はじめによんでね

02:文化人類学ガイドブック

Introducing Anthropology: A Graphic Guide

Mitzub'ixi Qu'q Ch'ij


1
人類学とはなにか?
1.    人類学とは何か?

2
「未開」とはなにか?(括弧でくくってい るところが味噌!)
2.    〈未開〉とは何か?

3
人間を研究する
3.    人びとを研究する


4
人類学のビッグな問題!
4.    人類学の大きな課題 


5
他者(別名「大文字の他者」)
5.    他者


6
変化する問題
6.    変化する課題


7
人類学の起源
7.    人類学の起源


8
創設者たち(父なる創設者たち:The Founding Fathers)
8.    建学の父たち


9
隠された項目(要するに啓蒙主義的系譜の ことです)
9.    隠された項目


10
ルネサンス期(前項を引き継いで)
10.    リコナサンス(大航海)時代


11
「古きものへの忠誠」 ("Fidelity to the Old")
11.    〈古き時代への忠誠〉


12
人権の問題
12.    人権という問い


13
イエズス会関連文書
13.    『イエズス会リレーションズ』


14
西洋思想の主潮
14.    西洋思考の主潮


15
伝統の連続性
15.    伝統の連続性


16
派生したマイナーな風潮
16.    派生したマイナーな風潮


17
帝国主義
17.    帝国主義


18
人類学の複雑性
18.    人類学の加担


19
倫理の違反
19.    倫理の冒涜


20
ルーツに戻ると・・
20.    ルーツへの回帰
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【課題】
21
必要不可欠な未開
21.    必要不可欠な未開性
21. なくてはならない未開性

人類学の知的伝統は、イギリスの人類学者アダム・クーパーが『未開社会の発明:幻想の変容』(1988)と呼んだものとともに1860年代に具体化する。 〈未開人〉は、合法的かつ決定的な研究の目的であり、そのために専門的職業としての人類学がつくり出された。

【台詞】学者(人類学者)「要するに、未開人なしに人類学を理解することは不可能ということじゃ」

【台詞】アナザシ「今や連中は、俺のことを何と呼べばいいのか、俺無しでどうすればいいのかがわからず、苦境に立たされ、無駄な努力を試みているんだよ」

・あなたが感じる未開[な]( primitive)や野蛮人(savage)を整理してみましょう
22
発明創発/でっち上げを思い描いて
22.    創造についての推論
22. 未開概念の発明についての推論

未開概念の発明は、意識された構築的な行為である。それは、未開と文明を生得的地位と獲得的地位として区別し特徴付けたヘンリー・サムナー=メイン卿 (1822-88)に始まる。

【台詞】ヘンリー・サムナー=メイン卿「社会は、〈社会契約〉ではなく、家族と、家族を中心とする親族集団にその起源を持つのである」

親族の起源と未開状態の思想は次のような人たちにより考えられそして展開された;すなわちチャールズ・ダーウィン(1809-82)の隣人であり友人であ り、かつ支援者でもあったジョン・ラボック(1834-1913)、スコットランドの法律家ジョン・マクレナン(1827-81)、アメリカ合衆国のルイ ス=ヘンリー・モーガン(1818-81)、以上は、彼全員、政治家であり安楽椅子の人類学者だった、そして、スイスの判事だったJ.J.バッハオーフェ ン(1815-87)である。

・社会契約とはなにか?説明してみましょう。
・参照「社会契約論
23
何が最初に人類に到来したか?
23.    何が最初にあったのか?
23. 何が最初にあったのか?

