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高齢化社会のデザイン

Designing of/for/with/against Aging Society: A Bottom up Approach


解説:池田光穂

これまでの高齢化社会のデザインは、 (1)政策サイドの行政施策の様々な提案(サ クセスフル・エイジング=エイジレス社会+エイジリスペクト社会)や、(2) その「よきイメージ」をアジア社会をモデルにすることを前提に して、模索され てきた(例:広井良典の これまでの様々な提案)。またアフリカの高齢化社会への疫学的な介入を通して、日本の高齢化社会を逆照射する提案もある(田川・慶田・花渕編 2016)。しかし、これは、自らの社会を自らの足で立てるいうオートノミーという発想からみると、他者および他者の社会へのアイディア依存で、いささか 不安が募る貧相なアイディア群である。大切なことは、自らの発想で、高齢化社会を「デザイン」 するということである。そのためには、どうしても「コミュニティから発信できない」行政主導のプログラムは、避けるべきだろう(→「コミュニティにもとづく参加型研究:CBPR」)。

では、高齢化社会を「デザイン」するということはどういうことをさすのだろう か? デザインは設計の意味だから「自分たちが《そうあってほしい 高齢化社会》を設計する」というのがその答えだ。

嫌悪すべき例(→「古いページ」の事例)のように、コミュニティ(ないしは 専門化したデヴェロッパーたち)の声をそのまま公募すれば「なんとかなる」と言う安易な発想も登場する。

【高 齢化社会のデザインを考える!】

テリー・ウィノグラード(2002: xxvi-xxx)によると、デザインと は何かということを考える時に、デザインは《行為》であること を自覚しなければならないという。そして以下のような、デザインという行為の内実について解説している。それを、私たちが考える、高齢化社会との関連で、 《そうなれば良いなぁ》と考えるように、6つのテーゼにして、皆さんに示そうと思う。

1. デザインは意図的である——私たちが考える高齢化社会は、 全ての世代のグループがそれぞれの多様性を尊重しながら平和的に共存している状態のことである

2. デザインは人間的な課題を中心にすえる——持続的な可能目 標(SDGs)に照らし合わせて、人間中心的ではなく、地球環境にも配慮した社会 的プログラムである

3. デザインは素材との対話である——プロジェクトの遂行に は、高齢者は裨益者でステイクホルダーであると同時に、対等の対話相手である

4. デザインはクリエイティブである——高齢化社会の設計は、 快適で、楽しくて、かつ創造的である

5 デザインはコミュニケーションである——あらゆるタイプの情 報が透明性を持って流通し、偏見や意図的な秘密がなるべく少なくなり、かつ、苦しみや苦悩に満ちたものですら常に、皆が取り組めるようにオープンなもので なければならない

6. デザインは社会的な結果を伴う——現時点では実現不可能と 思われるプランでも、善いものであれば、その成果が出るように、十全の努力をする

【番外】「認知症マトリックス」で大暴れする——あまりオス スメしません。リスクテイクできる方のみ限定!!


政策担当者は、統治上の課題もあり、高齢 社会をデザイ ンする必要性に駆られていることは言うまでもない。しかしながら、地域コミュニティの変貌や崩壊に ついて、日々の生活実践を通して感じている現場の人々からみれば、政策サイドからの提案は、一方でばらまき行政タイプのパターナリズムか、住民のクレーム 処理タイプのシビル・エンジアリング的な技術改良主義の間を揺れ動いているだけで、生活感覚にもとづくものとは程遠いものがある。

これまでの大学の研究者は、大衆(市民) に対する行政的視点を大衆(市民)に対する態度をもって軌を一にするか、あるいは普遍的で画一的な非現 実的な社会変革モデルを提案するという「悪しき指導者」のままに甘んじてきた。

そのような大学研究者に対して(抗し て)、問題に基づく学習(PBL)と、コ ミュニティに基づく参加型研究(CBPR)に ついて考えるのが、この調査型実践プロジェクトである。

