か ならず読んでください

バイオエシックスと国家が結びつくとナチズムになる

Bioethics plus State control can be produced to pro-Nazi state system

解説:池田光穂::医療 人類学辞典

バイオエシックス(bioethics, bio-ethics, Bioethics, Bio-ethics)とは、人間を対象にした治療および実験に関する倫理・道徳、ひいてはそれらに関する諸研究のことである。[→医療倫理 medical ethics]。医療倫理学(いりょう・りんりがく)とは、保健ケアとくに医療に関する倫理的事象をあつかう研究 分野である。医療のみならず、生物学、政治学、 社会学、文化人類学、法学、哲学などのさまざまな分野と関連性(→ELSI)をもつ、学際 的な研究分野である。生命倫理学(bioethics, バイオエシックス)と医療倫理学はテーマを共有することが多いので、「基本的に 同じ」と判断しても間違いではない。ただし医療倫理学が、生命倫理学 (bioethics, バイオエシックス)と対比されて論じられる場合、前者を専門的な医療専門家が取り扱う倫理、後者がより包括的で一般的な問題を取り扱うかのような取り上げ られかたをするが、これには留意が必要である。なぜなら、医療の専門家——とくに生物医学臨床医学——が、上記の隣接科学から接近する倫理学的アプロー チをしばしば生命倫理学として、医療倫理学を狭い意味での臨床医学の支配的言説で領域を確定し、隣接領域の専門家の排除しようとする傾向が[その多くが例 外だが]全くないとは言えない。(→「医療倫理学イデオロギーとしての倫理

で、問題はこうである。アラン・バディウによると、ナチズムは(大文字の)生の倫理(une éthique de la Vie)に固執し た。それゆえに、あの大量のユダヤ人殺戮という行為をシステム的に実行した。それゆえ、ナチを絶対悪の典型例としてみなす限り、(その陰画たる)生命の強 度の進展を、国家権力に委ねてはならない。国家に対して「ナチの恐怖から生とその尊厳の権利 を守る 法こそが制定されるべきだ」と我々が希求した瞬間に、国家システムは常にナチ化する可能性を もつのである、と(→「患者と国家イデオロギーとしての倫理)。

●ナチズムとバイオエシックスの構成について(アラン・バディウ「イデオロギーとしての倫理」)

ロバート・N・プロクター『健康帝国ナチス』宮崎尊訳、草思社, 2003年

歴史生命倫理学 (historical bioethics)

The cadaver of Berlin dairy merchant Menachem Taffel. Deported to Auschwitz in March 1943 along with his wife and child who were gassed upon arrival. He was chosen to be an anatomical specimen in the Jewish skeleton collection, shipped to Natzweiler-Struthof and killed in the gas chamber in August 1943.

出生:1900年7月28日(Sedzislow, Poland);死亡:1943年8月19日Camp de concentration du Struthof, Natzwiller, Bas-Rhin, France.

Remains of dozens of Jews used for Nazi experiments during the Second World War have been found stored at a laboratory in Strasbourg. by by MailOnline, 7 September 2015.

Menachem Taffel's body, part of the Jewish skeleton collection - Pickled remains of Auschwitz victim whose wife and children were gassed before he was dismembered by sadistic Nazi doctor are finally laid to rest 72 years later, by MailOnline, 8 September 2015.



Menachem Max Taffel(撮影は1927年)

Birthdate:    1900年7月21日(※上掲では28日)
Birthplace:    Sędziszów, świętokrzyskie, Poland
Death:    1943年8月19日 (43)
Natzwiller, Grand Est, France
近親者:   
Arieh Taffel , Ita Taffel の息子
Klara Taffel の夫
Ester Ottilie Taffel の父
Israel Taffel の兄弟
Managed by:    Dan Bodenheimer (Cousin Detective)


生命倫理学をど のように 教えられているのか?

