大人のための知の理論=TOK(対話術F):2018
池田光穂
「知の理論」あるいは「知識の理論」(Theory of Knowledge) とは、国際バカロレアの学士入学(ディプロマ; baccalaureate とはフランス語で学士号の意味)プログラムにおける必修科目のことであり、それ以外の認証システムにおける大学では、通常「認識論」や「認識論入門」に相 当す るものである——正式な日本語訳は「知の理論」(→「知識の理論、あるいは知の理論」)。
本講義では、知の理論について学ぶ。知の理論は、もともと国際バカロレア協 会がさだめた高校修了資格レベル(16-18歳向け)の知の教養科目である。しかしなが ら、その議論のレベルは高く、OECDの中でも知の創造力に関する大学教育のレベルは最低グループに入る日本の大学院生教育には、はじめて学ぶような新鮮 さがあるだろう。とりわけ理工系の院生には見知らぬことだらけ=つまりヨーロッパが規定する世界水準に到達していないレベルということなのだ。そのため、 大学院生にパワーアップ=チューニングしたジャパンネイティブの「知の理論」を教授する。
この授業はすでに終了してい
ますが、下記の資料等へのリンクは有効です! |
授業担当者/professor in
charge |
池田光穂(Mitzub'ixi
Quq Ch'ij) |
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履修対象/Eligibility |
COデザイン科目(学部3年以上、大学
院生) |
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開講時期/Schedule |
夏学期:火曜6-7限(18時00分
~21時10分) |
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講義室/Room |
豊中キャンパス:全学教育推進機構【教室棟ではありません!】(総合棟I[https://goo.gl/8KBAvV]412号室(https://goo.gl/4Rd3gZ) |
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講義題目/Course Name |
対話術F(大人のための知の理論=
TOK)[→英語版] |
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授業の目的と概要/Course
Objective |
本講義では、知の理論について学ぶ。知 の理論は、もともと国際バカロレア協会(IB)がさだめた高校修了資格レベル(16-18歳対象)の知の教養科目である(Theory of knowledge (IB course))。しかしなが ら、その議論のレベルは高く、OECDの中でも知の創造力に関する大学教育のレベルは最低グループに入る日本の大学院生教育には、はじめて学ぶような新鮮 さがあるだろう。とりわけ理工系の院生には見知らぬことだらけ=つまりヨーロッパが規定する世界水準に到達していないレベルということなのだ。そのため、 大学院生にパワーアップ=チューニングしたジャパンネイティブの「知の理論」を教授する。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学習目標/Learning Goals |
1.国際バカロレア協会(IB)がさだ
めた高校修了資格レベル(16-18歳対象)の知の教養科目であるTOKについて理解する。 2.TOKの教科書に記載されている事項について学び、具体的に練習問題を解くことで、TOKの教育の方法について体験し、その意味がわかるようになる。 3.TOKの学習と理解を通して、今度は高校修了資格レベル(16-18歳対象)の若者にTOKについて具体的指導できるようになる。 |
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履修条件・受講条件
/Requirement; Prerequisite |
授業は、日本語と英語の資料をつかって
おこなうので、二言語の利用について抵抗のない人が求められます。 |
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特記事項/Special Note |
シラバスをみていただき、事前にテーマ
を想像されたり、情報を入手しておくと、学習意欲向上のインセンティブになると思います。復習用の資料のダウンロー
ドや、スケジュールの変更などは、以下のウェブページでお知らせします【授業案内】【https://goo.gl/ypdX7T】 ■スケジュール (1)06月12日(火): 知の理論(概説):1.はじめに/2.TOK用語とスキル(S-TOK2013_Part1.pdf/S-TOK2013_Part2.pdf) (2)06月19日(火): 3.TOKスキルの応用/4.評価に向けて/5.根源的な考え(S-TOK2013_Part3.pdf/S-TOK2013_Part4.pdf)[マネジメント・モデル・キャンパス(MMC)] 【以下はページへのリンクとファイルへのリンク[パスワー ド付]があるのでクリックに注意すること!】 (3)06月26日(火): 田辺繁治『生き方の人類学』/序 章 実践とは何か?(0-SPractice_anthro_STanabe_2003.pdf) _________/第1 章 実践知の系譜(1-SPractice_anthro_STanabe_2003-2.pdf) (4)07月03日(火): 第2 章 実践を生みだす母胎―ハビトゥス(2-SPractice_anthro_STanabe_2003-3.pdf) _________/第3 章 実践コミュニティ(3-SPractice_anthro_STanabe_2003-4.pdf) (5)07月10日(火): 第4 章 儀礼における実践―北タイの霊媒カルト(4-SPractice_anthro_STanabe_2003-5.pdf) _________/第5 章 苦悩のなかの実践―エイズ自助グループ(5-SPractice_anthro_STanabe_2003-6.pdf) (6)07月17日(火): 第6 章 アイデンティティと生き方(6-SPractice_anthro_STanabe_2003-7.pdf) /大人のためのTOK(1) R・ セイラー『行動経済学の逆襲』「第1部 エコンの経済学に疑問を抱く(01-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed.pdf)」 「第2部 メンタル・アカウンティングで行動を読み解く(02-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-2.pdf)」 (7)07月24日(火):大人のためのTOK(2) 「第3部 セルフコントロール問題に取り組む(03-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-3.pdf)」 「第4部 カーネマンの研究室に入り浸る(04-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-4.pdf)」 「第5部 経済学者と闘う(05-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed.pdf)」 (8)07月31日(火):大人のためのTOK(3):最終日 「第6部 効率的市場仮説に抗う(06-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-2.pdf)」 「第7部 シカゴ大学に赴任する(07-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-3.pdf)」 「第8部 意思決定をナッジする(08-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-4.pdf)」 ■資料ファイル Van de Lagemaat, Richard (2015) Theory of Knowledge for the IB diploma, 2nd ed., Cambridge: Cambridge University Press. 邦訳:with password S-TOK2013_Part1.pdf S-TOK2013_Part2.pdf S-TOK2013_Part3.pdf S-TOK2013_Part4.pdf 英語:with password TOK_Oxford_2013S_Part1.pdf TOK_Oxford_2013S_Part2.pdf TOK_Oxford_2013S_Part3.pdf TOK_Oxford_2013S_Part4.pdf 田辺繁治『生き方の人類学』講談社、2003年 序 章 実践とは何か?:0-SPractice_anthro_STanabe_2003.pdf 第1 章 実践知の系譜:1-SPractice_anthro_STanabe_2003-2.pdf 第2 章 実践を生みだす母胎―ハビトゥス:2-SPractice_anthro_STanabe_2003-3.pdf 第3 章 実践コミュニティ:3-SPractice_anthro_STanabe_2003-4.pdf 第4 章 儀礼における実践―北タイの霊媒カルト:4-SPractice_anthro_STanabe_2003-5.pdf 第5 章 苦悩のなかの実践―エイズ自助グループ:5-SPractice_anthro_STanabe_2003-6.pdf 第6 章 アイデンティティと生き方:6-SPractice_anthro_STanabe_2003-7.pdf R・ セイラー『行動経済学の逆襲』 第1部 エコンの経済学に疑問を抱く(01-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed.pdf) 第2部 メンタル・アカウンティングで行動を読み解く(02-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-2.pdf) 第3部 セルフコントロール問題に取り組む(03-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-3.pdf) 第4部 カーネマンの研究室に入り浸る(04-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-4.pdf) 第5部 経済学者と闘う(05-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed.pdf) 第6部 効率的市場仮説に抗う(06-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-2.pdf) 第7部 シカゴ大学に赴任する(07-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-3.pdf) 第8部 意思決定をナッジする(08-RHThaler_Misbehaving_Jap_ed-4.pdf) +++ |
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授業計画/Special
Plan (回)題目/Title:内容/Content |
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授業形態/Type of Class: |
議論。資料の事前読解にもとづく議論
(初回と後半を除く、2回〜11回目) |
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授業外における学習
/Independent Study Outside of Class |
資料の事前読解にもとづく予習と、電子 メールあるいはSNSによるヴァーチャルな討論。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
教科書・教材/Textbooks |
Van de
Lagemaat, Richard (2015) Theory of Knowledge for the IB diploma, 2nd
