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啓蒙思想の中に人種主義が潜んでいる

Racism lurks within the Enlightenment


池田光穂

・「民主主義の拡大と白人の形成の関連を、啓蒙思想 自体が内包する矛盾であるとする考え方がある。啓蒙思想が拠って立つ普遍主義のあり方そのものに、人種 主義が内在化されているというのである。この考えによると、黒人やその他の有色人種、女性が、一九世紀の政治的・経済的主体から排除されたのは、啓蒙思想 や平等主義が不徹底であったのではなく、啓蒙主義的普遍主義の実現がそのような事態を産んだのである」(藤川 2005:21)。

・「啓蒙思想は、社会の構成員として、人間とい う普遍的な存在を想定するときに、人間を定義することを迫られた。ジョン・ロックは黒人とアメリカン・ インディアンを人間から除外し、イギリスの哲学者ヒュームは黒人の劣等性を前提とした。これに対し、ルソーにおいては、人類の人間性は現実の状態ではな く、人間として理想的な状態へと完成できる可能性があるかにかかっている。その意味で、すべての人間が、野蛮人であれ、奴隷であれ、文明人であれ、可能性 において単一の人類を構成することになる。ところが、可能性として想定された理想状態は、その完成度に応じて人間を無数に階層化する。人間としての理想化 された標準(基準、正常性)は、人類を、上は正常な人間から、下は人間的になる可能性以外には人間的な特徴を持たない動物にいたるまで、細かく分類する基 準になる。しかし、現実には、人間性の標準あるいは正常性は、不完全なもの、異常なものを見ることを通してのみ知り得るのである」(藤川 2005:22)。

・「ジジェクによると、グローバル資本主義下におけ る多文化主義にはさまざまな厄介なイデオロギー的問題を抱えている。そのポイントは(経済がもつ普遍的価値への包摂を促進させるかにみえる)グローバルな 状況においても、それぞれの文化が固有の価値をもつことを 称揚するが、その文化的差異は、人種主義(あるいは人種差別思想)が持つような、支配者が被支配者の差異があったまま、その差異を固定化させるようなイデ オロギーとして作用しているのだ、ということである」出典:「ジジェク教授によ る厄介な多文化主義批判

・科学は分類する。人間の文化は、人種の峻別に「つ よい」分類の思考はもともとなかった。ポール・ブロッカーは、肌の色は34色に分けたが、人種の生物学的分類は逆に、非常にシンプルな3分類の人種分類に 単純化された。

・「啓蒙という言葉は(未来の)ルンペンプロレタリアートへのサンクコストと その取り戻しの足掻(あが)きを余儀なくされる社畜合意の証文であることを忘れるな」垂水源之介——この呟きはリチャード・ホガート『読み書きの効用』の なかにある、労働者に読み書きを教えることは、資本主義の生産と流通のシステムの中に効率よく取り込むことに他ならないという、素晴らしい指摘に感動した からなんです。

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