マクレナンとモーガンとは宿敵であった。彼らは活発に議論した。

【台詞】マクレナン「食糧不足が、女性殺しの原因となったのだ。女性不足が、一妻多夫制と妻を確保するための男性による女性狩りの原因をつくったのであ る」

【台詞】モーガン「ばかばかしい!妻狩りが先に行われており、私が研究する現存のインディアン社会の親族用語のなかでも、この〈男の歴史〉が存在し続けて いるのだ」

【台詞】アナザシ「こいつらはどのようにしてそれを知っているのかな?もっと端的に言うと、19世紀のこれらの特権階級の男の人類学者たちの着想が、なぜ 今日のフェミニスト人類学のなかで思い出されているのかな?」

・なぜ初期の進化主義人類学者たちは、未開人には社会契約がなくて、社会のなりたちの基本は、その《家族》にあると考えたのでしょうか?
・参照:「婚姻・家族・親族」「親族名称
24
生きている残存物=遺風(Living Relics)
24.    現存する遺風
24. 現存する遺風(生きている化石)

原始的乱婚、父系制に対する母系制の優位性、父権制に対する母権制の優位性によって、未開人は定義された。これらの特徴は、現代の未開社会において現存す る親族実践にも見出すことができる。未開人の特徴(現存する諸民族との同一性)と人類学という専門分野は、この推論による構築に始まる。
未開概念は、エドワード=バーネット・タイラー卿(1832-1917)によって展開された。

【台詞】エドワード=バーネット・タイラー卿「私が収集し分類した活動とは、〈残存〉と〈過去の遺物〉という考えに基づくものだ」

【台詞】古代ブリトン人「これは古い考えで、古代ブリトン人を説明するモデルとしてアメリカインディアンが利用された1580年代に初めて表面化したもの だったのじゃ」

タイラーもまた、現存する〈未開人〉を人類という存在の初期ステージの遺風であると捉えた。

・なぜ初期の進化主義人類学者たちは、未開人には社会契約がなくて、社会のなりたちの基本は、その《家族》にあると考えたのでしょうか?(承前)
・参照:「エドワード・タイラー
25
肘掛け椅子からの眺め
25.    肘掛け椅子からの眺め
25. 安楽椅子からの眺め

『金枝篇:呪術と宗教の研究』(1890; 1907-15に加筆)の著者ジェイムズ・フレイザー卿(1854-1941)は、未開人の精神、宗教、呪術そして神話を構成する要素を立証した。

【台詞】ジェイムズ・フレイザー卿「私は、名誉職に過ぎなかったとはいえ、1907年にイギリスにおいて最初に〈社会人類学教授〉という肩書を持った者 だ」

・ジェイムズ・フレイザーに代表されるアームチェア人類学者とは、今日でいうところの「座学の文化人類学者」といえますが、これに対抗する概念や表現とは何でしょうか?
・参照:「ジェイムズ・フレイザー
26
進化主義の諸理論
26.    進化主義の諸理論
26. 進化主義の諸理論

西洋の知的伝統における社会思想は、常に進化主義的であった。社会進化の階層は、黄金→青銅→鉄という3つの時代についてのギリシア思想に由来する。

【台詞】古代ギリシア人「我々にとって、これは退化と堕落の図式だったのじゃ」

【台詞】クリスチャン・ユルゲンセン・トムセン「(古代ギリシアの図式とは異なり)反対に、これは、石器、青銅器、鉄器という、〈三時代区分法〉による進 歩の図式なのである」

【台詞】人類学者「1836年頃のデンマークの考古学者クリスチャン・ユルゲンセン・トムセン(1788-1865)がこの進歩主義的な考えを提案したの じゃ」

 啓蒙主義の伝統によって、特にスコットランドの作家アダム・ファーガソン(1723-1816)の作品のなかで、現存する社会と消滅した社会、その両方 の社会的かつ政治的な構造と上述の段階とが同定された。それは野生・野蛮・文明の3部から成る階層をつくるためであった。未開の特徴は、この広く受け入れ られていた図式にただただ当てはめられた。

・学説的にみると生物進化論よりも社会進化論のほうが先に出てきたと言えます。つまり、ダーウィンは進化論を「科学」にしたと評価されています。
・さて生物進化ではないほうの「社会進化主義」とはどのようなものでしょうか?説明してみましょう
・参照:「バンド・部族(トライブ)・首長制・国家」「文化進化論に関する議論
27
生物なるものと社会なるものを統合する
27.    生物学的理論と社会的理論の統合
27. 生物学的なるものと社会(学)的なるのものの統合

