ナチのバイオポリティクス(1943)
Biopolitics and Anatomo-politics in Third Reich
解説：池田光穂
ナチのバイオポリティクス(1943)
Biopolitics and Anatomo-politics in Third Reich
解説：池田光穂
目次
Rassenhygienische und
bevölkerungsbiologische Forschungsstelle
人種衛生人口生物学研究センターは、ベルリンの帝国保健省の本館（1907年）にあり、本館そのものはクロップストック通りのハンサヴィアーテルにあっ
た。
●アルフレッド・グロートヤーン、フリードリヒ・ブルクデルファー、アーサー・ギュット、関連年表（川越修 2004:註22-29）
| アルフレッド・グロートヤーン （Alfred Grotjahn, 1869-1931） |
フリードリヒ・ブルクデルファー（Friedrich Burgdörfer, 1890-1967） | アーサー・ギュット（Arthur Gütt, 1891-1949） | 他の関連事項 |
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| 1895 |
プレッツ『わが民族の優秀性と弱者保護』 |
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| 1896 |
医学博士（ベルリン大学）、〜1915ベルリンで医師開業 |
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| 1897 |
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| 1898 |
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| 1899 |
プロイセン郡医制度の導入 |
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| 1900 |
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| 1901 |
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| 1902 |
『19世紀の衛生文化』 |
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| 1903 |
シャルマイヤー『諸民族の履歴における遺伝と淘汰』 |
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| 1904 |
「社会衛生学と退化問題」 |
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| 1905 |
ドイツ人種衛生学会設立、社会医学・衛生学・医事統計学協会設立。 |
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| 1906 |
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| 1907 |
〜1921バイエルン統計局 |
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| 1908 |
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| 1909 |
ドイツ乳児保護連盟、乳児死亡撲滅のためのヴィクトリア皇后館設立 |
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| 1910 |
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| 1911 |
ドレスデン国際衛生博覧会 ドイツ初の結婚相談所設立 |
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| 1912 |
ベルリン大学社会衛生学講師、衛生学研究所主任、『社会衛生学事典』（カウプと共編） |
実科ギムナジウム修了 |
カウプ， ミュンヘン大学社会衛生学員外教授 |
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| 1913 |
モッセ／トゥーゲントラィヒ編『病気と社会状況』 |
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| 1914 |
『個人衛生および社会衛生からみた出生減少と産児調節』 |
〜1916ロシア軍捕虜としてシベリア抑留 |
〜1918第一次世界大戦。戦時出産手当条例 |
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| 1915 |
〜1920ベルリン市医事局社会衛生部長 |
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| 1916 |
国家学博士（ミュンヘン大学） |
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| 1917 |
『衛生学の求めるもの ——衛生的人間・衛生的家族・衛生的居住・衛生的国民』 |
『人口問題、家族統計と家族政策を通じた把握』 |
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| 1918 |
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| 1919 |
医学博士（ケーニヒスベルク大学） |
ワイマール憲法成立、プロイセン国民福祉省設置、国境地帯および国外居住ドイツ人保護同盟成立、ベルリン性科学研究所の性相談所開設、多子家族同盟設立、出産手当・出産ケア法 |
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| 1920 |
ベルリン大学社会衛生学正教授 |
周辺市町村を合併し大ベルリン市成立 |
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| 1921 |
郡医試験合格；バウアー・フィッシャー・レンツ『人類の遺伝学説と人種衛生学』 |
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| 1922 |
「社会衛生学， 出生減少， および身体退化問題」 |
青少年福祉法 |
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| 1923 |
レンツ、ミュンヘン大学人種衛生学教授 |
プロイセン結核対策法 |
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| 1924 |
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| 1925 |
