ラテンアメリカのポピュラーカルチャー
Memory and Modernity: Popular Culture in Latin America
☆Memory
and Modernity: Popular Culture in Latin America, by William Rowe and
Vivian Schelling
| “A new, needed and
definite work.” —New Statesman and Society Samba and carnival, radio soaps and telenovelas, oral poetry, popular drama, Amerindian art. This illustrated overview of Latin America’s popular culture considers the broad spectrum of cultural forms in the various countries of the subcontinent. Exploring the ways in which daily life and ritual have resisted and been influenced by Western mass culture, Memory and Modernity traces the main anthropological, sociological and political debates about the nature of popular culture. Rowe and Schelling use their analysis of the development of a culture industry in Latin America to engage with wider debates about modernity, drawing out the contrast between Latin America’s cultural wealth and its widespread material poverty. In challenging the assumptions of much Western cultural criticism, this book will be essential reading for students of Latin American society, while offering the general reader a concise and accessible overview of an exciting and varied popular culture. |
「新しく、必要であり、確かな研究である」——『ニュー・ステーツマ
ン・アンド・ソサエティ』誌 サンバとカーニバル、ラジオドラマとテレノベラ、口承詩、大衆演劇、アメリカ先住民芸術。この図解付き概説書は、ラテンアメリカ大陸の諸国に見られる多様 な文化形態の広範なスペクトルを考察する。 日常生活と儀礼が西洋の大衆文化に抵抗し、また影響を受けてきた様相を探る『記憶と現代性』は、ポピュラー・カルチャーの本質に関する主要な人類学的・社 会学的・政治的議論を辿る。ロウとシェリングは、ラテンアメリカにおける文化産業の発展分析を通じて、現代性に関するより広範な議論と向き合い、ラテンア メリカの文化的豊かさと広範な物質的貧困との対比を浮き彫りにする。 多くの西洋文化批評の前提に異議を唱える本書は、ラテンアメリカ社会を学ぶ学生にとって必読書であると同時に、一般読者にも刺激的で多様なポピュラー・カ ルチャーの簡潔で分かりやすい概観を提供する。 |
| 現代企画社のコメント 「征服」以後、西欧近代の文化的同質性の圧力にさらされながらも、ラテンアメリカの民衆的伝統はいかにして自らの「記憶」を保存し、伝達し、変形してきた か。著者はこの観点から、民衆文化がもつ解放とユートピアへの潜勢力を、理想的な地点に凍結することなく、社会集団間の意味や慣習の対立において実際に発 生しているものを考察する。 論及は、民俗音楽、呪術信仰、口承の物語、文学、演劇、博物館、サッカー、サルサ、サンバ、カーニバル、テレノベラ……に及び、民衆の文化的ヘゲモニー闘 争を克明に跡づけて、さながらラテンアメリカ民衆文化に関する「百科全書」の趣きをもつ。経済と情報のグローバリゼーションのさなかの民衆を受動的な存在 に固定化せずに、「順応と抵抗」の相克を生きる存在として捉えて、刮目に価する達成を示す。 |
Comentario de Gendai Kikaku-sha ¿Cómo han conservado, transmitido y transformado las tradiciones populares latinoamericanas su propia «memoria» mientras se veían sometidas a la presión de la homogeneidad cultural de la modernidad occidental desde la época de la «conquista»? Desde esta perspectiva, el autor examina el potencial latente de liberación y utopía inherente a la cultura popular, sin congelarla en un punto idealizado, sino considerando lo que realmente surge dentro de los conflictos de significado y costumbres entre los grupos sociales. El debate abarca la música folclórica, las creencias mágicas, las narrativas orales, la literatura, el teatro, los museos, el fútbol, la salsa, la samba, el carnaval, las telenovelas... y traza meticulosamente las luchas culturales populares por la hegemonía, lo que le da el aspecto de una enciclopedia de la cultura popular latinoamericana. Demuestra un logro notable al concebir a las masas, en medio de la globalización de la economía y la información, no como entidades pasivas, sino como seres que navegan por el conflicto entre «adaptación y resistencia». |
★ 目次
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ラテンアメリカの民衆が受けた破壊と変容に着目する。
| 序論 |
・フォークロア概念の