ダーウィンは、進化論を発明したわけではない。彼は、生物学的進化という限定的な理論を紹介したにすぎない。生物学的進化論は、生物学的な考えと社会的な 考えとを統合することで、すぐに支配的なパラダイムとなり、進化論という概念の威力を生み出した。
熱烈な社会進化主義者であったハーバート・スペンサー(1820-1903)は、ダーウィンよりも以前に人類の生物学的理論を探求した人物であった。スペ ンサーは、人類学の正統な祖先とみてよいだろう。

【台詞】ハーバート・スペンサー「なぜならダーウィンの関心は、生物学的なものと社会的なものとを一つの理論的分野に統合することにあったたからだ」

【台詞】学者(人類学者)「〈適者生存〉という用語はスペンサーによってつくられ、ダーウィンによって応用されたのじゃ」

すべてのモダン人類学は、多かれ少なかれ進化論的である。一般化、分類、類型化はいずれも、進化論的な考えと階層的な関係を暗示的ないし明示的に思い起こ させるものだ。

【台詞】学者(人類学者)「社会変化、変容、発展もまた、進化論的概念を伴う考えじゃな」


・チャールズ・ダーウィンは、現代社会のなかで重要な人物だと言われています。私(イケダ )の青年時代には、ダーウィン・マルクス・フロイトという3人の「偉大な思想家」について標語のように論じることが「常識」だったこともあるのです。
・皆様にとって、ダーウィン、マルクス、フロイトは、どんな人でしょうか?自由に話し合ってください。
・参照:「若き日のチャールズ・ダーウィン」「チャールズ・ダーウィン, 1809-1882」「ブルーノ・バウアーを批判するカール・マルクス」「心理人類学の流れ」「モダン人類学
28
伝播主義の理論
28.    伝播主義理論
28. 伝播主義の理論

伝播とは、1つの文化、人びとないしは場所の、あるところから、別のところへの伝達のことである。伝播の本質は、接触(コンタクト)と相互作用(インタラ クション)である。これはとても古い考え方である。聖書の説明で、16世紀から17世紀にかけて、盛んに発達した説明の方法の多くは、伝播主義的である。

【台詞】学者(人類学者)「バベルの塔の崩壊と共に人類が分散したことが、すべての民族間の遺伝的(つまりは生物学的かつ社会的伝播)つながりを提供する のじゃ」

【台詞】学者(人類学者)「伝播は、言語研究の発展も下の方から支えておるな」

オリエンタリスト(東方学者)のウィリアム・ジョーンズ卿(1746-94)によるインド・ヨーロッパ語族についての研究と、イギリスに定住したドイツの マックス・ミュラー(1823-1900)の研究に特にこの伝播主義は顕著である。ミュラーは、歴史比較言語学を進めただけでなく、すべての人間性は同じ 精神構造(メンタリティ)を共有するという考えの支持者でもあった。言語学は、社会理論とりわけ人類学に重要な影響を及ぼしてきた。

伝播主義は、ミュラー以外のドイツの学者たちの最も重要な論題でもある。フリードリヒ・ラッツェル(1844-1904)は、世界を2つの文化圏に分けた 最初の人物である。彼の研究はタイラーに影響を与えた。レオ・フロベニウス(1873-1938)とフリッツ・グレーブナー(1877-1934)のクル トゥールカイゼ(Kulturkreise)あるいは〈文化圏〉という概念は、ボアズに重要な影響を及ぼした。
英国では、グラフトン=エリオット・スミス卿(1871-1937)とウィリアム・ペリー(1887-1949)の著書『太陽の子どもたち』(1923) のなかで、高度な伝播主義として定式化されている。彼らは、太陽崇拝の古代エジプト人がすべての文明の起源であるという理論を前面に出した。また、スミス とペリーは、独自性の信用の証として、聖書に書かれているヘブライの家父長制をエジプトのそれに置き換えた。そして、それまで優勢だった社会進化論に対抗 する後衛の活動としてより伝播主義をさらに推し進めたのだった。