コミュニティでつくる新しい高齢化社会のデザイン行政的関与者、実践的関与者、参与関与者の関係

このプロジェクトは次の 3ステップの理念的展開をもくろむ。

(1)地域における高齢者(認知症者を含 む)や障害者とそのケア提供者が、現場でどのような問題を抱えるているのか、現場で大学の研究者が耳を 傾ける。

(2)直面する問題の性質に関する分析 を、参与観察者である大学の研究者は、当事者と同じ資格水準で考え、またそれに対する具体的な行動指針や 計画などを立案する。

(3)落下傘から降りてくるような調査研 究や開発のための資金注入という古典的タイプの研究ではなく、地域コミュニティと当事者が持続的に高齢 社会を運営・維持していくような、これまでの社会の価値観を尊重しつつ、さまざまな代替的方法を提案・実践すると同時に、それらの維持管理を持続可能なも のにする。

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●高齢者を排除するようなコミュニティの 設計思想があるか(イエスか?/ノーか?)

僕 は、まちづくりとは、ひとづくりに、ほかならないと考える人間であ る。したがって、土木系の専門家が謳う土建屋丸出しの思考から抜け出ない「まちづくり」の理念を聞いても全く心が動かされな い。また、自称「交通系」の人が、交通の流れがかわったら、自動的にまちづくりができるというバカな主張も、俄かには信じがたい暴言のように思われる。そ んな土木系や交通系の「まちづくり」をいった い誰が信じるのだろうか?(→「ひとづくりから入る「まちづくり」入門」)

アクティブ・エイジングの定義は次のよう に規定されている:「アクティブ・エイジングとは、人びとが歳(年)を重ねても生活の質が向上する ように、健康と参加と安全のチャンス(機会)をもっともふさわしいように(=最適化する)過程のこと」をさす。(→「アクティブ・エイジング」)

●高齢者を含む多様性をもつコミュニティ の設計思想があるか?(イエスか?/ノーか?)

●超高齢化という人口構造に配慮したデザ インをしているか?(イエスか?/ノーか?)

Healthy Aging - Osaka University(pdf)

Challenging to Our low-birth-rate-hyper-aging-society: Japanese government, health sectors, and citizen - We will have three parts of this presentation: 1) General description on Aging Society, “Kōreika-Shakai” and Policy of Japan; 2) Structural Violence toward foreign ‘Newcomers’ workers in Japan; 3) How we should do? :Methodological memorandum.

***

(Source: Ministry of Health, Labour and Welfare, 2012)

SDGsを考慮した高齢化社会の設計をしているのか?(イエスか?/ ノーか?)


◎最終的なデザインの先のモデル

ナ ショナルミニマム制度を基礎に置く横型(階層型)の社会保障システムへの転換」(小笠原と渡辺 2012:216)

ナショナルミニマムの説明(ウィキペディ ア日本語より)

「ナショナル・ミニマム (national minimum)とは、国家(政府)が国民に対して保障する生活の最低限度(最低水準)のことである。ベヴァリッジ報告書ではナショナル・ミニマムを達成 するため、ミーンズテストに基づく公的扶助制度を設けるとした」。ちなみに、ミー ンズテストとは、同ウィキより「ミーンズテスト(means test)とは、市民政府に対し、社会保障制度による給付を申請した際に、申請者が要件を満たすかどうか判断するため行政側が行う資力調査のこと。調査は 申請者の収入、資産、またはその両方を対象にして行われ、通常は収入・資産が一定水準を下回ることが受給の要件となる」。

関連ページ:社会福祉とネオリベラリズム政策不品行にふるまう:行動経済学をつくる!ナッジ・アーキテクチャー///

クレジット:池 田光穂「コミュ ニティから発信する高齢社会のデザイン」

World Economic Forum のグローバルな変革マッピングにおける「高齢化」への変革デザイン(画像のリンクによる直接出典サイトに飛びます:サインインが必要になる可能性がありま す)

この研究プログラムの英語のタイトルは、 「ボトムアップ・アプローチ」となっているが、トップダウンからのアプローチあるいはメゾレベルか らのアプローチの人たちは、世界的観点からみて、高齢化問題をどのように考えているのかを検証することも重要であろう。ダボス会議を運営する、世界経済 フォーラム(World Economic Forum )のサイトにある、グローバルな変革マッピングは、とても発見的手法(heuristic approarches)に満ちて、示唆的であるので、以下に示そう。