ベルリン・クロツベルク区保健センター設置 |
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| 1926 |
『人類の生殖衛生学』、〜1927国際連盟衛生教育委員 |
郡医（マリエンヴェルダー） |
プロイセン公的結婚相談所の設置、デュセルドルフ保健事業・社会的救護事業、体育博覧会 |
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| 1927 |
〜1928ベルリン大学医学部長 |
カイザー・ウィルヘルム人類学・人類遺伝学・優生学研究所設立 |
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| 1928 |
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| 1929 |
「結婚相談所と避妊」、「人口政策とプロレタリアート」、編『社会衛生と保健救護の成果』 |
〜1939 ドイツ統計局人口． 企業．文化統計部長。「ヨーロッパ圏におけるドイツ民族の成長エネルキーの減退」『出生減少とその撲滅ドイツ民族の死活問題』 |
ハルムゼン／レッシュ編『ヨーロッパ圏におけるドイツの人口問題』 |
〜1932世界恐慌 |
| 1930 |
「人口問題と税制改革」 |
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| 1931 |
レンツ『人類の淘汰と人種衛生学（優生学） 』第3 版（ハウア他，1921 年，第2 巻） |
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| 1932 |
『経験したこと，目指したこと． 社会主義的医師の回想』 |
『若者のいない民族』 |
ナチ党に入党、「人口政策と公衆保健制度」 |
プロイセン州保健審識会合同委員会「不妊化・断種法案」を答申。ナチ党国会第1党に躍進 |
| 1933 |
〜1939 人ロ・人種政策専門家諮問会議委員 |
内務省参事官 |
ナチ政権の成立、失業減少法（婚資貸付法）、遺伝病子孫予防法、危険な常習犯と性犯罪者に対する予防拘禁法、〜1939人口・人種政策専門家諮問会議 |
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| 1934 |
『白色人種の死滅？ 』 |
内務省民族保健局長、シュピートホフ『女性と家族にとっての性病の意味』『人口政策と遺伝保健および人種保護の観点からみた性病』 |
保健制度統一法 |
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| 1935 |
『第三帝国における人口発展』 |
親衛隊指導部人口政策遺伝健康部門責任者，国立公衆衛生院会長 『第三帝国における保健制度の構築』 |
第3 回人口学国際会議（ベルリン） ドイツ民族の遺伝健康保護法 - 1967 『公衆保健業務』刊行 |
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| 1936 |
「西洋文明圏における人口発展ドイツを中心に」 |
「国家の課題としての人口政策J 『人口・人種政策』 |
ベルリン・オリンピック開催 |
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| 1937 |
ナチ党入党 |
性病撲滅国際会議 （ケルン）での演説 |
犯罪撲戚のための予防措置条令 |
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| 1938 |
「トイツと世界のユダヤ人」 |
帝国水晶の夜 |
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| 1939 |
〜1945 バイエルン統計局長 |
内務省退官（コンティが後継） |
〜1945 第二次世界大戦 |
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| 1940 |
「マダカスカル計画鑑定書」 |
『第三帝国における人種ケア』 |
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| 1941 |
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| 1942 |
コンティ「保健義務と性病」 |
ヴァンゼー会議；ドイツ皮膚科学会戦時大会 |
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| 1943 |
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| 1944 |
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| 1945 |
教職追放 |
-1949 連合軍により拘留 |
( ソ連占領地区）ドイツ中央保健庁設立 |
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| 1949 |
教職復帰 |
トイツ連邦共和国ドイツ民主共和国成立 |
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| 1951 |
『人口動態と人口収支．過去と将来の地球人口の発展』 |
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【出典】社会国家の生成 : 20世紀社会とナチズム / 川越修著, 岩波書店 , 2004.
●遺伝管理社会 : ナチスと近未来 / 米本昌平著, 弘文堂 , 1989年による米本の５つのテーゼ
| 1. ナチス論のために | 5 |
・優生学的世界の現代（1990年代のこと） ・遺伝子をめぐる状況 ・ナチス体験の意味 ・医学とナチズム ・1980年代の覚醒 ・狂気のナチズム時代を疑う ・非合理なほどの合理主義 ・ナチズム=パラダイム論 ・ネガティブ・パラダイム論 ・真のナチズムとの対決とは | （→「患者と国家」） （→「リビジョナリズム」） （→ナチズムと戦わねばならないという論法は、米本の普遍法則すなわち「定言命法」である。） ・社会史にもそれなりの貢献があるが、ナチと科学の時代をパラダイム論で押し通そうとするのは、無理がある(31)。 米本は、科学史が（たぶん政治的に？）中立にみるべきで、クーン流のパラダイム論はそれを可能にすると当時は信じているようだが、当の科学史研究・科学社 会学研究が理論負荷ということを公明正大に明らかにしてきた。したがって、どのような科学研究もイデオロギー負荷というものがある。ナチのような研究その ものが、そのようなイデオロギー的負荷を跳ね除けて「ナチの良心」や「ナチサイエンス」を標榜したではないか？米本のナイーブな中立客観神話は1970年 以前に終わっている。 ・DNA組み換え論争における、米国の科学者の研究の自由の優先と、戦後ドイツの倫理的管理の劇的な対比（10-12） ・エルンスト・ノルテ「過ぎ去ろうとしない」論文の衝撃（13） ・医学はナチズム的性格を持ち続けるのか？（16） ・４つの問題群（18） ・1980年のドイツの覚醒（22） ・医学研究に関わる反ナチ医学と左翼派のリアクションは異なる ・SSによる医学犯罪者総数は350名程度（ただし出典なし） ・ユダヤ人虐殺600万 ・「この小著は、原文全体を思いきって引用する」→つまり、ここからの引用は、出典を明記しないという点で怪しい。 |
