人工知能のイメージに関する日米比較
Japan-U.S. Comparison on the Image of Artificial Intelligence
解説:池田光穂
人工知能(AI)とは、人間の知性・
知能を計算機によって作り出すこと、作り出された〈実体〉、
あるいは、このことに関
する学問分野や実践、さらには欲望などを指す複雑な言葉である(→より詳しい説明は「人工知能(AI)」を参照)。ここで言う知性・知能とは、単に計算能力だけでなく、推論や学習などの高度の知的能力(それゆえ
インテリジェンスの語がつく)のことである。この知的能力の様式をもった[あるいは類似の]活動が計算機=コンピュータにある時[あるいは、あるように思
える時]、技術者は人工知能(AI)を使っていると表現する。人間の知性・知能と計算機のそれは、同じであるのか、そうでないのか。あるいは、将来可能になる
のか、ならないのかという学問的議論は、人工知能論争(じんこうちの
う・ろんそう,
AI論争)と呼ばれており、その決着はついていない(知性・知能の定義次第で、議論は大幅に変わりうるので、永遠に決着が着かないという表現も、もう決着
はついているという表現もともに可能である)。→汎用人工知能(Artificial
general intelligence)
このページは、経済産業省『情報通信白書』平成28=2016年版の記事「人工知能(AI)の現状と未来 - 総務省」をもとに、人工知能(AI)に関する日米比較をおこなっている記事(総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査比較」)が紹介されている。
この白書が強調してるのは、イメージ「コンピューターが人間のように見たり、聞いたり、話したり
する技術」とみなす態度には、日米間でそれほど格差はないのに、イメージ「人間の脳の認知・判断などの機能を、人間の脳の仕組みとは異なる仕組みで実現す
る技術」に対しては、米国が42%もあるのに日本は26%(米国の比率の6割程度)しかないということである。ただし、この2点だけに着目してもデータ解
析が勿体無いので、池田が全項目についてコメンタリーする
1)コンピューターに自我(感情)をもたせる技術 |
日本が27%であるのに、米国では20%である。コンピュータが感情をもつことに日本人のほうが関心が高い。 |
2)コンピューターが人間のように見たり、聞いたり、話したりする技術 | 日米共に、36%と関心が高く、日米間でそれほど格差はない。 |
3)人間の脳の仕組みと同じ仕組みを実現する技術 |
日本は19%、米国は15%と、日本がやや高い。 |
4)人間の脳の認知・判断などの機能を、人間の脳の仕組みとは異なる仕組みで実現する技術 | 米国が42%もあるのに日本は26%(米国の比率の6割程度)しかない。人間の脳と機械の脳の構造的違いを通して機能的に実現させることに、米国は意識しているが、日本にはその意識が相対的に低い。 |
5)ゲームやクイズなどの特定の分野において、人間と同等もしくは人間以上の能力を実現する技術 |
日米ともに相対的に低いが、米国22%に対して、日本は低い。ともにシンギュラリティに対する関心の低さを表象するものであろうか。 |
6)画像や自然言語(話し言葉や書き言葉)、様々なデータなどを分析して、その意味合いを抽出する技術 |
米国が29%と高いのに、日本は17%に止まっている。人間に提供される認知情報の革新が人工知能によって実現することに対する米国の関心の高さと、日本の低さの対比は、人工知能に関する正確な情報収集の違いを物語っているように思えてならない。 |
7)学習や推論、判断などにより、新たな知識を得る技術 |
前項6)と同様、米国がさらに高い33%を示すのに、日本は20%に止まっている。人間に提供される認知情報の革新が人工知能によって実現することに対する米国の関心の高さと、日本の低さの対比は、人工知能に関する正確な情報収集の違い——すなわち日本における基礎知識の貧困さ——を物語っているように思えてならない。 |
8)人間を超える知能を実現する技術 |
日本の11%に対して、米国19%と相対的に米国のほうが高い。シンギュラリティに対する関心の低さは、日本のほうが顕著である。 |
9)上記のイメージに近いものがない |
日本が24%に対して、米国は10%なので、日本は、人工知能に関する知識は茫漠としており、正確なものが少なくとも2015-2016年ごろにはそれほどなかったように思われる。 |
●AI批判
Ardalan Raghian Matthew Renda「AIが人類を脅かす可能性とその対策--専門家の 見解」2016年7月6日, CNET-Japan.
憲法学者の山本龍彦はAIのイメージを次のように言う
「AIは、過去の膨大なデータから、人聞には想像もできなかったような事物と事物との相関関
係やパターンを発見・認識し、この関係・パターンを特定の個人に関わるデータセットに適用す
ることで、当該個人の趣味嗜好、健康状態、精神状態、政治的信条、職務上の適格性、信用力、
学力、知能、収入などを自動的に分析・予測できるのである。「プロファイリング」とも呼ばれ
るこうした予測は、例えばマーケティングなどによく使われる。/
AIが過去の膨大なデータ(ビックデータ)から抽出・発見したパターンを用いて、特定のユ
ーザーの趣味嗜好を予測できれば、事業者はそのユーザーに合った個別的(personalized)な広告
を送ることができる。これは、打っても響かない相手も含めて、誰かれかまわず広告を送ってい
た事業者にとって利益になるだけでなく、自分が関心を持たないような情報を排除して有用な情
報を絞り込んでくれる点で、我々消費者にとっても利益になる」(山本 2018:19)。
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●DX(デジタルトランスフォーメーション)のイケていない2箇条(→「デ ジタルトランスフォーメーション(DX)カルト」からの引用)
1.アルファベットでスローガンを唱えれば救 われるという念仏カルト信仰
2.日常生活と産業界のデジタル化がどのような変化(トランスフォーメーション)を引き起こすのか、それ自体でわかりにく い
●自動運転と国土交通省
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Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099