教科書に載っていないラテンアメリカの文化と社会
Introduction to Latin America without tears
Gerard
David, The Nativity, c. 1490, Museum of Fine Arts, Budapest/ Frida
Kahlo, Autorretrato con el pelo cortado, Mexico, 1940
☆ 教科書のいらない授業とは、「教科書に載っていない」ことを学ぶ授業のことである。それは、教科書をみんな各人が自分のなかでつくりあげなければならない 授業のことでもある。つまり、現時点では「教科書のない授業」なのである。
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試験(75 min) |
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課題 |
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グローバルな観点からみるラテンアメリカ地域研究、だが、その時空間をたんなる「地域研究」
のテーマに矮小化しない。
★ シラバス原案
メインタイトル:ラテンアメリカの文化と社会 C |
サブタイトル:教科書に載っていない文化と社会について学ぶ |
授業概要 ラテンアメリカなどないと私が言えば皆さん驚かれるかもしれません。でもそう呼ばれる時空間のさまざな歴史的あるいは社会文化的事象はありますが、ラテン アメリカという抽象的な概念そのものは「見ること」はできません。私たちは具体的な勉強を通してラテンアメリカの社会と文化についてひとりひとりが学ぶ必 要があるようです。この授業は、人びと、文化、音楽、文学、食べ物、思想、ジェンダー、移民、麻薬戦争などの事例をとりあげ、レクチャーとディスカッショ ンを通して、ラテンアメリカの文化と社会について学びます。 |
学習目標 ラテンのつかないアメリカ(例:アングロアメリカ)や他地域(例:日本や留学元)との比較を通して「発見」、侵略、入植、混交、独立、再創造のプロセスの 中にラテンアメリカができあがったことを理解し、自分が興味をもった、文化的社会的事例をいくつかあげ、他の学生の仲間に対して、説得力のある説明をする ことができるようになること。 |
授業計画 1.導入(講義):どのようにしてラテンアメリカの概念がうまれてきたか? 2.人びと(講義とディスカッション):先住民、侵略者、入植者、混血、旅行者などの人種・民族概念について学ぶ。 3.文化(同上):新大陸発見前、接触、入植、独立、内戦や革命、国民国家のそれぞれの歴史的位相のなかでうまれた文化の多様性について理解する。 4.音楽(同上):世界中の人を楽しませているラテン音楽(レゲエ、サルサ、ロック、ヒップポップ、レゲトン)の広がりと、その歌謡の中にみられるメッ セージ性について、実際に聴き、分析することを通して感じる。 5.文学(同上):さまざまな言語に翻訳されて世界中の人に親しまれているラテンアメリカの文学や詩が私たちにあたえる「めくるめく世界」を音読したりす ることで、感じる。 6.食物や嗜好品:世界経済を変えた砂糖とフルーツの「物語」を通して、私たちの身近なところにあるラテンアメリカの存在を理解する。 7.思想(同上):バック-モースの著作『ヘーゲルとハイチ』(2017)を紹介し、ドイツ観念論の著名な哲学者ヘーゲルが、どのようにしてラテンアメリ カと関わったのか/関わらなかったのか考え、19世紀初頭の文化と思想のグローバリゼーションについて知る。 8.民族誌を読む(同上):講師の著作『暴力の政治民族誌』(2020)を紹介し、渡航計画、フィールドワーク、学術発表を通してどのように出来上がった のかを紹介し、ラテンアメリカの文化や社会に関する情報を世界に知らしめることについて知る。 9.脱植民地性(講義):アングロアメリカならびにラテンアメリカは16世紀から現在に至るまでグローバリゼーションと植民地主義・帝国主義の波にのまれ てきました。20世紀以降は先住民運動が活発になりラテンアメリカというアイデンティティの再検討も生まれます。