シラバスガイド
想定される今井道夫『生命倫理学入門』の 章
1. 生命倫理とは何か/健康・病気・医療の概念 生命倫理学とは何か、健康・病気・医療
2. 医療の倫理的問題/看護倫理の基盤(看護倫理綱領) インフォームド・コンセント、遺伝子技術
3. 生の始まりと関わる倫理問題 生殖技術、人工妊娠中絶、遺伝子技術
4. 母性看護における倫理問題(事例検 討)

5. 生の終わりと関わる倫理問題
安楽死、緩和ケア
6. 発展的学習(プレゼンテーション)
移植医療?、科学的医学の論理と倫理?
7. 人間とは何か
人間とは何か
8. 今後の医療と生命倫理
今後の医療と生命倫理学
シラバスガイド 想定される今井道夫『生命倫理学入門』の章(池田による関連ページ)
1. 生命倫理とは何か
生命倫理学とは何か
2. 健康・病気・医療の概念
健康・病気・医療(→健康の定義健 康転換病気観病い と疾病病=気医療概念、)
3. 科学的医療の倫理的問題
科学的医学の論理と倫理、移植医療、
4. 看護倫理の基盤(看護倫理綱領)
(→看護人 類学公衆衛生と倫理ケアの倫理、)
5. 生の始まりと関わる倫理問題1(生殖技術)
生殖技術
6. 生の始まりと関わる倫理問題2(人工妊娠中絶)
人工妊娠中絶
7. 生の始まりと関わる倫理問題3(遺伝子技術と優生学)
遺伝子技術
8. 母性看護における倫理問題(事例検討)

9. 生の終わりと関わる倫理問題1(移植医療と死の概念)

10. 生の終わりと関わる倫理問題2(安楽死と尊厳死)
安楽死
11. 生の終わりと関わる倫理問題3(ターミナルケア)
緩和ケア
12. 別れの手紙を書く(演習)
(→病 気を経験すること・病気を語ること、)
13. 人間とは何か
人間とは何か
14. インフォームド・コンセント
インフォームド・コンセント
15. 今後の医療と生命倫理
今後の医療と生命倫理学(→研究倫理医療人類学、)
16. 試験

●ダウン症の胎児の人工妊娠中絶選択は、現代の「容認された」優生学的実践になっています。ただ し、ダウン症=モンゴリズムは、命名者のダウン医師の当時の人種主義あるいは優生学思想を反映したものになっています。

「「Down syndrome(ダウン症候群)」は、1965年にWHOにより、最初の報告者であるイギリス人のダウン博士(John Langdon Haydon Down, 1828-1896)の名にちなみ正式名称とされました。通常21番目の染色体が1本多く3本あるため、21トリソミーとも呼ばれます。ダウン症候群の方 は、筋肉の緊張が低く、多くの場合、発達に遅れがみられます。発達の道筋は、通常の場合とほぼ同じですが、全体的にゆっくりと発達していきます。また、ダ ウン症候群の全ての方に認められるわけではありませんが、心臓の疾患、消化器系の疾患、甲状腺機能低下症、眼の疾患、難聴などを合併することがあります」 国立研究開発法人「国立成育医 療研究センター」HPより)。https: //www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/006.html



▲▲▲▲●ダウン症発見とそれを支える科学理論

「1866年、ダウンは"Observations on an Ethnic Classification of Idiots" と題した論文を書いた。その中で彼は、種々の精神状態について民族的特徴から分類することの可能性を理論として提唱した[3]。その民族特徴として、彼は 特にマレー系、コーカサス系、エチオピア系の三種類の人種を取り上げた。この文書は現在「ダウン症候群」として知られる疾患について記載されているもので あったが、ダウンはこの疾患を蒙古系を始めとする特定人種に特有の疾患と定義した。 その結果として、ダウン症候群は「蒙古症、または、モンゴリズム(英語: Mongolism)」として知られるようになり、現在ダウン症候群とされる疾患を抱える人々は「モンゴロイド」(一般的には「モンゴル人」の意)と呼ば れるようになった。またダウンは同文書において、この疾病が白人種の 人々の顔を変容を引き起こし、(白人種から見た)他人種へと顔の特徴を似せていくことによって人種の壁が崩れ去るならば、人種は変化の結果としかみなされ なくなり、人間種の統合へと繋がっていくことになると説明している」ジョ ン・ラングドン・ダウン)。J. Langdon H. Down (1866). “Observations on an Ethnic Classification of Idiots”. London Hospital Reports 3: 259-262.

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