→「World Economic Forum のグローバルな変革マッピングにおける「高齢化」への変革デザイン

1.社会福祉プログラム: Social Welfare Program

2.高齢者介護: Elder Caregiving

3.健康と機能的運動能力: Health and Functional Ability

4.労働環境と労働力の変化: Workplace and Workforce Change

5.高齢者に優しいインフラ: Age-Friendly Infrastructure

6.シルバーエコノミー: The Silver Economy

7.イノベーションへの準備態勢: Innovation Readiness





"By 2020, the global population of those over 60 years of age will reach 1 billion; by 2050, it is expected to reach 2 billion. This trend, combined with a general decline in birth rates, is leading to a situation where the world’s old will outnumber the young. This presents an economic opportunity, as consumers over 60 will have trillions of dollars in spending power to help drive global consumption. There is also an opportunity to better leverage the abilities of those over 60, by adjusting workplace policies and redefining what “retirement” means. Investing more significantly in healthier ageing processes can help combat related health conditions, improve functional ability, and increase productivity. A transformation of institutional structures is called for, alongside public policies better aligned to the world’s new demographic makeup.- This briefing is based on the views of a wide range of experts from the World Economic Forum’s Expert Network and is curated in partnership with the Global Coalition on Aging." - Aging by World Economic forum.

より詳しくは「World Economic Forum のグローバルな変革マッピングにおける「高齢化」への変革デザイン」にアクセスしてください。

【高齢化社会のデザイン:コミュニティから発信する【このページ】
「高齢化社会」の理想と幻想(1990)
2025 年問題(日本の高齢化問題)
老 人問題・高齢 化社会・ 研究叢書
□老年人類学入門・加齢現象の文化人類学入門

エイジングの文化人類学
老人が尊敬される/軽蔑される社会的メカニズムについて
認知症、痴呆症、ぼけ
齢者への対応——敬うか、遺棄するか、 殺すか?
従 属人口:じゅうぞくじんこう, dependent population
生きのびるための関わり合いと、そのデザイン
社会福祉とネオリベラリズム政策 社会文化的「ぼけ」から社会医療的「認知症」へ
老人虐待の起源
コミュニティに基礎をおく参加型研究 (CBPR)とは何か?
プ ライマ リ・ヘルス・ケア 2.0について
そ の名は「定常型社会」
持続的開発目標(SDGs)
アクティブ・エイジング
医療介護の現場における身体コミュニケー ション
チャート式医療社会学

高齢者の外傷後成長と認知症に関する学際的研究に参加して
お灸 をすえ る:鹿児島三島のヤイトヤキ
医 療労働市場と医療労働者の国際移動 に関する研究

マインドマップ:「虚構としての認知症」

語りをのこす行為

現代社会が抱える問題
国際労働移民の受け入れの問題:日本のケース
戦 争とアルツハイマー
John C. Campbell『日本政府と高齢化社会』ノート
認知症コミュニケーションへの招待
コミュニティ
コミュニティについて考える
ぼけの復権をめざして!
老いのパラドックス
私 たちは多文化医療 について何を考えないとならないか?
テキスト編
スライド編
認知症・経済格差・社会関係資本・トラウマ -レジリアンス
国連の持続可能な開発目標とグローバル・ イシューズ
進化生物学と医療社会学
安心して徘徊できる社会は可能か? 協働術A:ネオ・アクションリ サーチの探 究
2017年度版
2018年度版
外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ
き 地 医療研究 EPA にもとづく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ制度について考える
マーガレット・ロック著『アルツ ハイマー の謎』
医療やケアのグローバル化に伴うコミュニ ケーションの問題をあぶり出す
グローバル・スタディーズ・批判 移民
ASEAN経済共同体(AEC)・EPA状況下の医療保健人材の東アジア域内移動に ついて
John C. Campbell『予算ぶんどり : 日本型予算政治の研究』ノート
ジャレド・ダイアモンド『昨日までの 世界』問題集
グローバル・イシューズと先住民
アジアの域内労働移動のトレンド
マ クロウィキノミクス・研究・ノート
スティグリッツ+グリーンウォルド『学習する社会を創造する』 を読む
安倍晋三首相による日本政府の国際保健に対する取 組み声明について
医療人類学における生命倫理学
教育を通した人類学的デモクラシーの実践
予算編成の政治学
フー コー の生権力論
大熊 由紀子 「ケアの思想」を読む
学生・院生の社会化に必要なのか?
Florence Nightingale
未開社会における安楽殺の倫理
アジアの〈こころ〉と〈からだ〉
医療社会学語彙集
認知症者の世界へのマッピング
認知症研究とロボットとの共存
見えない障害
ヒューマン・サービスに関わる科学とは?
ケアの思想・叢書
薬物・人間・社会の実践的比較文化論
看取り力から「看取られ力」へ の構造転換
認知症ケアの創造:その人らしさの看護へ

