ハームリダクション入門
Introduction to Harm
Reduction
上掲の図はNIHが提唱する薬物依存 対処法
徐淑子・池田光穂
ハーム・リダクションとは、個人ならびに社会がもた らす危害(ハーム、
harm)を軽減する(リダクション、reduction)ための社会実践のことであり、公衆衛生および社会政策
上の概念枠組み・実践モデルのひとつとして提唱されているものである。アメリカのNational Harm Reduction
Coalitionは「ハームリダクションとは、薬物使用に伴う否定的な結果を減らすことを目的とした、一連の実践的な戦略と考え方である。ハームリダク
ションはまた、薬物を使用する人々の権利を信じ、尊重する社会正義のための運動でもある」という。日本語でわかりやすく説明すると、ハーム・リダクション
とは「危害低減」と呼ぶことができる。薬 物利用者(PWUD, People Who Use
Drugs)が関わる犯罪による〈社会的危害〉とと薬物利用者(の深刻な 濫用という〈個人へ
の危害〉に関する〈現実的対応〉を模索するなかで創案され、静脈注射使用者の間でのHIV/AIDS流行の深刻化を受
けて、広く採用されるようになった。このアプローチは、1970年代のヨーロッパにおいて、薬物使用にたいする不寛容・禁止主義政策へのオルタナティブと
して始まった
1. ハー ムリダクションという思想を定着させるために(定義を含む) |
2. 薬
物利用者(PWUD, People Who Use Drugs)とは? |
3. 実
践原理としてのハームリダクション |
4. ハー
ムリダクションの考え方の多様性 |
5. 薬
物とアディクションの複雑な関係 |
6. 意
見の多様性 |
7. 基
本用語を学びましょう |
8. 特
別ふろく!! |
0. 全文をとおしで読みたい方は:ハームリダクションのすすめ. |
ハーム・リダクションとは、個人ならびに社会がもた らす危害(ハーム、 harm)を軽減する(リダクション、reduction)ための社会実践のことであり、公衆衛生および社会政策 上の概念枠組み・実践モデルのひとつとして提唱されているものである。アメリカのNational Harm Reduction Coalitionは 「ハー ムリダクションとは、薬物使用に伴う否定的な結果を減らすことを目的とした、一連の実践的な戦略と考え方である。ハームリダクションはまた、薬物を使用す る人々の権利を信じ、尊重する社会正義のための運動でもある」という。日本語でわかりやすく説明すると、ハーム・リダクションとは「危害低減」と 呼ぶことができる。薬 物利用者(PWUD, People Who Use Drugs)が関わる犯罪による〈社会的危害〉とと薬物利用者(の深刻な 濫用という〈個人へ の危害〉に関する〈現実的対応〉を模索するなかで創案され、静脈注射使用者の間でのHIV/AIDS流行の深刻化を受 けて、広く採用されるようになった。このアプローチは、1970年代のヨーロッパにおいて、薬物使用にたいする不寛容・禁止主義政策へのオルタナティブと して始まったという。
ハームリダクション・インターナショナルは、ハーム リダクションを次のように定義している。「ハームリダクションとは、薬物使用、薬物政策、薬物についての法律が関係していると考えられる、健康への悪影 響、そして、社会・法律への影響を最小にす ることを目的とする政策、計画、実践を指す。ハームリダクションは、正義と人権に立脚する。それは、状況に好ましい変化を起こすこと、および、予断、強 制、差別なく、また、支援を受ける前提条件として薬物使用を止めるよう求めることなく、人々と協働することに、重点的に取り組む」(What is harm reduction? - Harm Reduction International).これ以上の詳しい説明は「ハームリダクション入門」 に、リンクしてください(上掲の枠内でリンク+タグジャンプしています)。
しかしながら、その後のこの概念の世界的広がりのなかで、ハームリダクションは、公衆衛生政
策のアプローチを通して、公衆衛生政策の受益者(ステイクホルダー)すなわち、公衆衛生上の危害にさらされている住民や感染リスク・罹患リスクの高い住民
やターゲットグループが、現在ならびに未来に持ちうるような「危害」の軽減を試みる実践一般をさすように拡張されてとられるようになった。
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文献
その他の情報
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