はじめ にかならず読んでください

エスノグラファー

Ethnographer, みんぞくしか,民族誌家

Nikolai Leskov, 1895-1931

解説:池田光穂

エスノグラファー (Ethnographer,みんぞくしか,民族誌家)とは、エスノ グラフィー民族誌)の描き手という意味である。エスノグラフィーとは「エスノグラフィーとは、フィールドワークという経験的調査手法を通して、人々の社会生活について具体的 に書かれた「体系的体裁によって*」整えられた記述のことである」

オートエスノグラフィ(auto-ethography)とは、自叙伝や闘病記 のように、自分自身が参与したことを、自分自身の語りを通して表 現した(広義の)エスノグラフィックなメディアのことである。したがって、オートエスノグラフィを描く人とはオートエスノグラファーということができる。

また、サイバースペースを生きる「ネット ワークコンピュータと主体的にリンケージのした人間主体」である、サイバーパンクが、 サイバースペースでの自分の生き様を描くことができれば、彼女/ 彼/それは、サイバーパンク・オートエスノグラファーである。

■マルチサイトエスノグラフィーと古典的エスノグラフィーの位相: Multi-Site Ethnography means using dynamic approrch or Traveling Ethnographic Approarch ("field concept" in the Transnationality Studies in Japanese)

■また、地域と研究テーマの関係については、次のような関係も描くことができます(→「学際研究を継続させる要因とは何か」を参照してください)。

余滴:エスノグラファーあるいは物語作家としてのマルコ(→「ベンヤミン「ニコライ・レスコフの作品についての考察」について」より)

「長老たちによれば、マルコはペトロの通 訳になり、 ペトロの記憶していたことを忠実に記録したという。しかし、それは決してイエスの生涯における時間の流れに正確に沿ったものではなかった。マルコ自身はイ エスに会ったことはなく、ペトロからイエスについて聞いたのである。しかしペトロの言葉も聴く人々のその時々の必要に応じたものであって、決してイエスの 言葉を体系的にまとめることを意図していなかった。マルコ自身に関していうなら、彼はペトロから聞いたことを忠実に記録し、決して自ら加筆修正することは なかった」カイサリアのエウセビオス

物語は、長い時間的尺度のなかで「報酬」 を得る。だから僕は君に物語るわけである。いや物語をして僕にその報酬をもたらしてくれるのだ——伝福 音書家マルコ

★エスノグラフィー作成のエンジニアリン グ(→「民族誌のリヴァース・エンジニアリング」 よりスピンオフ)

「「リバースエンジニアリング (Reverse engineeringから。直訳すれば逆行工学という意味)とは、機械を 分解したり、製品の動作を観察したり、ソフトウェアの動作を解析するな どして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図などの仕様やソースコードなどを調査することを指す」(→「逆行的工学=リヴァース・エンジニアリング」) 古典的な民族誌エスノグラフィー) の冒頭や脚注、あるいは著作の末尾には「方法論的覚え書き (Notes on methodology)」等の記述に、その民族誌の作者の調査の方法などが書かれている。しかし、それは著者によるアリバイ証明のように、読者がその方 法 論を鵜呑みにして、同じことを別のフィールドにおいて実践すれば、同じタイプの民族誌ができあがるわけではない。 一般的に、民族誌(エスノグラフィー)には、作者性が強く(strong authorship)、そのフィールドワークのやり方には不詳な点が多く、とくわけ秘 義化しているわけではないが、民族誌には著者の個性や彼/彼女らが実証したいテーマ性が強く投影されていることが多い。 そのため、偉大な民族誌家(エスノグラファー[このページ])が、フィールドでどのよう にフィールドワークを行ったのか?なぜそのような著名な民族誌のように、当該民族の「文化表象」が彫琢(ちょうたく)されたのか?などを明らかにするため には、彼/彼女らがいう方法論以外の部分をも含めて、読書し なければならない。 その方法を、結果(=民族誌)を分解したり、民族誌 が もつ修辞の効果を観察したり、他の研究者による解析などを参照して、民族誌の構造を分析し、そこから民族誌の制作方法やその「社会的機能」や「社会効果」 の動作原理、民族誌の設計概念の「仕様」や「ソースコード」などを調査するように、民族誌を立体的に読むことが重要になる。」

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