文化がとなりの民族集団に伝わり、さらにまた隣の民族集団につたわり、広域的=鳥の眼でみると、ある地域的広がりのなかで文化的要素は共通しているという見方である伝播主義とは、とても「わかりやすい理論」ですが、逆に専門家でも、この伝播主義がドグマになり、自分たちが研究している文化には、どこかに「起源」があると妄想するようになり、その起源探しに専念します。
・このような妄想的科学の議論に2つあります:ひとつは「日本国の起源」論もうひとつは「日本人の起源」論。このような疑似科学の何が誤りなのか、ひとつ づつ、この妄想を抱く連中がもっている「論証したという論理」を論破して、この2つの論は「なぜ慎重に議論しなればならないか?」について論じてくださ い。
・参照:「オリエンタリズム」「ミッシェル・フーコーの権力論

ラッツエルの2つの文化圏説とは、(1)文化が広がる地域と、(2)文化そ のもの、つまり抽象的な文化の域圏を区分した。例えば(1)は「琉球文化」のように琉球語が話される島嶼で区切られている領域のことを、(2)は「照葉樹 林文化」説のようにヒマラヤ、東南アジア北部、雲南から江南さらに東進して西日本まで広がるが、焼畑、陸稲、餅、納豆などの食物利用や漆器や鵜飼など生活 技法がそのまとまりのなかで見られる領域である。
29
人種の詐欺(The Race Spindle, 人種という名の詐欺、てな意味で しょうか?)
29.    人種というペテン
29. 人種というでっちあげ

未開人は、他の人種から区別することができなかった。「他の人種」(という概念)は、未開人の概念を定義し、〈未開状態〉の研究手段を提供した。文明は、 白い人種が優越するように発達した唯一の「環境(メディウム)」を表す用語であったが、他のすべての人種は、社会進化論と人種的な階層における野生的で野 蛮に満ちた初期のレベルに留まっていた。

【台詞】アナザシ「つまり、ある時点で俺自身の歴史や創造する力、変化のための能力を俺は失なわれたんだな。すべてが基本的にでっちあげられた《私たち- -彼らたち》だったんだよ」

【台詞】アナザシ「19世紀の未開の発明(インベンション)は、人種主義で溢れていたのさ。人種主義は、帝国主義を正当化し、それを支えるものだったんだ よ」



Civilization was a singular term for the unitary medium through which the white race had risen to prominence, while all other races were left stalled at earlier levels of the evolutionary and racist hierarchy of savagery and barbarism.


現代人類学は、人種概念との争いから始まる。それは、人種主義をその知的起源のなかで糾弾し、人種主義の数々の起源を提供した圧倒的多数の人種主義者の作 品を疑問視する。

【台詞】現代人類学者「しかし、私は、未開という過去の人類学者たちによる発明の重荷というものを、まぁ何があっても、背負わされているのだ」

【台詞】アナザシ「存在しなかったということを装っても、消えてなくなりはしないよね。現代人類学者は、祖先が誰であるのかをただ忘れ去りたいんだろう ね」



Modern anthropology begins in contention with the concept of race. It denounces the racism in its intellectual origins and discounts the overwhelming mass of racist writing that informed these origins.

・参照:「人種」「人種差別
30
フィールド研究
30.    フィールド研究
30. フィールド研究

歴史の時代と専門的職業としての現代人類学を切り分ける境界線は、憶測から経験科学への移行である。

【台詞】ブロニスロー・マリノフスキー「人類学のあらゆる学派にとっての実質的な共通基盤は、文化の科学的研究だ」

これは人類学をどこで行うか違いなのだ。つまり、アームチェア、哲学者の象牙の塔、植民地のベランダから離れ、〈未開〉の人びとが暮らすフィールドへと足 を踏み入れるのである。

フィールドでは、経験主義的な探究によって、新たな経験的証拠がもたらされることがある。このことが、異なる文化を説明し、単なる憶測ではない人間の類似 性と差異の比較を可能にすることになる。