医療人類学辞典
嬰児殺しと棄老に関する考察ノー ト
コミュニティにもとづく参加型研究
ヘーゲルと親殺し
生・ 権 力(せい・けんりょく)
「支配的存在」を名指し、可視化する試みについて
マーガレット・ロックの医療人類学
医療人類学:高知大学2009
【老人】が尊敬される/排除されるメカニズムについて→
エグゼ クティ ヴ・ホテルの老人
老いる こと〈労 働〉の価値概念の変遷について
パーソンズ「老人の 健康と社会の成長」ノート
『老人Z』をめぐる議論
ベイルイマン『野いちご』(1957)[読解ならぬ]視解
映画『別離』を通して認知症の人について考える
私たちの高齢者に対する人道的対応について〈異文化〉の者が私たちに激高する時
介 護の社会的問題および介護保険法用語集・定義集
エイジズム
嬰児殺しと棄老の文化的解釈
虚構としての認知症
高齢者研究への招待
「よい死に方」について考え、そして行動してみよう!
在 日外国人支援の現場における参与実践
医療化
現代の棄老としての 安楽死と尊属殺人
浦島太郎:認知症コミュニケーションにおける〈時間感覚の相対論〉について
エイジレス・セルフ
アンセルム・ストラウスの医療社会学
リップ・ヴァン・ウィンクルと入植者たちの啓蒙について
姨捨伝説・異説
ヘーゲル哲学におけ る死の概念
現場力と状況学習の関係
今村充夫『日本の民間医療』研究ノート
マー ガレッ ト・ミード『サモアの思春期』読書ノート
上野千 鶴子『資 本制と家事労働』再入門!
ルー ス・ベネディクト『菊と刀:日本文化の諸パターン』1946
老人の地位処遇に関 するドナルド・カウギル(Donaldo O. Cawgil, 1972)の仮説
心的外傷後ストレス障害
トラウマを想起することに関するエッセー
心と社 会 狂気 をどのように捉えればいいか?
ス トレス理 論の使われ方
癒しを見る眼
プナン民族誌と老人
〈こころ〉と社会
書評『苦悩することの希望:専門家のサファリングの人類学』浮ケ谷幸代編著
専門家の横暴について
現代社会を 考える上 でもっとも代表的な病気とは?
病いと疾病

