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ナルコトラフィカンテ(narcotraficante)

解説:池田光穂

な:ナルコトラフィカンテ (narcotraficante):ナルコとは麻薬のこと、トラフィカンテとは「運び屋」のことである。麻薬の密輸業者であるが、広く麻薬を製造、運 搬、密売する業者全般の一味のことを指す。1970年代ごろからコロンビアのコカイン製造業者のグループであるメディジン・カルテルを中心に、その生産地 からアメリカ合衆国の麻薬の北上密売ルート(とドル現金の南下ルート)が中米地峡ならびにカリブ海域に広範に開拓されるようになる。それらの関連業者の活 況は、それぞれの地域での大麻や阿片の栽培あるいは合成覚醒剤の粗野な製造を刺激することになり、中米は冷戦期および冷戦終結後も着実に成長を続けること になった。グアテマラの場合、1996年の和平合意後に周辺地域での軍事紛争がなくなった代わりにコロンビアの製造品を仲買していたアメリカ国境に面する メキシコ・カルテルの支配下におかれることになった。内戦末期から政治経済難民から北米ルートに不法移民を斡旋するコヨーテと呼ばれるブローカーは、やが て、これらの諸カルテルの麻薬北上ルートに「共に」移送される商品となった。北米の移民のリクルート経路はそのために、相対的賃金のより安価なメキシコ、 グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアと深部に進むことになり、今日の大不法移民ルートが完成することになった。アメリカ合衆国の経済に とってヒスパニック系と呼ばれる彼/彼女らは重大な貢献をすることになったが、アメリカの白人貧困層にとっての外国人排斥思想(xenophobia)を さらに悪化させている原因となっている。

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