【台詞】アナザシ「ある1点を除いて、連中が俺らに信じて欲しいのはこのことさ。その1点とは何か、説明してみてよ!」

人類学者をフィールドまで連れていった、理論と体系化の原理は、その人類学者の祖先たち——よく知られているものもそうでない祖先の両方——から受け継が れているものである。

・文化人類学のフィールドワークにおける「フィールド」とは何か?そして「ワーク」とはなにか?
・参照:「フィールドワーク」「文化人類学者とは何をしているのか
31
人類学の樹
31.    人類学の樹
31. 人類学の樹

人類学を形づくる研究分野は4つある。

【台詞】学者(人類学者)「アメリカ合衆国のほとんどの大学では、これらすべてを学生に紹介するのである。だがイギリスではそのようにする大学はほとんど なく、その代わりに社会人類学だけに集中させるのだがな」

かなり多くの人類学者は、社会人類学の分野で仕事をしている。アメリカ合衆国では、人類学を文化人類学ないし民族学(ethnology)と呼ぶ。民族学 は、イギリスの人類学者が人類学が大学での学問(ディシプリン)になる以前に用いていた名称である。
社会人類学か文化人類学かという下位の領域の名付け(naming of parts)は、イギリスとアメリカ合衆国それぞれの国の伝統(national tradition)の具体的な成り立ちによるものなので、それは歴史的遺産と言える。各国の人類学は、それらの国々の独自の強調の違いとそれぞれ異なっ た命名法があるのだ。

人類学のすすめ

先住民と四分類人類学

・ フランツ・ボアズが考えたと言われる「四分類人類学」は、最初から人類学のアルファーでありオメガであると考えていたというわけでなく、ボアズのフィール ドワーク経験がそれを培ったと言えます。初期のアメリカのフィールードワークを重要視した人類学者が、この4つの分類にどうしてこだわったのか、考えてみ ましょう。
・参考:「人類学のすすめ」「先住民と四分類人類学
32
自然人類学(Physicalであって Naturalぢゃないよ〜)
32.    形質人類学
32. 自然人類学

自然人類学(形質人類学ともいう)は、人の人種の研究から始まった。測径器を手にした人体計測学者は、頭のサイズを測り、これを分類するという、彼ら好み の仕事に着手した。

【台詞】自然人類学者「そして墓場から頭骨を盗んだのじゃ。そこのところお忘れなく!」

その目的は、形質的が示す人種の違いを証明し、人間の起源と文化的多様性についての人種主義的理論を擁護することだった。

人類学

・参照:「自然人類学
33
多元発生説《対》単元発生説
33.    多元発生説vs単一起源説
33. 多元説〈対〉単元説

形質人類学の大きな論争は、多元説論者と単元説論者との間のものであった。多元説は、異なる「人種」の起源をそれぞれ異なる祖先に求める。これは、アメリ カ先住民の起源を説明するために考案発達したものであり[アメリカ先住民と白人が同じ祖先から由来したことを嫌う]アイザック・ラ=ペイレール(1594 -1676)によって最初に着想されたものである。

【台詞】未開人の奴隷「この論争は、19世紀に、特にアメリカ大陸での奴隷制をめぐる論争のなかで激しく再燃したんだよ」

【台詞】未開人の奴隷「聖書の説明は単元説だね」

【台詞】聖職者「アダムとイブは、すべての人類の祖先なのじゃ」

ダーウィン主義の(自然淘汰による組み換えを伴う出自仮説である)人間進化モデルは単元説である。理論としてのダーウィン主義の成功により、自然人類学は 人間の進化についての研究に変わっていった。

・参照:「人種単元論と人種多元論
34
人間生態学と遺伝学
34.    人間生態学と遺伝学
34. 人間生態学と遺伝学

自然人類学には分類研究が含まれる。つまり、それは霊長類(猿)と現代人の歯列の違いから比較解剖学と比較生理学までにおよぶ。人間生態学と遺伝学は、ど ちらも自然人類学の分野に含まれる。

