行動する人類学
Anthropology in Action
解説:池田光穂
Copyright Mitsuho Ikeda, 1999-2001
以下は旧版です。歴史的資料として掲示していますが、最新版を必ず参照しま しょう。
●映像資料
ジルベルト・ディメンスタイン原作、サンドラ・ウェルネック監督(シネルス制作) 『路上の子どもたち――ブラジルのストリートチルドレンの闘い』1996年
●キーワード
ストリートチルドレン、子どもの人権、都市環境における暴力、犯罪
●関連映像作品
●文献
ジルベルト・ディメンスタイン『風みたいな、ぼくの命』神崎牧子訳、現代企画室、1992年
Nancy Scheper-Hughes and Carolyn Sargent eds.1998. "Small Wars: The Cultural Politics of Childhood". Berkeley: University of California Press.
Fuente: Scheper-Hughes, Nancy and Daniel Hoffman. 1998. Brazilian Apartheid: Street Kids and the Struggle for Urban Space, In "Small Wars: The Cultural Politics of Childhood," Pp.352-388. Berkeley: Universit of California Press.[シェッパー=ヒューズ,N.とD.ホフマン「ブラジルのアパルトヘイト―ストリートチルドレンの都市空間での居場所を求める闘い―(上/ 下)」『思想』2000年1月号(No.907),Pp.70-90. 2000年2月号(No.908), Pp.219-236.]
●リンク先
Discovering the Truth Behind Children in Brazil ( April Brayfield,Ph.D, Tulane Univ.)
[Thanks for her information, Ms. Emma Burrows from Osaka University]
●課題
●キーワード
対外債務、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、開発途上国援助、経済的従属
●関連映像作品
財布に鎖をつけられて : 債務危機のカリブ / Phase Three制作 ; アジア太平 洋資料センター日本語版制作[ビデオ(カセット)]. -- アジア太平洋資料 センター(発売), 1993. -- (PARC video)
●文献
死を招く援助 : バングラデシュ開発援助紀行 / ブリギッテ・エルラー[著] ; 伊藤明子訳. -- 亜紀書房, 1987
援助貴族は貧困に巣喰う / グレアム・ハンコック著 ; 武藤一羊監訳. -- 朝 日新聞社, 1992
債務危機の真実 : なぜ第三世界は貧しいのか / スーザン・ジョージ著 ; 向 壽一訳. -- 朝日新聞社, 1989. -- (朝日選書 ; 380)
マッキランとモントゴメリー編『IMF:改廃論争の論点』森川公隆監訳、東洋経済新 報社、2000年(文化表象学図書室に収書:NDC/338.97/I,46)
●課題
以下の言葉を定義(事典・インターネットで調べること)し、ニカラグアにおける多重債務問題が、どのような形で解消されるべきか考 察しなさい。
IMF:
世界銀行:
債務国と債権国:
多重債務:
構造調整:
ネオリベラリズム:
映像資料:ブラッドベリ監督“Jabiluka: Our electricity pollute the Kakadu Aboriginal land”(日本語版)フロントラインフィルムズ、1998年
●キーワード
ウラン鉱山、先住民族、土地権、環境破壊
●文献
奇跡の犠牲者たち : ブラジルの開発とインディオ / シェルトン・デーヴィス 著 ; 関西ラテンアメリカ研究会訳. -- 再版. -- 現代企画室, 1991. -- (イ ンディアス群書 ; 第9巻)
ブルドーザーが来る前に : 世界銀行とナンビクワラ・インディオ / デイヴィ ッド・プライス著 ; 斉藤正美訳. -- 三一書房, 1991
●リンク先
●ノート
映像冒頭に死者を映像に出すことが、彼・彼女らの慣習に反するものであるというテロップが登場する。この説明の民族誌的理由につい ては、私は不案内であるが、それを知るような手がかりは、次の文献から得られるはずである。
・「首狩り族の苦悩と怒り」R・ロザルド『文化と真実』椎名訳、日本エディタスクール出版部、1998年
●課題
世界のさまざまな少数民族が、政府や企業などと、その法的権利(土地所有権、天然資源採掘権・伐採権など)をめぐって対立してい る。
この対立の例を一つ選んで、それについて具体的に書き、その社会的背景やその歴史、さらには、解決に向けての対策案などについて まとめなさい。
映像資料:『風の記録:先住民族の500年』Alter Cine Inc./ Alba Films 、1992年
●キーワード
内戦、マヤ系先住民族、反乱鎮圧戦略、ゲリラ、冷戦
●関連映像作品
『兵士たちの帰宅』 : グアテマラ[ビデオ(カセット)]. -- NHKソフトウェア, 1998. -- (NHKビデオ ; . NHKスペシャル ; 5)
『グアテマラ:二度と再び』NHKBS1(200.02.20)60min.
