はじめに よんでください

クティブ・ーニングのレンマ

Dilemma of Active Learning

池田光穂

アクティブ・ラーニングのジレンマ
Dilemma of Our Active Learning Education

池田光穂
大阪大学COデザインセンター

図は「反戦高校共闘」のヘルメットをかぶる高校生@私はこの青年が青春を迎えた頃、多感な高校生でした。彼の眼差しが、他人の眼差しのようには、私(僕) には思えなくなります。
“アクティブ・ラーニングのジレンマ”
垂水源之介

(1)アクティブ・ラーニングを実現させるためには「少数」の学 生・院生を対象に「きめ細かい指導」が必要である。

(2)もしアクティブ・ラーニングがよい教育であるのなら「より多く」の学生・院生を対象にせねばならず。より多くの学生・院生を対象によいアクティヴ・ ラーニングを実現するためには「マスプロダクション化」「マニュアル化」「オンライン化」は避けられない。

中教審を忘れよう!

  •    中教審「能動的学修(2012)」というク ソ💩用語は、もう忘れてよい。
    •    ALの原点復帰:「学生たちが行っている何かに関する思考と行為といった、それぞれの活動のなかで学生を巻き込んでいるすべて」(Bonwell and Eison 1991)
    •    アクティブラーニング(能動的学習)という発想法が生まれてきた背景には、従来の学習の現場における受動的学習への批判や、それに対する実践共同体(実践 コミュニティ)におけ る能動的学習の概念、ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)問題にもとづく学習(PBL)やそれがもたらした保健教育の現場における論争、コミュニ ティにもとづく参加型研究(CBPR)ヘルスコミュニケーション領 域における当事者性の扱い、サイエンスショップの誕生など、人を対象にする教育や研究が、どのように他者 を取り扱い、どのような介入研究をおこなうべきなのか、そしてそれに伴う倫理とは何かという、広範囲の問題系が、1960年代後半から北米を中心にして世 界の先進国において生まれてきたという事情がある。
    •    PBL教育とは(広義)は、SDL、PBL、SGLの3要素からなることをお忘れなく!
    •    http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/131112AL.html
A教授の苦悩

    •    【シナリオ】A教授は、ある社会科学系の学部でメディア情報学を専攻する。周囲は古典的な社会科学者の教員たち。メディア情報学の「体得」を実現させるた めに教室を開放して研究室をカフェ化して、ゼミ学生の人気も高く、彼/彼女らのうち研究室にハングして自習、教材づくり、自分の「作品」に従事する積極的 な者も多数いる。最近になり出版社と契約して学生のレポート報告書を新書版サイズの本にしてオンデマンドで少数部数「出版」し、学生のメディア発信のイン センティブづくりに貢献している。そのため彼は、実質編集長化してその教導のために使うコスト(私費・校費)も激増し、とても忙しい。現場はLPP化する もしかし学生が卒業すればその伝統は、今一度最初から構築せざるをえない。昨年からは有償SNSを使ったクラウド管理に以降する。授業に参加し観察をつづ けている私は、彼は本当に素晴らしいと思いつつ、電脳パノプティコン化への危惧と学生の個人情報管理に意見を相違する大学当局との齟齬が将来おこるのでは ないかと、心配している。
このシナリオから得られる教訓

    •    学生がハングできるラボラトリーやコモンズは必要。ただし、それは大学全体が取り組むべき課題で各研究科やセンターレベルでの対応では限界がある(組織 論)。
    •    にもかかわらず「自律学習」のためのカフェ空間は必要である。制度の整備に待てば何年も日暮を迎えてしまう。そのため学習グループの遊撃隊化(ad hoc な学習集団)は不可避である(実践論)。
    •    いくらクラウド化が先進的と言っても、組織的合意なしの教員の「改革」は、「保守的で対外対応にセンシティブ」な学生情報管理などの組織的「理由」により 潰されてしまう危険性がある(善意の改革が潰されてしまう組織的「事情」)。
“アクティヴ・ラーニング(AL)のジレ ンマ”
(リマインダー)

(1)アクティヴ・ラーニングを実現させるためには「少数」の学生・院生を対象に「きめ細かい指導」が必要である。

(2)もしアクティヴ・ラーニングがよい教育であるのなら「より多く」の学生・院生を対象にせねばならず。より多くの学生・院生を対象によいアクティヴ・ ラーニングを実現するためには「マスプロダクション化」「マニュアル化」「オンライン化」は避けられない。

“ALのジレンマの解法にむけて”
(私からの提言)

(1)内省的実践家(RP,  Donald Schön,1983)としての学生・院生を育てる――自律学習を教える少人数制のアクティブラーニング。

(2)フィールドワークをするアクティブ・ラーニングを踏まえたPBL実習などは「ほど ほどに」「ごっこ」でよろしいと思われます――根拠:近隣大学・大 学院で同種の手法を導入しはじめて真新しさは低減。※もし仮に行い他との優位性を保つには、研 究倫理・調査倫理遵守と調査の社会的還元に留意すること。

(3)反転学習(→セイヤーメソッド)を含めた、あらゆる手段(メディア)を利用したコンテンツ提供、が今後より重要になる。それに連携したスマートキャンパス、お家がキャンパ ス、テレフォンサービスセンターの充実――自分の授業だけで教育を終わらせない努力が必要だが「みんなの連携協力」が不可欠!

虎狼狃終焉祈願(「はやく、ころな、おわらないかな〜」)

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