【台詞】学者(人類学者)「人間生態学は、異なる環境条件下でのホモ・サピエンスの適応反応を研究するのじゃ」——そして——「疾病生態学、栄養学、人口 学の研究もするのじゃ」

人類学における遺伝学は、異なる「人種」※集団の遺伝的多様性に関わっていたが、やがて、この研究は生物遺伝学(biological genetics)の成長によって人気を失っていく。

※訳注:人種の概念は学問的に否定されているので、ここでの「人種」は、人の集団の表面的な違いのことを指している。

・参照:「生態人類学」「人間生態学」「医療人類学徒のための生物学入門」「エピジェネシス
35
社会生物学の隆盛
35.    社会生物学の隆盛
35. 社会生物学の隆盛

自然人類学は、人種主義との関連性が指摘され、そして現代生物科学の台頭もあり、やがて時代遅れとなった。しかし、1970年代から1980年代にかけ て、人間行動の遺伝的基盤の研究である社会生物学の発展をとおしてに再び大流行した。

【台詞】アフリカの男性「人類学における社会生物学の関わりと意味は、主要な現代論争の主題となっているんだね」——そして—— 「つまり、それは望んで いない歴史のすべてが自らにはね返ってきてるんだな」

・参照:「社会人類学

・「いわゆる「氏か?育ちか?論争」と言って、社会生物学は人間の本性が遺伝子によって決まると主張するのに対して、迎え撃つ人類学は文化の学習という後天的要素を考えるべきかと反論する。」
36
遺伝子理論における人種の再焦点化
36.    遺伝子理論のなかで再焦点化される人種
36. 遺伝子理論により再び注目される人種

遺伝子中心理論は、19世紀の未開思考の多くを呼び起こす。それは人種の新たな再編成をうながす行動決定遺伝子という理論を伴って登場したからだ。初期人 類の行動モデルは、動物行動のひとつだとみなされているからだ。

【台詞】学者(人類学者)「アフリカの砂漠において発生する〈進化的適応の環境(EEA)〉に関心が持たれているからじゃ」——そして——「伝播主義を色 濃く影響を受けた人類の進化についての研究に〈アフリカ起源〉論がある」

・参照:”What is a gene?” - MedlinePlus- Help Me Understand Genetics.
- What is a cell?
- What is DNA?
- What is a chromosome?
- How many chromosomes do people have?
- What is noncoding DNA?

37
初期の人類学との別の関連性(リンク)
37.    初期人類学との他のつながり
37. それ以外の初期人類学との繋がり

遺伝子は集団(個体群)のなかで研究される。人口集団の最重要課題は、交配と生殖のコントロールである。「未開社会」概念と未開の特徴を構築するために最 初に利用されたのが、家族であり親族であったのはまさにこのためなのだ。

【台詞】アナザシ 「どうりですべて親しみやすく聞こえるよね!」

【台詞】アナザシ 「でもそれだけじゃない…」

これ以外の類似性は、進化論的適応の環境が、先史時代に起こっているということにある(もっとも、それは自由に想像する便利な領域なのであるが)

・参照:「人類の進化[※科学人類学的な検証が必要なので現時点では無責任にリンクを張っています](Human evolution)」ウィキペディア)
38
考古学と物質文化
38.    考古学と物質文化
38. 考古学と物質文化

考古学と人類学では、文化と社会の起源、そして文明の発達を説明するという共通の関心をもっている。物質文化は、それぞれの社会の財の生産技術や生産手段 について人類学者が研究する分野である。この分野は、陶器をつくる技術からラクダを去勢する50の方法までのあらゆる技術に関する研究である。

【台詞】学者(人類学者)「物質文化研究は、民族誌的平行性(ethnographic parallel)によって考古学へ大きな影響を与えているのじゃ」——そして——「今は亡き社会の物質的残存物についての有意義な解釈を提示するため に、現存する社会における社会行動を利用するということじゃ」

