はじめによんでください

『科学技術と社会』叙説

Science, Technology, Society, and Bullshits

池田光穂

真の学問と偽りの学問との相違を、あなたはご存知で しょうか?真の学問は自らの歴史を認めて受けいれるが、その場合、気分をそこなうことはない——ミッシェル・フーコー(1982年10月25日)


■僕と職場での言われている科学論について、それが如何に対比的なのかを極私的に述べます。よくわからない人はリンク先の記事を先にお読みください。

    極私的科学論、あるい は科学論と人類学

    コミュニケーション・ ツールとしての科学論

    0.「みんな科学論が好き?!」1976年の大 学状況

    ・大学状況:新左翼の衰退の進行、三無主義、オイル ショック('73)から復活、勉強をする学生のキャンパスへの復帰(?)・・・

    ・社会状況:「人類の進歩と調和」('70)の呪縛と解放:公害反対 闘争のアンダーグラウンド化、市民運動の始まり

    ・知的状況:大学教育における「哲学の真の意味での衰 退」と、科学論の勃興(なんたってパラダイム!:クーン『科学革命の構造』(19611971)。我が国では構造論ブーム(レヴィ=ストロース)と構造主義批判が同時に進行。思想状 況のバロック状態・・・

    0.大学におけるコミュニケーションの状況

     ◎ 大阪大学の教育目標:「教養・国際性・デザイン 力

     問題意識:

    ・科学技術の社会的影響力の巨大化

    ・市民が科学技術の問題解決に参与する状況が疎外化さ れている。

    ・これらはコミュニケーションの齟齬や不足によるもの が多い

    ・専門家と非専門家の間のインターフェイスの構築が必 要だ

    ・しかしすでに様々なインターフェイスの試みが生まれ つつある(コンセンサス会議、実践的生命倫理、法的コーディネーションなど)

    ・これらの状況の分析と、適切なコミュニケーション・ インターフェイス(制度・組織・実践)の構築が必要である

    1.科学論と人類学

    ・共通点:研究対象がないと成立しない。観察対象と当 事者の分離不可能性。当事者問題や学問が生む様々な社会的効果に関心(左右の学生運動の受け皿:保守化状況の中での若者の社会に対するショックアブソー バー)

    ・原典主義(ヘルメス主義)ではなく、理論の解釈や、 理論の洗練さを競う。(外部からは格好よく見える:現実は悲惨?!)。従って議論の展開は高度化、瑣末化する傾向があり、学者としてのアイデンティティに おいてはエリート主義を育む(だが庶民=人民の味方という屈折した大衆主義を併せ持つ)。

    ・職業的共通点:大学教員としての雇用は僅少

    1.CSCDの 誕生

    Center for the Study of Communication Design の略語がCSCD (最初はCDCと構想されるが、放棄。理 由:Center for Disease Control と混同されやすい)

    2005年4月発足

    ・場所は、〒565-0826 吹田市千里万 博公園1-1(万博記念機構=人類の進歩と調和?!と同じ建物)→今は、560-0043 豊中市 待 兼山町1-16 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター、にあります(2016年6月30日廃止、後継組織Center for the Study of CO*Design, CSCD)

    ・Center for the Study of CO*Designとして現在は機能しています

    2.ポスト極私的科学論/ポスト人類学

    途中まで共通した経緯、異なった現在

    ・80年代の脚光:村上陽一郎、山口昌男

    ・90年代の黄昏:(理論的荒野??遺産の食い潰し時 期か?)

    ・21世紀の夜明け[科学論]:科学技術立国論、科学 技術コミュニケーション

    ・21世紀でもまだ真夜中[人類学]:社会参画をめぐ るさまざまな論争や議論が継続中

    2.現実の運用

    ・大学院生のための教養教育・コミュニケーション教育 の実現

    ・将来の学位取得におけるメジャー/マイナー構想

    ・さまざまな社会との連携事業

    ・トップを走る「科学技術コミュニケーション論」

    ・大学内外への知名度の向上が当面の運用上の課題

    ・他のプロジェクトの課題:「科学技術コミュニケー ション論」の展開にどのようにキャッチアップするか?

池田蛙

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