カリブや南北アメリカ大陸からの思想界イ ンパクトを与え続けている脱植民地性について、講義を中心に解説します。 10.ジェンダー(講義とディスカッション):ジェンダー「問題」は世界中の各地で議論されていますが著しく多様なのが特徴。同時にLGBTQ+など新し いジェンダーカテゴリーの登場により複雑になっています。喫緊のジェンダー課題について、講義とディスカッションにて学びます。 11.フェミニズム(同上):ラテンアメリカのフェミニズムは前述のジェンダー「問題」と交錯しながら、他の大陸のフェミニズムにインパクトを与えていま す。社会運動が世界の人びとの意識を変革するという観点から考えます。 12.移民(同上):ラテンアメリカの社会問題を考える上で移民は重要なテーマです。グローバルな移民問題のなかにラテンアメリカの事情がどのように絡ま るのか、ディスカッションをとおして考えます。 13.麻薬戦争(同上):英語の語彙にもなったナルコス(麻薬やマフィアの意味)は、いまや闇のグローバリゼーションの大きなプロセスの一部です。依存症 と暴力の拡散を食い止めるためにも、重要な検討課題です。 14.振り返り(同上):初回の「ラテンアメリカ概念の誕生」が、授業を通してどのように揺らいだのか?あるいは変わらなかったところはなにか?授業を振 り返りながら、受講者各人のラテンアメリカ像をまとめます。 15.試験:(評価方法を見てください)。 |
授業時間外の学習(準備学習等) 1.授業の前までに、学生は「自分にとっての『ラテンアメリカ』のイメージ」について、ひとつの文章をつくってください。その文章の中には、具体的な事柄 (音楽、食事、人など)をあげます。 2.授業の毎回のテーマにあわせて、14つの文章ができあがるはずです。 3.授業が終わった後で、それらについてインターネットや図書館で、調べ物をしましょう。その際に、書き取る(コピペ)するだけでなく、どのホームページ や文献のページや文献名を記載するようにしましょう。 4.次の授業の回に持ち寄り、みんなで発表をしてコメントを交換しましょう。 |
テキスト/参考文献 テキストはありません。文献リストを配布します。以下の図書は参考文献です(手に入らない本は図書館で検索してください。異なる出版社から同じタイトルの 本が出版されていることもあります)。 1.清水透『ラテンアメリカ五〇〇年』岩波書店、2017年. 2.オクタビオ・パス『孤独の迷路』(→孤独の迷宮)吉田秀太郎訳、新世界社、1976年. 3.クリスティーナ・ビュリュス『フリーダ・カーロ』遠藤ゆかり訳、創元社、2008年. 4.東琢磨『ラテン・ミュージックという「力」』音楽之友社、2003年. 5.寺尾隆吉『ラテンアメリカ文学入門』中央公論新社、2016年. 6.シドニー・ミンツ『甘さと権力』筑摩書房、2021年. 7.スーザン・バック-モース『ヘーゲルとハイチ』岩崎稔ほか訳、法政大学出版局、2017年. 8.池田光穂『暴力の政治民族誌』大阪大学出版会、2020年. 9.ハウナニ-ケイ・トラスク『大地にしがみつけ』春風社、2002年. 10.エドゥアルド・ガレアーノ『収奪された大地』大久保光夫訳,藤原書店、2024年. 11.工藤律子『マフィア国家』 岩波書店、2017年. |
その他 ラテンアメリカについて少しでも関心のある人は受講をおすすめします。ラテンアメリカときいてピンとこない人にもおすすめです。ラテンアメリカのスペイン 語やポルトガル語、英語、スパングリッシュはオリジナルの言語からみて訛りや偏りがあると 「偏見」をもっている学生にもおすすめします。受講後、みなさんのラテンアメリカイメージが変わることを「保証」します!! |
リンク 関連ページを以下のページからリンクし資料が閲覧できるようにします。 https://navymule9.sakura.ne.jp/Culture_Society_LA.html |
★このつづきは「ラテンアメリカの文化と社会・資料編」でおこないます。
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CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099