●文献
グアテマラ先住民の女たち : リゴベルタ・メンチュウと民主化への歩み / 伊 従直子著. -- 明石書店, 1997. -- (世界人権問題叢書 ; 17)
私の名はリゴベルタ・メンチュウ : マヤ=キチェ族インディオ女性の記録 / エリザベス・ブルゴス著 ; 高橋早代訳. -- 新潮社, 1987
勇気の架け橋 : グァテマラ内戦とマヤ先住民族ゲリラの戦いの記録 / ジェニ ファー・ハーバリー著 ; 中川聡子[ほか]訳. -- 解放出版社, 1999
チョムスキー、ノーム,1999 「解説」『勇気の架け橋 : グァテマラ内戦とマヤ先住民族ゲリラの戦いの記録』所収、pp.270-297[授業配布資料]
池田光穂、暴力の内旋―グ アテマラ西部高地の先住民共同体と経済―,文学部論叢(地域科学編),第60号,pp.59-90,1998年3月
Stall, David. Rigoberta Menchu and the story of all poor Guatemalan. Westview, 1999
歴史的記憶の回復プロジェクト編、2000『グアテマラ 虐殺の記憶』飯島みどり他訳、東京:岩波書店(→この本を自学するためのチェックポイント)
●リンク先
●課題
ビデオ作品『風の記憶』(1992)には、「先住民への征服」を正当化する元外交官や1990年の虐殺当時に軍の最高責任者で あった元将軍が「虐殺などなかったのだ」と発言するシーンがみられる。このような発言は虐殺の犠牲者(死人に口無し)や関係者にとっては、信じがたい詭弁 に映る(ビデオでは、それらの対比がかなり強調されて描かれている)。ところが、現実は今もなお被害者/被抑圧者に対して状況が改善されているとは言い難 い。グアテマラでは1996年暮れの軍とゲリラの和平合意後にも内戦の歴史的記憶プロジェクト(REMHI)の中心的存在であったヘラルディ司教が98年 4月に殺害され、99年5月16日の先住民族の権利保障を盛り込んだ憲法改正の国民投票は否決された。
だが、これは海の向こうのとんでもない話ではなく、我々にとってはデジャヴ(既視体験)である。我が国では南京虐殺や従軍慰安婦 をめぐる保守派政治家や歴史修正主義者(「自由主義史観」)の発話がある。移民社会の米国では、不法移民への公共サービスを禁じた「提案178」 (1994)、アファーマティブ・アクションの停止を求めた「提案209」(1996)、バイリンガル教育の停止を求めた「提案227」(1998)の住 民投票にはすべてのケースで賛成を求める声があがった(提案で不利となる人びとの多くが「賛成」を投じた)。
配布した資料は、世界的な言語学者であり市民運動家による米国市民への反省を促した内容の弾劾文――ラス・カサスを思い出させる ――とも言えるものであるが、このような声はいよいよ我々には届きにくいような政治的状況が生まれつつある。
そこでの皆さんへの課題だが、みなさんが虐殺の当事者の強弁を弁護する立場であっても、虐殺される側に立っても構わないが――無 関心である立場は容認しない――、(A)このような意見の齟齬がなぜ生じるのか?、について見解を述べなさい。また、(B)そのような齟齬は埋め合わせる ことができるのか?、また(C)どのようにして、そのような齟齬を埋め合わせるのか?、について答えなさい。
●自学自習教材
歴史的記憶の回復プロジェクト編、2000『グアテマラ 虐殺の記憶』飯島みどり他 訳、東京:岩波書店
この本を自学自習するための158のチェックポイントを用意しています。皆さん でチェックしてください。
映像資料:
Olivia Carrescia (Dir.), "Todos Santos Cuchumatan: Report from a Guatemalan Village", First Run / Icaarus Films, 1982.
