かならずよんで ね!

高齢者の外傷後成長と認知症に関する学際的研究に参加して

Post-Traumatic Growth (PTG) and Incidence of Dementia among elderly people in the catastrophic disaster areas

池田光穂野村亜由美

【緒言】

現在、私は野村亜由美先生(首都大学東京・人間健康科学研究科, 准教授 (50346938))のもとで科学研究費補助金の研究チーム「津波被災後の高齢者の外傷後成長と認知症に関する学際的研究-老いの成熟を目指して」に属している。

もともとの研究動機は、「災害という逆境をポジティ ブ変容させることによって認知症を予防あるいは遅延させることができる(のではないか)」という仮説から出発した。そこで、その方法論として、日本および 海外の、災害罹災者、非罹災者、海外在住の日系人(海外在住経験が環境変化のインパクトを与えたと考える)、日本国に居住する日本人、などの間で、アン ケートとインタビューをおこなう。(A)「老いの成長」(野村先生の用語では「老いの成熟」)過程のなかでの、認知症の「予防あるいは遅延」のメカニズムがあるかどうかの検証、(B)「老いの成熟」と社会文化的関係の考察——老年人類学/高齢者人類学のテーマに連なる一連の学術研究、(C)そこから得られる知見をもとにした個人ならびにコミュニティレベルでの高齢者ならびに認知症高齢者への支援方策の提示、(D)研究者ならびに当事者/支援者とのネットワーキング化を通してみた研究の社会的還元、について考えている。

【背景】

WHO, Dementia: a public health priority, 2012、 での予想では、2010年での世界で3,556万人の認知症が、2030年では6,569万人、2050年では1億1,538万人に増加すると警鐘。 2010年のアジアの認知症者数は1,594万人で、世界の患者数(3,556万人)のおよそ45%を占める。2050年では、6,092万人(およそ 53%)にまで増加。公衆衛生政策としての認知症への支援は喫緊の課題になりつつある。とりわけ、日本、中国、韓国などの東アジア圏では、今後高齢化がす すんでゆく。

世界人口の6割がアジアに居住。過去30年間のデータでは、世界全体の自然災害の被災者の9割の被災者、ならびに5割以上が、死亡者数と経済的損失額のシェアを占める。

【リサーチデザイン】

災害地の住民は中長期にわたりPTSD (PostTraumatic Strees Disorder) =心的外傷後ストレス障害が発生すると言われている。衝撃的なイベントそのものや、その後の、環境の変化が影響を与えると言われる。いくつかの研究では、 罹災当事者が、そのようなストレスに対処し、コントロール不能な状態に自分を適応させつつ、新たな目標をもつことや、家族あるいはコミュニティとの密接な 関わりをもつものには、将来の認知症リスクを下げるものとみなされている。このような罹災経験後にあらたな環境に適応をとげた変容を、PTG(Post- Traumatic Growth)=外傷後成長と呼ぶ。Tedeschi と Calhoun は、PTGを測定する尺度(Post-Traumatic Growth Inventory, PTGI) を開発した。PTGIの向上させる5つの要因への関心を私たちに喚起している。すなわち、1.Relating to other(他者との関係性)、2.New possibilities(新たな活路を見いだすこと)、3.Appreciation of life(生命や生活への感謝)、4.Personal strength(人格的強さ)5.Spiritual change(スピリチュアルな変化)である。このため、PTG研究は、PTSDの当事者や、地域コミュニティ問題を抱える人たちや支援者たちに多いなる 関心をもたらし、トラウマサバイバーたちの外傷後成長の報告がなされている。

したがって、PTGIの研究と、PTGの当事者へのインタビュー、あるいはそうでない人たちや、ベースラインの状態にある人たちの比較研究をもって、この研究を計画する。

【調査手法・インベントリー】

【調査を通した提言】

PTGの当事者へのインタビューを通して、PTGの プロセスの研究や、(通常の過程における)「老いの成熟」を促進プロセスがわかり、それが個人ないしコミュニティへの介入のプロセスの中でなんらかのノウ ハウや行動学的介入を通して外挿することができれば、中長期的な認知症の発症リスクを下げることができるのではないか?(そのためにはプロスペクティブな 検証と、中長期にわたるフォローアップ研究も、研究期間終了後にも引き続き必要になる)。

【調査対象者の類型と研究スケジュールの論理的構築】

作図は:野村亜由美「津波被災後の高齢者の外傷後成長と認知症に関する学際的研究-老いの成熟を目指して」より

【研究のアウトカム】

 Googe images of "Inventory," in July 2018 (left), and "Inventory 101 for Pharmacists; What is inventory?"(right)

用語集(上掲のWHO報告書2012年に一部加筆:※翻訳は日本公衆衛生協会による)

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