| 2. 19世紀自然科学主義と民族（人種）衛生学の誕生 |
42 |
・社
会ダーウィニズムとはなにか ・社会ダーウィニズムと社会進化論 ・ヘッケルと一元論（単元論）同盟 ・ドイツ優生思想の父プレッツ ・人種衛生学と社会生物学 ・社会ダーウィニズム批判 | ・社
会ダーウィニズム ・単元論  おいおい、これは、マズイぞ〜♪ 上は、Grundzüge der Vererbungslehre Rassenhygiene und Bevölkerungspolitikの神波による翻訳『遺伝学説と優生学 : 並びに人口政策』（1960）下は出典が不明瞭な米本（1989:47）——米本の他の引用図には出典がある。「私自身の論文の引用については、いちいち注釈はつけなかった」（1989:211）の釈明も、1980年代末では多めにみてもらえただろうが、これはよくない。 |
| 3. 人
種衛生学の制度化と1920年代 |
84 |
・20世紀初頭の優生学研究 ・第一次世界大戦と優生学の社会的認知 ・ドイツ国立遺伝学研究所の設立 ・ヒトラーと人種衛生学者と ・戦争混血児問題と外国人労働者問題 ・優生学と社会主義 | |
| 4. 人種主義としての超医療管理国家 |
115 |
・アメリカの優生政策 ・プロイセン保健局の断種法草案 ・ナチスの遺伝病子孫予防法 ・ヒトラーの人種主義的世界観 ・ナチス運動への医師の参加 ・健康が義務である社会 ・帝国公民法と血統保護法 ・ナチス人種学と血統証明 ・安楽死の起源 | （→「遺
伝病根絶法（1933年7月14日ナチスドイツ）」） （→「ヒトラー『我が闘争』の分析」） （→「帝国市民法（Reichsbürgergesetz）」, 1935） （→「ナチス・ドイツ血液証明書」） |
| 5. 戦後精神と現代医療 |
172 |
・連合国のナチズム解釈 ・医師犯罪裁判 ・日本の優生政策 ・病気になる権利 | （→「ニュルンベルク医師裁判（Nürnberger
Ärzteprozess）」） ・レーベンスボルン出生の子どもたちが成人になって親をさがす |
| 伝管理社会 : ナチスと近未来 / 米本昌平著, 弘文堂 , 1989年 |
| Nazism was “applied
biology,” stated Hitler deputy Rudolf Hess. During the Third Reich, a
politically extreme, antisemitic variation of eugenics determined the
course of state policy. Hitler’s regime touted the “Nordic race” as its
eugenic ideal and attempted to mold Germany into a cohesive national
community that excluded anyone deemed hereditarily “less valuable” or
“racially foreign.” Public health measures to control reproduction and marriage aimed at strengthening the “national body” by eliminating biologically threatening genes from the population. Many German physicians and scientists who had supported racial hygiene ideas before 1933 embraced the new regime’s emphasis on biology and heredity, the new career opportunities, and the additional funding for research. Hitler’s dictatorship, backed by sweeping police powers, silenced critics of Nazi eugenics and supporters of individual rights. After all educational and cultural institutions and the media came under Nazi control, racial eugenics permeated German society and institutions. Jews, considered “alien,” were purged from universities, scientific research institutes, hospitals, and public health care. Persons in high positions who were viewed as politically “unreliable” met a similar fate. |
ナチズムは「応用生物学」であると、ヒトラーの副官ルドルフ・ヘスは述
べている。第三帝国時代には、政治的に極端で反ユダヤ的な優生学が国家政策の方向性を決定づけた。ヒトラー政権は「北欧人種」を優生学の理想とし、遺伝的
に「価値の低い」あるいは「人種的に異質な」人々を排除して、ドイツを結束力のある国家共同体に作り上げようとしたのである。 生殖と結婚をコントロールする公衆衛生措置は、生物学的に脅威となる遺伝子を人口から排除することによって「国民的身体」を強化することを目的としてい た。1933年以前は人種衛生の考えを支持していたドイツの医師や科学者の多くは、生物学と遺伝学を重視する新体制、新しいキャリア機会、研究費の追加を 受け入れた。 ヒトラーの独裁体制は、徹底した警察権力に支えられ、ナチスの優生学に対する批判者や個人の権利の支持者を黙らせた。すべての教育・文化施設とメディアが ナチスの支配下に置かれた後、人種的優生学はドイツの社会と制度に浸透していった。大学、科学研究機関、病院、公衆衛生から「異質なもの」とみなされたユ ダヤ人は粛清された。政治的に「信頼できない」とみなされた高い地位の人々も、同様の運命をたどった。 |