サンブルにおける長老制
W.H.R.リヴァーズ
社会科学への審問としての強制絶滅収容所
ゴ ジラと現 代社会
トランスマイグレーションの倫理学
多文化共生はじめの一歩
シリオノの高齢者の 取り扱い
我々は何をなすべきか
Challenging to Our low-birth-rate-hyper-aging-society: Japanese government, health sectors, and citizen
認知症倫理学は可能か?(ハンバーガー倫理学について
薬物利用者の高齢化について(ハームリダクション政策
Harm Reduction
エルマン・サーヴィ スの〈狩猟民の長老は尊敬される〉説
ヘルスコミュニケーション研究リソース
From Sickness to Badness:opular images on "Boke" (senile dementia and other related symptoms) in Japan.
おサキさんの老後は「標準的な老女」のライフの基準から外れてしまうのだろうか?
「年寄りはそう信じているんです」——犬と人間の共存に関する覚え書き
「年寄りが教科書を書く」——文化人類学に体系はあるのか?
棄老の伝説は殉死の 伝統を誤解したものである——中山太郎説
健康転換
ユマニチュードについて学ぶ
Alive Inside(内なるいのち)の衝撃
そ の名は 「定常型社会」
国際労働移民の受け入れの問題:日本のケース
利他行動の進化論的 解決を「老人殺し」に適応できるか?
アイデンティティ
医療過誤
多 文化 共生社会とプライマリヘルスケア
多 文化共生保健コミュニケーター
医療と文化の多元主義:日本事例の検討
未開社会における安楽殺の倫理
生きることの意味
国連の持続可能な開発目標とグローバル・イシューズ
生 活知(せいかつち)
ウィ ル・キムリッカの「多文化主義」講義
民族=国家[国民]医療
安楽死会話と終末期ケアを介した社会的死の予防:オランダからのレッスン
ヘルシズム
ツァイガルニク効果
日常生 活活動 (ADL)
ノートハウスのヘルスコミュニケーション「異文化間コミュニケーション編」
ソクラテスとアスクレピオスと鶏とニーチェ
B・マイヤーホフ論文「ちょうどいい時に死ぬ」論文ノート
人は多様に病み単純に治る(テーゼ)
高度副プログラム「ソーシャル・デザイン」
科学人類学(科学の人類学)

〈言 語 の翻訳〉における現場での混乱
【老人がもつ生産的権力について 考え よ!】フーコー『知への意志』ノート
看取り力から「看取られ力」へ の構造転換
加齢ははたして病気か?
ローカル・グローバル・コネクション
患者サイボーグ宣言
人間機械論・再考
サイボーグ
塩、 砂 糖、脂肪、怠惰
生命の質
書誌:日本における自殺研究
現代不老不死論——脳死・臓器移植問題を考える(1993)
公的領域と私的領域に関する議論
道 具と 人間の身体がつくる世界
ワー ク・ ライフ・バランス批判
阿南成一『安楽死』(1976)の研究
医療人類学資料集:老女ナタルクの最期
アーサー・フランクの「死に行く人とその人の 権利」テーゼ
ジャ ン=ジャック・ルソーは囚人のジレンマを感じるのか?
看 護の定義
語 りは出来事の報告ではなく、出来事そのものである
狂気を装う
語り部の意味
未開社会における安楽殺の倫理
人間は〈病む存在〉である
散骨は自然葬ではない!
苦悩体 験の理解
ユカギールの悲劇
がんサバイバーとのコミュニケーション
人の身体は物質によって定義できぬ
歴史は死を前提とする
死の問題について
天 使の死とスープの味
加藤尚武氏書評「安楽死問題の名著」へのコメンタリー
オランダにおける安楽死の研究
アステカの生と死の女神
近代病院のなかの伝統的「死」
死 の 勝利について
生と 死の儀礼 における分類の次元
神は死んだ、をめぐる人間の誕生
安楽死の研究
魔法医学の起源
家族に埋め込まれた死——文化人類学からの諸見解
病気と 文化 人 間の医療とは何か?
認 知症コミュニケーションへの招待
「リプロダクション:「産むこと」は単純ではないのか?」
憑依 病める身体は誰のものか?
老女ナタルクの最期
構 築主義について
老人問題・研究 叢書
認 知症と 呼ばれる老い人が「うちに帰りたい」 というとき、何が起きているのか?
老いをたのしむ〜♪
9「エイジングと文化 老いはどのように捉えられているか?」

クレジット:池田光穂・西川 勝・宮 本友 介「高齢化社会のデザイン(2010)」を元に池田が増補改訂したものです。西川さん・宮本さんに感謝します!

高齢化社会のデザインテーゼ

1.グローバルに考え、ローカルに楽し み、そしてグローカル(メ ゾ・ レベル)でネットワーク的にアクションする!