【台詞】牧畜民の男性「その社会生活を再構築するためのモデルを創造するんだね。聞き覚えがある馴染みのあることなぁ!」

・参照:「考古学(まだ未製作)」「さまざまな〈ブンカ〉
39
人類学的言語学
39.    人類学的言語学
39. 人類学的言語学

19世紀から20世紀のほとんどの間、言語学と人類学は、人類学と考古学と同じような関係を結んでいた。つまり、言語とその歴史的発展との関連性を解明す べく、馴染みのない外来の言語を研究するという共通の関心を共有していた。

【台詞】ノーム・チョムスキー「当時の言語学は、変形と生成の諸理論(transformational and generative theories)により大きな革命を経験したのだ」

【台詞】学者(人類学者)「とりわけノーム・チョムスキー(1928-)は、すべての言語の根幹をなす基礎つまり〈普遍的文法〉の発見を目標としたの じゃ」

そこでは、人類学者は言語学の概念と理論を使っている。このような言語学モデルは、社会をコミュニケーションの体系と見なす構造主義者たちや、言語を思考 様式の基盤だと考える認知社会人類学者によって、文化・社会行動のモデルとして使われている。

・参照:「言語人類学
40
社会/文化人類学
40.    社会/文化人類学
40. 社会人類学あるいは文化人類学

「社会」人類学であろうと「文化」人類学であろうと、それらは(どんなものでも理論化する)グランドセオリーの中の学問分野の諸領域である。そこには、文 化的多様性の研究、文化的普遍性の探究、機能する全体としての複数の社会の研究、社会構造の研究、象徴(symbolism)の解釈、その他多くの研究が 含まれる。

【台詞】【文化】を手に持つ学者(人類学者)「社会ないし文化人類学にとって、唯一無二の最も重要な概念は、もちろん、文化じゃ」

・参照:「社会人類学」「民族学」「民俗学」「文化人類学」「記号・表象・象徴
41
文化とは何か?
41.    文化とは何か?
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42
専門領域への細分化 (Increasing Specialization)
42.    専門領域の増加


43
民族誌の岩盤=基盤
43.    民族誌(エスノグラフィ)の根幹


44
異国人を書く(Writing the Exotic)
44.    エキゾチックを書く


45
フランツ・ボアズ
45.    フランツ・ボアズ 


46
ブロニスラウ・マリノフスキー
46.    ブロニスロー・マリノフスキー


47
フィールドワーク
47.    フィールドワーク


48
フィールドワークにおける人間生態学
48.    フィールドワークの人間生態学


49
生態人類学
49.    生態人類学


50
経済の問題
50.    経済という問い


51
ポトラッチ儀礼
51.    ポトラッチ儀式


52
ニューギニアの「ビッグ・メン」
52.    ニューギニアの〈ビッグマン〉たち


53
クラ交換
53.    クラ交換


54
経済人類学
54.    経済人類学


55
交換と交易のネットワーク
55.    交換と交易のネットワーク


56
形式主義《対》実体主義論争
56.    形式主義者と実体主義者の論争


57
マルクス主義人類学
57.    マルクス主義人類学


58
マルクスの進化論的見解
58.    マルクス主義的進化論の見方


59
世帯単位(The Househould Unit)
59.    世帯単位


60
家族の形態
60.    家族の形態


61
婚姻紐帯(The Marriage Links)
61.    結婚紐帯


62
婚資、あるいは婚礼[契約]資金
62.    結婚契約にかかる支払い


63
親族の研究
63.    親族研究


64
親族記号
64.    親族コード


65
類別的親族 (Classificatory kinship)
65.    類別的親族


66
擬制的親族(fictive kinship)
66.    疑似的親族


67
出自理論(descent theory)
67.    出自理論


68
結婚と居住の規則
68.    結婚と居住の規則


69
親族用語
69.    親族の表現方法(イディオム)


70
親族の「効用(use)」とは何か?
70.    親族の〈効用〉とは何か?


71
連帯理論と近親相姦の禁止
71.    縁組理論とインセストタブー


72
心のなかの構造
72.    心(マインド)のなかの構造


73
基本的構造の形態
73.    基本構造の形態


74
縁組理論は本当にうまくいっているのか?
74.    縁組理論は役に立つのか?


