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ASEAN経済共同体(AEC)・EPA状況下の医療保健人材の東アジア域内移動について

Transnational Immigration of Health and care workers under the ASEAN Economic Community and Economic Partnership Agreement in East Asian Countries

池田光穂

基本用語の整理

アセアン経済共同体(ASEAN Economic Community, AEC)は、2015年末に発足した、アセアン(ASEAN, Association of South‐East Asian Nations)=東南アジア諸国連合の域内の自由貿易(つまり関税の撤廃)、金融の自由化、域内格差の是正をめざしてつくられたものである。ASEAN 域内には、AFTA(ASEAN自由貿易協定)も存在し、関税障壁の撤廃などの具体的とりきめなどが定められている。AECの発足を指し示してASEAN 経済統合と呼ばれることがある。

ASEANとは?:1967年のバンコク宣言により 設立された連合体。最初の加盟国は、タイ,インドネシア,シンガポール,フィリピン,マレーシアで、1985年にブルネイが加わり、現在は10カ国(イン ドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス)である。

EPAとは?:経済連携協定(Economic Partnership Agreement, EPA)の略号である。つまり「幅広い経済関係の強化を目指して,貿易や投資の自由化・円滑化を進める協定で」ある「。近年世界で締結されているFTAの 中には,日本のEPA同様,関税撤廃・削減やサービス貿易の自由化にとどまらない,様々な新しい分野を含むものも見受けられ」る(出典:外務省「経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)」「EPA にもとづく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ制度について考える」)。

■時代的・社会的背景(背景に潜む社会問題)

■研究の目的

1)「東アジア(東南アジアを含む)域内における保健医療人材の移動に、日本のEPA(経済連携協定)、2015年のASEAN経済統合などがもたらす影響・問題点を、学際研究による海外調査と所轄・現場関係者との連携によって研究・分析し、多角的側面からの問題解決を模索する」(同科研・計画書「ASEAN経済統合・EPA下の医療保健人材の東アジア域内移動と職場適応......」)

2)比較研究をおこなうことにより、共通の問題点と、個別の問題点を区分して整理する、そして、

3)ケアワーカーの国際移動を研究する人たちを研究する私たちの「社会倫理」的関わりについて、自己反省をうながし、今後の国際的な労働移動に関する研究倫理の基盤について考察する(→「ケアの倫理」「ケアの社会倫理につ いて考える」「社会調査研究の倫理について学ぶ」「トランスマイグレーションの倫理学」「私にとっての、倫理の書」「フェミニズム」)。

フィリピン・
インドネシア ベトナム 中国 カンボジア ミャンマー タイ シンガポール
その他の地域 日本
台湾
韓国
看護・介護の単純・熟練労働者とも送り出す 看護・介護の単純・熟練労働者とも送り出す 日本市場に進出しつつある 日本市場に進出しつつある 単純労働者派遣を主眼とする 単純労働者派遣を主眼とする 医療観光・留学の受け入れも計画する 移民受入国、医療観光の確立
移民受入国化傾向 移民受入国 移民受入国
高齢化率:4.69
5.28
6.91
10.00
4.26
5,54
10.90
12.29

28.86
12.51
13.57
人口千人あたり看護師・助産師数:--
43.3
42.4
43.3
41.6
42.1
44.7
--

67.4
--
51.8
同医師数;--
40.5
46.3
50.0
40.1
41.8
41.1
50.7

53.1
--
51.4

出典:「ASEANと高齢化」タイは既に“高齢化社会”に突入している(ANNGLE)

3)最終的に、研究のための研究に終わらせることなく《本研究集団が考える》問題解決にむけての提言をおこなう。

■3つの複雑な問題系(同「計画書より」)

■各国間の相違(→「アジアの域内労働移動のトレンド」)

出典:(カースルズとミラー 2011:164)

■国内への労働移民を排除する経済学上の「立論」について:ジョージ・ボルハスの場合

「ジョージ[ホルヘ・ヘスス]・ボルハス (George Jesus Borjas, 1950- )は、新自由主義の経済学者で、トランプ政権のキャンペーンの移民政策でのアドバイザーを務めた経験もある。高技能労 働者の移民政策の推進派ともいえるが、結局、それを契機に低技能労働者を引き込んでしまい、移民による経済浮揚はうまく行かず、(従来)労働者の労働賃金 の向上には役立たないので、米国に移民は不要という立場である。ボルハス自身は、私が紹介したような「労働移民排斥論者」ではないと言うが、その主張は、 第10章などを読めば、容易に伺い知ることができる。ただし、闇雲な移民排斥論者ではないが、マイルドな「移民経済浮揚論への反対論者」であることは確実 であろう」(→「ジョージ・ボルハス 『労働者が欲しかった(We Wanted Workers):移民のナラティブを解きほぐす』ノート(2016)」)

■研究の枠組み——方法論的骨組みの紹介

■各国の比較対照表

■近年における予測

「世界銀行は2017年10月9日、新報告書「より 良い労働環境を求めて:東南アジアにおける労働者移住の制約を解消する」(Migrating to Opportunity : Overcoming Barriers to Labor Mobility in Southeast Asia)を発表しました。同報告書では、アセアン域内の労働者移住が1995年から2015年までに急増し、マレーシア、シンガポール、タイに ASEAN域内の労働者移住の96%に相当する650万人が集まるハブとなっていると分析しており、労働者の移住に関する制約を緩和することが労働者の福 祉の向上と地域経済統合の深化につながると指摘」。——Managing Migration Better Can Help Boost Welfare and Growth in ASEAN: World Bank, By World Bank

■私の理論モデル:多元化する医療化(the Pluralistic Medicalization model)移民送出と移民受入の現象は、当該社会の疾病構造と医療システムを変える可能性がある

Pluralistic medicalization model

■調査項目や用語集

■ ベトナムからの介護・福祉労働者の国際移動

ベトナムからのドイツへの移動

ベトナムから日本へのEPA(日越EPA)にもとづ く労働移動 平成26(2014)年度からはじまる

■福祉の「東アジア」モデルの検証

■クレジット

この研究は、日本学術振興会科学研究費補助金・基盤 B(海外)研究課題 26300037「ASEAN経済統 合・EPA下の医療保健人材の東アジア域内移動と職場適応の実証研究」(研究代表者:奥島美夏・天理大学国際文化学部准教授)(平成26 (2014)年度〜平成30(2018)年度)によるものである。このページの情報は、研究班による文書にもとづいているが、本ウェブページの作 成者(池田光穂)の文責によるものである。

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