ed., Cambridge: Cambridge University Press. 邦訳:with password S-TOK2013_Part1.pdf S-TOK2013_Part2.pdf S-TOK2013_Part3.pdf S-TOK2013_Part4.pdf 英語:with password TOK_Oxford_2013S_Part1.pdf TOK_Oxford_2013S_Part2.pdf TOK_Oxford_2013S_Part3.pdf TOK_Oxford_2013S_Part4.pdf ◆ 田辺繁治『生き方の人類学』講談社、2003年 ◆◆ セイラー、リチャード『行動経済学の逆襲』遠藤真美訳、早川書房、 2017年 |
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参考文献/Reference |
https://goo.gl/ypdX7T ◎ |
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成績評価/Grading Policy |
学習者の各回の自己評価(ポートフォリ
オ分析)の積算(50%)と教師による観察評価(平常点を含む50%) |
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コメント/Other Remarks |
勉強のやり方=独習編をごらんください |
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キーワード/Keywords |
知の理論、国際バカロレア(IB)、現 代思想、クリティカル・シンキング | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
受講生へのメッセージ/Messages
to Prospective Students |
皆さんの先生方が、克己して辞書(電子
辞書)に齧りつき禁欲的に勉強する時代は終わりました。今日の大学院の勉強は、スマートに楽しく学ぶことが、もっとも重要な課題になりました。知識と情報
収集に使う労力がインターネットによって節約された分、皆さんの知的情熱は、領域を超えた同学の士どうしによる楽しく深い議論を生み出すほうに投入しま
しょう! ・スケジュール管理のノウハウ(パスワード付) *** 出席回数が足りない学生にも成績を得るチャン スはあります! 受講生は成績に関する「成績評価に関する希望調査と意見書」を授業の終了までに必ず提出してください。 文書(pdf)は、この裏バス(うらばす)からダウンロードしてください。 文書にはパスワードがかけてあります。半角小文字でcscd2018を入力ください。 【Seiseiki_cscd2018.pdf】 |
◎ 米国でのハイスクール卒業資格相当の学力評価について
「AP
(Advanced Placement):College
Boardがハイスクール生徒向けに提供する全米統一のカリキュラムで、在籍する学校の教員による大学レベルの授業と試験が受けられる制度。APの履修
は、アメリカ国内の多くの大学で単位として認定されるほか、欧州の一部の国ではアメリカの教育出身者による大学進学の際の必須要件となっている」出典:https://qaupdates.niad.ac.jp/2021/03/03/sat_essay_subjecttests/
◎知識の理論、あるいは知の理論 「知の理 論」あるいは「知識の理論」(Theory of Knowledge) とは、国際バカロレアの学士入学(ディプロマ; baccalaureate とはフランス語で学士号の意味)プログラムにおける必修科目のことであり、それ以外の認証システムにおける大学では、通常「認識論」や「認識論入門」に相 当す るものである——正式な日本語訳は「知の理論」。知とはプラトンによる「知的」伝統を汲み「正当化された真なる信念」のことである(『テアテイトス』『メ ノン』)。 |
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◎
PBLアルゴリズム(点灯しないランプの原因究明と解決のアルゴリズム) 問題にもとづく学習(PBL) 「学習者じしんが中心となり、反省的反復の作業をともないながら、実践される少人数グループの 教育手法ことを、「問題にもとづく学習」とよぶ。PBLとは, Problem Based Learningのアクロニム(頭文字による略記法)である。医学・歯学・看護学・環境科学・法律実践・工学などのように実践の場での問題解決などが職業 的スキルとして重要視される教育課程でしばしば採用される」 |
◎2018年のフランスのバカロレアの 哲学の問題(下線でリ ンクします)
■ 人文系の哲学の問題
1. 文化は我々をより人間的にするのか? (La culture nous rend-elle plus humain ?)
2. 真理を捨て去ることは可能か? (Peut-on renoncer à la vérité ?)
3. ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』(Le Monde comme volonté et comme représentation) からの抜粋200語強の文章を読んで、その解説を書きなさい。
Souvent
nous ne savons pas ce que nous souhaitons ou ce que nous craignons.
Nous pouvons caresser un souhait pendant des années entières, sans nous
l’avouer, sans même en prendre clairement conscience c’est que
l’intellect n’en doit rien savoir, c’est qu’une révélation nous semble
dangereuse pour notre amour-propre, pour la bonne opinion que nous
tenons à avoir de nous-mêmes mais quand ce souhait vient à se réaliser,
notre propre joie nous apprend, non sans nous causer une certaine
confusion, que nous appelions cet événement de tous nos vœux: tel est
le cas ‘de la mort d’un proche parent dont nous héritons.
