読解の技法 (2):ねちねち読み
How to read, section 02: read carefully
(esp. a difficult text)
丁寧に資料を読むことは、それだけで至福の時間をもたらすこと があります。ただし、それには、多少の訓練が必要になります。
■ 読解の技法(2):ねちねち読む(これを精読という)[反 対語は→概読(アウトラインよみ)]
1. 著者の主張なのか、引用されている論者の主張なのか をチェックする。
民族誌の場合は、記述した事実について論じているの か、民族誌家の解釈に力点がおかれているのかをチェックする
2. パラグラフ単位に主張が何であるかを考える
3. 読みの速度を変化させる
分かっていること、興味のないことはすっ飛ばして読ん でよい。興味のあること、重要と思うことに精力を集中させる。ただし、逆説的だが、分かっていることや興味のないことに、落とし穴や将来重要になる(=興 味が出てくる)ことが発見されることもある。このミスを防ぐには、なぜすっ飛ばしているのか、その理由を自覚することは必要
4. 必要な箇所をノートにとる
【チェック項目】かならず出典の書誌をメモする。要約 (カッコなし)と引用(「」あり)を区別する。引用はカッコの後に引用箇所を(垂水 2001:23-24)などと表記する
5. 自分の資料として活かすために、取ったノートの再組 織化をおこなう
6.精読の意味
カリフォルニア大学バークレーにいたある有名な文化人 類学者が、多くの大学院の教師のように多読させずに、クリフォード・ギアツのテキストを大学院生とともにパラグラフづつ丁寧に読みすすめていったといいま す。「どうして、そんなにゆくっりと読み進める必要があるのですか?」という院生の質問に、彼は「彼は名うての文章家だ、彼の言ったことを本当に理解したいのなら、 彼が書いたスピードで読み進めることが重要」と言ったそうな。慧眼だと思いませんか?
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