Olivia Carrescia (Dir.), "Todos Santos:The Surviviors", First Run / Icaarus Films, 1989.
●キーワード
内戦、マヤ系先住民族、反乱鎮圧戦略、ゲリラ、冷戦
●文献(リンクしてあるので読めます)
●関係するリンク
映像資料:
NHKスペシャル『なぜ隣人を殺したか――ルアンダ虐殺と煽動ラジオ放送』 ca.1998.1.18放送
●キーワード
内戦、ツチ、フツ、リンチ殺傷、メディア(ラジオ放送)
●ポイント
NHKの編集では次のような構成になっているが、それ以外の要素も映像から多数読みとれることも留意する。
ツチとフツの間の友好関係は婚姻関係を頻繁に結ぶようになっていたが、ラジオ放送に煽動された多数派のフツの人たちがツチの人 たちを殺すようになった。そのような暴力によってある家族(フランソワの―)はズタズタにされた。このような煽動がおこった真相究明活動が国連によってお こなわれている。
●文献
Malkki, Liisa H., 1995.Purity and Exile: Violence, memory, and national cosmology among Hutu refugees in Tanzania. Chicago: University of Chicago Press. (ただしこのケースは映像資料とは異なり、難民化したツチの人たちのへのインタビュー調査からなる民族誌)
武内進一「ルワンダのツチとフツ―植民地化以前の集団形成についての覚書―」『現代アフリカの紛争―歴史と主体―』武内進一編、 Pp.247-292.、東京:日本貿易振興会 アジア経済研究所、2000年
●関連リンク
ルワンダの出来事から考える[池田光穂関連ページ]
ダイアモンド紛 争 Conflict diamond[国連](シエラレオネ、コンゴ民主共和国、アンゴラ等)
このページ の制作過程に関する情報
このウェブページは、かって熊本大学文学部地域科学入門の1999年度の授業で、文化表象学 教室の池田光穂が担当していた授業「文化表象学入門―行動する人類学―」をもとに増補改訂をおこなったものです。その当時の開講された授業は以下のような ものでした。
1999年 |
月 日 |
教室 |
担当者 |
テーマ |
1 |
4月26日 |
401 |
池田光穂 |
ストリート・ チルドレン |
2 |
5月10日 |
401 |
池田光穂 |
対外債務 |
3 |
5月17日 |
401 |
池田光穂 |
環境破壊 |
4 |
5月24日 |
401 |
池田光穂 |
内戦 |
5 |
5月30日 |
401 |
池田光穂 |
先住民族の現在 |
2001年では大阪大学人間科学部・大学院人間科学研究科で、おこなう「国際協力・国際理解特論」の授業とも関連しています。この授業を機会に、本ページのような ヴァージョンアップが可能になりました。大阪大学の関係者の皆さん、特に栗本英世さんならびに受講してくださった学生・院生のみなさんに感謝します。
【さらに厚かましいお願い】
このページに対して皆さんが人類学者の社会活動に意義を感じ、またこのページが何らかの社会貢献をしているとお考えで、かつ経済的に余裕の ある方には、<木戸銭>(入場料)ならびに<お捻り>(チップ)をおよせください。ただしこの場合の木戸銭ならびに<おひねり>は現金ではなく、私の本を 買ってください。 永遠の名著にご案ん内なぁ〜い! 特に池田光穂『実践の医療人類学』世界思想社、2001年がおすすめです。
Copyright Mitsuho Ikeda, 1999-2001