Et quant à ce que nous craignons, nous ne le savons souvent pas, parce
que nous n’avons pas le courage d’en prendre clairement conscience.
Souvent même nous nous trompons entièrement sur le motif véritable de
notre action ou de notre abstention, jusqu’à ce qu’un hasard nous
dévoile le mystère. Nous apprenons alors que nous nous étions mépris
sur le motif véritable, que nous n’osions pas nous l’avouer, parce
qu’il ne répondait nullement à la bonne opinion que nous avons de
nous-mêmes. Ainsi, nous nous abstenons d’une certaine action, pour des
raisons purement morales à notre avis mais après coup nous apprenons
que la peur seule nous retenait, puisque, une fois tout danger disparu,
nous commettons cette action.
SCHOPENHAUER, Le Monde comme volonté et comme représentation (1818)【→出典:Bac
philo 2018: série L, les sujets et les corrigés】
■ 経済社会系の哲学の問題
1. すべての真理は決定的なのか? (Toute vérité est-elle définitive ?)
2. 芸術に無関心であることは可能か? (Peut-on être insensible à l’art ?)
3. デュルケム『宗教生活の原初形態』 (Les Formes élémentaires de la vie religieuse) からの抜粋の200語強の文章を読んで、その解説を書きなさい
Expliquer
le texte suivant :
«
Quand nous obéissons à une personne en raison de l’autorité morale que
nous lui reconnaissons, nous suivons ses avis, non parce qu’ils nous
semblent sages, mais parce qu’à l’idée que nous nous faisons de cette
personne une énergie psychique d’un certain genre est immanente1, qui
fait plier notre volonté et l’incline dans le sens indiqué. Le respect
est l’émotion que nous éprouvons quand nous sentons cette pression
intérieure et toute spirituelle se produire en nous. Ce qui nous
détermine alors, ce ne sont pas les avantages ou les inconvénients de
l’attitude qui nous est prescrite ou recommandée ; c’est la façon dont
nous nous représentons celui qui nous la recommande ou qui nous la
prescrit. Voilà pourquoi le commandement affecte généralement des
formes brèves, tranchantes, qui ne laissent pas de place à l’hésitation
; c’est que, dans la mesure où il est lui-même et agit par ses seules
forces, il exclut toute idée de délibération et de calcul ; il tient
son efficacité de l’intensité de l’état mental dans lequel il est
donné. C’est cette intensité qui constitue ce qu’on appelle l’ascendant
moral. Or, les manières d’agir auxquelles la société est assez
fortement attachée pour les imposer à ses membres se trouvent, par cela
même, marquées du signe distinctif qui provoque le respect. »
DURKHEIM, Les Formes élémentaires de la vie religieuse (1912)
1 « immanente » : intérieure
■
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授業進度表
◆スキルと実践
1.はじめに
2.TOK用語とスキル
3.TOKスキルの応用
4.評価に向けて
5.根源的な考え
6.トコポリス:TOK攻略ゲーム(略)
◎その他の情報
イ チローさんからのメッセージ2020 〜トヨタに入社した人たちへ〜:バッティングフォームを「変える」ことに仮託して、若い人たちに必要なことは、いろいろ、挑戦してみること、自分自身がい つも変わることを教えてくれることが重要だと池田光穂はそう思います。 | |
Fela Kuti - Water no get enemy T'omo ba n'dagba omi l'o ma'lo If your child dey grow, na water he go use If water kill your child, na water you go use T'omi ba p'omo e o omi na lo ma'lo ++++ "The song, released in 1975, was inspired by Kuti’s experience with police in his home country when they allegedly planted hard drugs on the musician to incriminate him.The song therefore is about the struggles of life and trying to find a way to overcome suffering and perseverance and then expressing your freedom." - Anthony Joshua’s entrance music: The real meaning behind Fela Kuti’s ‘Water No Get Enemy’ which helped inspire AJ to win against Andy Ruiz Jr. |
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◎明星大学に図書館にある、デカルト著 『方法序説(理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法序説)Discours de la méthode pour bien conduire sa raison, et chercher la vérité dans les sciences』1637年出版 |
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