 | |
14 |
108 |
カブラカンの敗北 | |
15 |
112 |
フナアフプーとイシュバランケーの父親の歌 | |
16 |
113 |
シバルバーを越えた、ひとりのフナアフプーと7人のイシュバランケーの功績 | |
17 |
119 |
ひとりのフナアフプーと7人のイシュバランケーの召喚 | |
18 |
122 |
ひとりのフナアフプーと7人のイシュバランケーの没落 | |
19 |
128 |
「血の処女」とフナアフプーの樹 | |
20 |
131 |
シバルバーから「血の処女」の上昇 | |
21 |
135 |
「血の処女」とトウモロコシの奇跡 | |
22 |
140 |
祖母の家におけるフナアフプーとイシュバランケー | |
23 |
145 |
一匹のコウモリとひとりのチョウエン | |
24 |
148 |
トウモロコシ畑におけるフナアフプーとイシュバランケー | |
25 |
152 |
フナアフプーとイシュバランケーが狩猟動物を発見する | |
26 |
154 |
フナアフプーとイシュバランケーのシバルバーへの召喚 | |
27 |
158 |
フナアフプーとイシュバランケーがシバルバーへの召喚を受け取る | |
28 |
160 |
フナアフプーとイシュバランケーのシバルバーへの下降 | |
29 |
169 |
フナアフプーとイシュバランケーが冷たい家に入る | |
30 |
170 |
フナアフプーとイシュバランケーがジャガーの家に入る | |
31 |
171 |
フナアフプーとイシュバランケーが火の家に入る | |
32 |
172 |
フナアフプーとイシュバランケーがコウモリの家に入る | |
33 |
172 |
フナアフプーの頭の復元 | |
34 |
177 |
フナアフプーとイシュバランケーの死 | |
35 |
180 |
フナアフプーとイシュバランケーの復活 | |
36 |
181 |
フナアフプーとイシュバランケーが主人たちの前に出るように召喚 | |
37 |
182 |
シバルバーの主人の前でのフナアフプーとイシュバランケーの踊り | |
38 |
185 |
シバルバーの主人たちの没落 | |
39 |
187 |
フナアフプーとイシュバランケーの奇跡を呼ぶトウモロコシ | |
40 |
190 |
太陽と月と星々の神格化 | |
41 |
192 |
人間性の創造 | |
42 |
193 |
トウモロコシの発見 | |
43 |
196 |
最初の四人の男 | |
44 |
197 |
最初の男たちの奇跡の幻視 | |
45 |
199 |
最初の男たちの感謝 | |
46 |
200 |
神々の不快 | |
47 |
201 |
キチェ王国における母親たちの創造 | |
48 |
209 |
トゥランへの到着 | |
49 |
211 |
祖先たちが彼らの神々を受け入れる | |
50 |
213 |
祖先たちがトゥランを離れる | |
51 |
214 |
民たちは彼らの火にたずねる | |
52 |
216 |
民たちは自分たちの申し出に騙される | |
53 |
220 |
人びとはチ・ピシャブ山に集まる | |
54 |
221 |
チ・ピシャブ山上での彼らの受難 | |
55 |
223 |
最初の日没を待つ祖先たち | |
56 |
228 |
最初の日没の到来 | |
57 |
233 |
神々にささげられる供物が用意される | |
58 |
238 |
供犠のために殺戮がはじまる | |
59 |
240 |
民たちは神々を誘惑する計画をねる | |
60 |
242 |
「欲望の女」と「嘆きの女」の誘惑 | |
61 |
245 |
民たちは「塗られた外套」によって打ち負かされる | |
62 |
248 |
民たちは侮辱される | |
63 |
251 |
民たちは打ち負かされる | |
64 |
253 |
4人の祖先たちの死 | |
65 |
256 |
祖先たちの息子たちはトゥランに旅立つ | |
66 |
257 |
息子たちは支配の権威を受け入れる | |
67 |
260 |
キチェ族の移動(移民) | |
68 |
262 |
チー・イツマチの創設 | |
69 |
266 |
クマルカーの創設 | |
70 |
269 |
カヴェクの主(あるじ)たちのリスト | |
71 |
271 |
ニハイブの主(あるじ)たちのリスト | |
72 |
272 |
アハウ・キチェの主(あるじ)たちのリスト | |
73 |
273 |
ザクイックの主(あるじ)たちのリスト | |
74 |
274 |
クマルカーの主(あるじ)たちの栄光 | |
75 |
277 |
主人キカブの勝利 | |
76 |
281 |
キチェの兵士、その征服地 | |
77 |
284 |
貴族に列せらた者たちに与えれたリスト | |
78 |
285 |
神々の家々の名前 | |
79 |
289 |
主人たちの神々への祈祷 | |
80 |
292 |
キチェの主人たちの世代(系譜) | |
81 |
293 |
カヴェク・キチェの主人たちの王朝 | 【カヴェックの9首長】(レシーノス・林屋訳 1972:201) 1.アフポップ 2.アフポップ・カムハー 3.アフ・トヒール 4.アフ・グクマッツ 5.ニム・チョコフ・カベック 6.ポポル・ヴィナック・チトゥイ 7.ロルメット・ケフナイ 8.ポポル・ヴィナック・パ・ホム・ツァラッツ 9.ウチュチ・カムハー |
82 |
299 |
カヴェクの主人たちの偉大なる家 | |
83 |
301 |
ニハイブの主人たちの王朝 | 【ニイハブの9首長】(レシーノス・林屋訳 1972:201) 1.アハウ・ガレル(またはガレール) 2.アハウ・アフチック・ヴィナック 3.ガレル・カムハー 4.ニマ・カムハー 5.ウチュチ・カムハー 6.ニム・チョコフ・ニハイバブ 7.アヴィリッシュ 8.ヤコラタム 9.ウツァム・ポプ・サルクラトール 10.ニマ・ロルメット・イコルトゥシュ ※なぜ10になるのか不明(誤植?)第4部第8章注13 |
84 |
302 |
ニハイブの主人たちの偉大なる家 | |
85 |
303 |
アハウ・キチェの主人たちの王朝 | 【アハウ・キチェーの4首長】(レシーノス・林屋訳 1972:201) 1.アフチック・ヴィナック 2.アハウ・ロルメット 3.アハウ・ニム・チョコフ・アハウ 4.アハウ・ハカヴィツ |
86 |
304 |
アハウ・キチェの主人たちの偉大なる家 | |
87 |
305 |
言葉の母たちとしての偉大なる3人の召使い |
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