| The Battle for Births Echoing ongoing eugenic fears, the Nazis trumpeted population experts’ warnings of “national death” and aimed to reverse the trend of falling birthrates. The Marital Health Law of October 1935 banned unions between the “hereditarily healthy” and persons deemed genetically unfit. Getting married and having children became a national duty for the “racially fit.” In a speech on September 8, 1934, Hitler proclaimed: “In my state, the mother is the most important citizen.” Eugenicists had expressed concerns about the effects of alcohol, tobacco, and syphilis. The Nazi regime sponsored research, undertook public education campaigns, and enacted laws that together aimed at eliminating “genetic poisons” linked to birth defects and genetic damage to later generations. In 1936 the Reich Central Office for Combating Homosexuality and Abortion was established to step up efforts to prevent acts that obstructed reproduction. In a 1937 speech linking homosexuality to a falling birthrate, German police chief Heinrich Himmler stated: “A people of good race which has too few children has a one-way ticket to the grave.” |
出生数をめぐる攻防 ナチスは、優生学的な恐怖に共鳴して、人口専門家の「国民的死」の警告を捏造し、少子化の傾向を逆転させることを目指した。1935年10月の婚姻衛生法 は、「遺伝的に健康な者」と「遺伝的に不適当な者」との結婚を禁止した。結婚して子供を持つことは、「人種的適性者」の国民的義務となった。1934年9 月8日の演説で、ヒトラーはこう宣言した。「私の国家では、母親が最も重要な市民である」。 優生学者がアルコール、タバコ、梅毒の影響について懸念を表明していた。ナチス政権は研究を支援し、公教育キャンペーンを行い、先天性欠損症や後世への遺 伝的障害につながる「遺伝毒」を排除することを目的とした法律を制定した。1936年には、生殖を妨げる行為を防止するための活動を強化するために、帝国 同性愛・堕胎対策中央局が設立された。1937年、ドイツ警察長官ハインリッヒ・ヒムラーは、同性愛と少子化を結びつける演説の中で、次のように述べてい る。"子供の数が少なすぎる優秀な民族は、墓場への片道切符だ"。 |
| The Mass Sterilization Program On July 14, 1933, the Nazi dictatorship fulfilled the long-held dreams of eugenics proponents by enacting the Law for the Prevention of Offspring with Hereditary Diseases (“Hereditary Health Law”), based on a voluntary sterilization View This Term in the Glossary law drafted by Prussian health officials in 1932. The new Nazi law was coauthored by Falk Ruttke, a lawyer, Arthur Gütt, a physician and director of public health affairs, and Ernst Rüdin, a psychiatrist and early leader of the German racial hygiene movement. Individuals who were subject to the law were those men and women who “suffered” from any of nine conditions assumed to be hereditary: feeblemindedness, schizophrenia, manic-depressive disorder, genetic epilepsy, Huntington’s chorea (a fatal form of dementia), genetic blindness, genetic deafness, severe physical deformity, and chronic alcoholism. Special hereditary health courts lent an aura of due process to the sterilization View This Term in the Glossary measure, but the decision to sterilize was generally routine. Nearly all better-known geneticists, psychiatrists, and anthropologists sat on such courts at one time or another, mandating the sterilizations of an estimated 400,000 Germans. Vasectomy was the usual sterilization method for men, and for women, tubal ligation, an invasive procedure that resulted in the deaths of hundreds of women. |
集団不妊化計画 1933年7月14日、ナチス独裁政権は優生学推進者の長年の夢を実現し、「遺伝性疾患による子孫の予防に関する法律」（「遺伝性健康法」）を制定した。 これは、1932年にプロイセン保健当局が作成した任意不妊手術法を基礎とした法律である。ナチスの新法は、弁護士のファルク・ルットケ、医師で公衆衛生 事務局長のアルトゥール・ギュット、精神科医でドイツ人種衛生運動の初期の指導者だったエルンスト・リューディンが共著で作成したものである。この法律の 対象となったのは、遺伝性であるとされた9つの症状、すなわち、身体障害、統合失調症、躁うつ病、遺伝性てんかん、ハンチントン病（致死性の認知症）、遺 伝性失明、遺伝性難聴、重度の身体奇形、慢性アルコール依存症のいずれかを「患った」男女であった。 特別な遺伝性健康裁判所は、不妊手術に適正手続きの権限を与えていたが、不妊手術の決定は一般に日常的なものであった。有名な遺伝学者、精神科医、人類学 者のほぼ全員が、一度や二度はこうした法廷に席を置き、推定40万人のドイツ人の不妊手術を義務づけたのである。男性には精管切除術が、女性には卵管結紮 術が、何百人もの女性の命を奪った侵襲的な方法であった。 |
