高齢化社会デザインブック
Designing
of/for/with/against Aging Society
解説:池田光穂
●高齢化社会デザイン・ブック
■クレジット:池田光穂・西川
勝・宮
本友
介「高齢化社会のデザイン(2010)」を元に池田が増補改訂したものです。西川さん・宮本さんに感謝します!
■高齢化社会のデザインテーゼ
1.グローバルに考え、ローカルに楽し み、そしてグローカル(メ ゾ・ レベル)でネットワーク的にアクションする!
2.老いや加齢をネガティブなものとして みない。そのための究極的な克服点は、必ず各人に訪れる「死」と付き合い、そし て死を「飼いならす」ことである。
3.正常や理想を多元化する。人間におけ る複数の経路性と、事後的な経路 依存 性の現実に直面すれば、「正常」や「理想」を一元化することの愚かしさに気付くはずである。
4.過去の失敗から学ぶ。過去の失敗を事 例を嫌悪すべき否定的で克服すべきものとして考えない。他者の失敗を、自己のものとして共感し 苦悩 し、そしてそこからの脱出を「共に」考える。
5.楽観主義を忘れない「共感的プラグマ
ティズム」を、集団的実践の信条をしよう。そして、楽観主義にもとづく、相互の助け合い(=互酬性)の精神だ!
★用語
これまでの高齢化社会のデザインは、 (1)政策サイドの行政施策の様々な提案(サ クセスフル・エイジング=エイジレス社会+エイジリスペクト社会)や、(2) その「よきイメージ」をアジア社会をモデルにすることを前提に して、模索され てきた(例:広井良典の これまでの様々な提案)。またアフリカの高齢化社会への疫学的な介入を通して、日本の高齢化社会を逆照射する提案もある(田川・慶田・花渕編 2016)。しかし、これは、自らの社会を自らの足で立てるいうオートノミーという発想からみると、他者および他者の社会へのアイディア依存で、いささか 不安が募る貧相なアイディア群である。大切なことは、自らの発想で、高齢化社会を「デザイン」 するということである。そのためには、どうしても「コミュニティから発信できない」行政主導のプログラムは、避けるべきだろう(→「コミュニティにもとづく参加型研究:CBPR」)。
では、高齢化社会を「デザイン」するということはどういうことをさすのだろう か? デザインは設計の意味だから「自分たちが《そうあってほしい 高齢化社会》を設計する」というのがその答えだ。
嫌悪すべき例(→「古いページ」の事例)のように、コミュニティ(ないしは 専門化したデヴェロッパーたち)の声をそのまま公募すれば「なんとかなる」と言う安易な発想も登場する。
【高 齢化社会のデザインを考える!】
テリー・ウィノグラード(2002:
xxvi-xxx)によると、デザインと
は何かということを考える時に、デザインは《行為》であること
を自覚しなければならないという。そして以下のような、デザインという行為の内実について解説している。それを、私たちが考える、高齢化社会との関連で、
《そうなれば良いなぁ》と考えるように、6つのテーゼにして、皆さんに示そうと思う。
1. デザインは意図的である——私たちが考える高齢化社会は、
全ての世代のグループがそれぞれの多様性を尊重しながら平和的に共存している状態のことである。
2.
デザインは人間的な課題を中心にすえる——持続的な可能目
標(SDGs)に照らし合わせて、人間中心的ではなく、地球環境にも配慮した社会
的プログラムである。
3. デザインは素材との対話である——プロジェクトの遂行に
は、高齢者は裨益者でステイクホルダーであると同時に、対等の対話相手である。
4.
デザインはクリエイティブである——高齢化社会の設計は、
快適で、楽しくて、かつ創造的である。
5
デザインはコミュニケーションである——あらゆるタイプの情
報が透明性を持って流通し、偏見や意図的な秘密がなるべく少なくなり、かつ、苦しみや苦悩に満ちたものですら常に、皆が取り組めるようにオープンなもので
なければならない。
6. デザインは社会的な結果を伴う——現時点では実現不可能と
思われるプランでも、善いものであれば、その成果が出るように、十全の努力をする。
【番外】「認知症マトリックス」で大暴れする——あまりオス
スメしません。リスクテイクできる方のみ限定!!
リンク
文献
その他の情報
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099
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CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099