みなおし(pp.16) ・フォークロア=民間伝承という用語は1846年にイギリス人のウィリアム・トムスによって作られたことはよく知られている.彼は『アテネウム』誌の 1846年8月22 日号に掲載された記事で使用するためにこの言葉を捏造した. ・ラテンアメリカ全体のフォークロアよりも、それぞれのナ ショナルカルチャーのフォークロアが強調される(18) ・フォークロアはノスタルジーを演出し、その文化が生成されるところよりも、首都などの都市に巨大な博物館がおかれる(18) ・アドルノ・ホルクハイマーの文化産業論(20) ・文化的なヘゲモニー概念の応用(24) ・グラムシの業績=文化が権力関係と不可分 である(25) ・集団の同一性と多様性の担保(26) ・ラテンアメリカの民衆文化は、左翼の温情主義的な啓蒙の合理主義で無視される傾向にあった(28) ・夜行用の地図(マルティン=バルベロ; Jesús Martín-Barbero) |
| 第1章 断絶と連続 |
・キーワードとしての、文化変容、混血化(メスティサヘ)、文化越境
(35) ・人種的な純粋性にいまだにこだわり続ける(だがその理由は?)(36) |
| 植民地、呪術、服従の限界(36) |
・ラス・カサスの報告 ・先住民やメスティソからみた征服を理解すること(ナタン・ワシュテル) ・征服を回避するオルタナティブな記憶=例としての伝統的土地所有(39) ・イエズス会の伝統——布教のために現地の土着システムを最大限に利用する ・布教はどこまで先住民の思想を歪めたのか?——問い(40) ・偶像崇拝 ・植民地呪術 ・obedezco pero no cumplo (42) ・グアダルーペ聖母と17世紀クリオージョ・ナショナリズム(44)——初期のサアグンの解釈 |
| 独立:公式見解と民衆見解 |
・グアダルーペ聖母と17世紀クリオージョ・ナショナリズム(44)——初期のサアグンの解釈 ・ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」論は、民衆文化の役割を省略したことだ(46) ・シモン・ボリーバル像の変容(46)——ボリーバルを黒人奴隷出自とする一種のメシア説すらある。 ・癒しの現場に、霊的存在としてボリーバルが表出することもある(47) ・馬の神話的意味——聖ヤコブの所有物(47)とボリーバルの白馬 ・歴史推進のちからと、民衆的信仰(48) ・クリオーリョによるボリビア独立時には、インディオは不在である(48) ・パチャママ(49) ・→「モダン先住民の図像表象」 |
| 法、秩序、国家 |
・カシキスモ ・ラティフンディスモ(もともとローマの奴隷制や小作にもとづく大土地所有制 Latifundio で古代ローマに由来する) ・アシエンダとラティフンディスモ ・クライアンテリズム[恩顧主義](50) ・アルゼンチン、アルゼンチンにおける先住民(52) ・アルゼンチンインディオの同化圧力(53) ・ガウチョ文学(59) ・タンゴ(64) |
| 民衆文化と国家 |
・ブラジル論(64) ・1888年の奴隷制の廃止の後の1889年共和国宣言(66) ・サルミエント「ファクンド論(Facundo)」 ・ジルベルト・フレイレ「大邸宅と奴隷小屋」(73) |
★ 目次
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地方と都市の対比、ただし、純粋素朴〈対〉腐敗堕落という二項対立には陥らないことに留意する
| 第2章 民衆文化の顔 |
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| 1. 地方の文脈(80) |
・アイユ ・先住民の文化や応答 |
| アンデスの反乱(82) |
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| 博物館への旅(103) |
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| 民衆カトリシズム |
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| 踊る牛:農民生活と民衆演劇 |
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| 口承詩と物語の技法 | |
| 2. 都市の文脈 |
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| 都市への移動 |
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| テレノベラ:メロドラマから喜劇へ |
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| オルタナティヴ・メディア |
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| 奴隷制からサンバへ |
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| カーニバルと黒人アイデンティティ |
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| サッカーとそのスタイルの政治的意味作用 |
★ 目次
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ポピュリズム言説において、政治が民衆を利用する過程をみつめる。あるいは民衆政治運動とポピュラーカルチャー
| 第3章 民衆文化と政治 |
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| 民衆という神話 |
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| ギリシア・トーガを着たメキシコの女生徒 |
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| アイデンティティと国民アイデンティティ |
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| 「大衆は考えない、彼らは感じるのだ」 |
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| 発展のオルタナティヴ・モデル |
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| インディオの政治 |
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| パッチワーク、マチスモ、新しい社会運動 |
★ 目次
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ラテンアメリカの文学作品
| 第4章 民衆文化と高級文化 | |
| 文学と国民 |
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| 文化の境界線 |
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| 大衆文化と小説 |
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| 二重の周辺化 |
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| 結論:記憶、破壊、変形 |
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| 原註 |
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| 訳者あとがき |
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| 索引 |
★
リ ンク
文 献
そ の他の情報
CC
Copyleft,
CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099