| Views from Abroad International reaction to the Nazi sterilization View This Term in the Glossary law varied. In the United States, some newspaper editors noted the mass scale of the policy and feared that “Hitlerites” would apply the law to Jews and political opponents. In contrast, American eugenicists viewed the law as the logical development of earlier thinking by Germany’s “best specialists” and not as “the hasty improvisation of the Hitler regime.” In the 1930s, leading American and British geneticists increasingly criticized established eugenic organizations for freely mingling prejudices with a dated and simplistic understanding of human heredity. At the same time, sterilization View This Term in the Glossary gained support beyond eugenic circles as a means of reducing costs for institutional care and poor relief. Sterilization rates climbed in some American states during the Great Depression, and new laws were passed in Finland, Norway, and Sweden during the same period. In Great Britain, Catholic opposition blocked a proposed law. Nowhere did the numbers of persons sterilized come close to the mass scale of the Nazi program. |
海外からの視点 ナチスの不妊手術法に対する国際的な反応はさまざまであった。アメリカでは、新聞編集者の中には、この政策が大規模であることを指摘し、「ヒトラー派」が この法律をユダヤ人や政敵に適用することを懸念する者もいた。これに対し、アメリカの優生学研究者は、この法律はドイツの「最高の専門家」による初期の考 え方の論理的発展であり、「ヒトラー政権の性急な即興」ではないと考えたのである。 1930年代に入ると、アメリカやイギリスの有力な遺伝学者が、既存の優生学団体が人間の遺伝について時代遅れで単純化された理解と偏見を自由に混ぜ合わ せていると批判するようになった。同時に、不妊手術は、施設介護や貧困救済の費用を削減する手段として、優生学会の枠を超えて支持されるようになった。世 界恐慌の時期にアメリカのいくつかの州で不妊手術の実施率が上昇し、同時期にフィンランド、ノルウェー、スウェーデンで新しい法律が制定された。イギリス では、カトリックの反対で法律案が阻止された。しかし、ナチスのような大規模な不妊手術は行われていない。 |
| The Segregation of Jews The sterilization View This Term in the Glossary of ethnic minorities defined as “racially foreign” was not mandated under the 1933 law. Instead, the “Blood Protection Law,” announced in Nuremberg on September 15, 1935, criminalized marriage or sexual relations between Jews and non-Jewish Germans. Soon after, Nazi leaders took biological segregation a step further, privately discussing the “complete emigration” of all Jews as a goal. After the incorporation of Austria in March 1938 (the Anschluss), SS officer Adolf Eichmann coordinated the forced emigration of tens of thousands of Austrian Jews. The Nazi-organized attacks on German and Austrian Jews and Jewish property of November 9–10, 1938—Kristallnacht—convinced many Jews remaining in the Reich that leaving was their only option for survival. |
ユダヤ人の隔離 1933年の法律では、「人種的に外国人」と定義された少数民族の不妊手術は義務づけられていない。その代わりに、1935年9月15日にニュルンベルク で発表された「血族保護法」では、ユダヤ人と非ユダヤ系ドイツ人との結婚や性的関係が犯罪とされました。その直後、ナチスの指導者たちは生物学的隔離をさ らに一歩進め、すべてのユダヤ人の「完全移住」を目標として私的に議論していた。1938年3月のオーストリア編入（アンシュルス）の後、親衛隊員アドル フ・アイヒマンは何万人ものオーストリア系ユダヤ人の強制移住を調整しました。1938年11月9日から10日にかけてナチスが組織したドイツとオースト リアのユダヤ人とユダヤ人の財産に対する攻撃「水晶の夜」は、帝国に残った多くのユダヤ人に、国外に出ることが生き残るための唯一の選択肢であると確信さ せた。 |
| https://encyclopedia.ushmm.org/content/en/article/the-biological-state-nazi-racial-hygiene-1933-1939 |
https://www.deepl.com/ja/translator |
●バイオポリティクスの検証のためのナチ人種衛生学（Nationalsozialistische Rassenhygiene）→「ナチ優生学の時代」を参照
リンク（フーコー関連）
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Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j,
1996-2099