75
政治と法律
75.    政治と法


76
オマケの例
76.    その他の事例


77
用語法的研究
77.    用語法(ターミノロジー)的アプローチ


78
政治人類学
78.    政治人類学


79
年齢階梯社会
79.    年齢階梯社会


8
共時的《対》通時的見解
80.    共時的視点vs通時的視点


81
他の社会階層化
81.    その他の社会階層


82
交渉するアイデンティティ
82.    交渉するアイデンティティ


83
エスニシティ(民族性)の諸問題
83.    エスニシティの諸問題


84
植民地主義
84.    植民地主義


85
反ー資本主義的人類学
85.    反-資本主義人類学


86
法の人類学
86.    法人類学


87
口論解決のメカニズム
87.    係争処理のメカニズム


88
宗教
88.    宗教


89
シャーマニズムとカーゴ・カルト(積荷崇 拝)
89.    シャーマニズムとカーゴカルト


90
聖と俗
90.    聖と俗


91
魔術/呪術の人類学
91.    呪術の人類学


92
信念をめぐる論争
92.    信念についての論争


93
儀礼の検討
93.    儀礼の検証


94
通過儀礼
94.    通過儀礼


95
神話の研究
95.    神話研究


96
クロード・レヴィ=ストロース
96.    クロード・レヴィ=ストロース


97
二項対立と構造
97.    二項対立と構造


98
象徴とコミュニケーション
98.    象徴(シンボル)とコミュニケーション


99
象徴と社会過程
99.    象徴(シンボル)と社会プロセス


100
アクター、メッセージ、コード(行為者/ 伝達内容/暗号)
100.    主体(アクター)、メッセージ、コード


101
シンボリズムと新しい見解
101.    象徴主義と新たな視点


102
芸術の人類学
102.    芸術人類学


103
映像人類学
103.    映像人類学


104
消失してゆく世界
104.    消えゆく世界


105
新しい枝か?古い根っこか?
105.    新たな枝派か?あるいは古根か?


106
フィールド経験を書きたてる (Writing up the field)
106.    フィールドを書き上げる


107
現在において書く
107.    現在において書く


108
自己[回帰の]人類学(Auto- Anthropology)
108.    自己回帰の人類学


109
二重のテポストラン、闘争的テポストラン
109.    テポツォトラン論争/テポツォトランの2つの顔


110
テポストラン再訪
110.    テポツォトラン再訪


111
人類学とは科学なのか?
111.    人類学は科学なのか?


112
科学のふりをすること
112.    見せかけの科学


113
インディアンは居留地を出る
113.    保留地の外へ出たインディアンたち

114
誰がインディアンのための語るのか? 114.    誰がインディアンのために語るのか?

115
神としての白人
115.    神としての白人

116
権威の神話
116.    権威神話

117
出来事の位相
117.    出来事の地平線


118
自己批判的人類学
118.    自己批判の人類学


119
人類学のヒーロー
119.    人類学の英雄


120
ミード神話の没落
120.    ミード神話の崩壊


121
観察される観察者
121.    『観察される観察者』


122
粘土の足
122.    もろい基礎


123
自己投射の議論
123.    自己投射の問題


124
文化を書くこととポストモダニズム
124.    文化を書くこととポストモダン


125
ポストモダンの麻痺
125.    ポストモダンの無気力感


126
人類学における女性
126.    人類学の女性たち


127
人類学者たちの親族紐帯
127.    人類学者の親族紐帯


128
フィールドの協力者
128.    フィールドの協力者


129
フェミニスト人類学
129.    フェミニスト人類学


130
フェミニスト人類学の位置づけ
130.    フェミニスト人類学の位置付け


131
未接触の人々
131.    穢れなき民


132
ヤノマモ・スキャンダル
132.    ヤノマミ騒動(スキャンダル)


133
内戦を創り出す
133.    生み出される内乱


134
人類学はどこへゆく?
134.    人類学はどこへ行く?


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