2.老いや加齢をネガティブなものとして みない。そのための究極的な克服点は、必ず各人に訪れる「」と付き合い、そし て死を「飼いならす」ことである。

3.正常や理想を多元化する。人間におけ る複数の経路性と、事後的な経路 依存 性の現実に直面すれば、「正常」や「理想」を一元化することの愚かしさに気付くはずである。

4.過去の失敗から学ぶ。過去の失敗を事 例を嫌悪すべき否定的で克服すべきものとして考えない。他者の失敗を、自己のものとして共感し 苦悩 し、そしてそこからの脱出を「共に」考える。

5.楽観主義を忘れない「共感的プラグマ ティズム」を、集団的実践の信条をしよう。そして、楽観主義にもとづく、相互の助け合い(=互酬性)の精神だ!

用語

  • 共感的プラグマティズム(compassionate pragmatism)は、アラン・マーラット(1988, 改訂版2011/Atarsky & Marlatt 2010:117)による、ハーム・リダクションの思想こ とを表現するために使われた用語である。そこから展開して、池田と徐(2015)は、病いや生活の貧困やトラブルを抱えている人とそのコミュニティにふり かかる危険性を回避する方法を通して、「トラブルを抱える人」を、コミュニティがまず、プラグマティクに受容することからはじまることを、共感的プラグマ ティズムの基本心情(エートス)として考えた。
  • Successful aging (John Rowe, Robert L. Kahn, 1998)▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
  • ●La vejez por De Jorge Luis Borges

    La vejez
    (tal es el nombre que los otros le dan)
    puede ser el tiempo de nuestra dicha.
    El animal ha muerto o casi ha muerto.
    Quedan el hombre y su alma.
    Vivo entre formas luminosas y vagas
    que no son aún la tiniebla.
    Buenos Aires,
    que antes se desgarraba en arrabales
    hacia la llanura incesante,
    ha vuelto a ser la Recoleta, el Retiro,
    las borrosas calles del Once
    y las precarias casas viejas
    que aún llamamos el Sur.
    Siempre en mi vida fueron demasiadas las cosas;
    Demócrito de Abdera se arrancó los ojos para pensar;
    el tiempo ha sido mi Demócrito.
    Esta penumbra es lenta y no duele;
    fluye por un manso declive
    y se parece a la eternidad.
    Mis amigos no tienen cara,
    las mujeres son lo que fueron hace ya tantos años,
    las esquinas pueden ser otras,
    no hay letras en las páginas de los libros.
    Todo esto debería atemorizarme,
    pero es una dulzura, un regreso.
    De las generaciones de los textos que hay en la tierra
    sólo habré leído unos pocos,
    los que sigo leyendo en la memoria,
    leyendo y transformando.
    Del Sur, del Este, del Oeste, del Norte,
    convergen los caminos que me han traído
    a mi secreto centro.
    Esos caminos fueron ecos y pasos,
    mujeres, hombres, agonías, resurrecciones,
    días y noches,
    entresueños y sueños,
    cada ínfimo instante del ayer
    y de los ayeres del mundo,
    la firme espada del danés y la luna del persa,
    los actos de los muertos,
    el compartido amor, las palabras,
    Emerson y la nieve y tantas cosas.
    Ahora puedo olvidarlas.
    Llego a mi centro,
    a mi álgebra y mi clave,
    a mi espejo.
    Pronto sabré quién soy.
    De Jorge Luis Borges
    (del muro de Esmeralda Loyden S)
    老い
    (他人がそう呼ぶ)。
    が至福の時かもしれない。
    動物は死んでいるか、ほとんど死んでいる。
    人間とその魂は残っている。
    私は、まだ闇ではない、光り輝く漠然とした形の中で生きている。
    まだ闇ではない
    ブエノスアイレス、
    かつては郊外に分断されていたが
    絶え間ない平原に向かっていた、
    再びレコレータ、レティーロとなった、
    ぼんやりとしたワンスの通り
    そして不安定な古い家々
    私たちはまだ南と呼んでいる。
    私の人生には、いつも多くのものがあった;
    アブデラのデモクリトスは考えるために目を摘んだ;
    時が私のデモクリトスだった。
    この憂鬱は緩やかで苦痛を伴わない;
    緩やかな斜面を流れていく。
    永遠に似ている。
    私の友人たちに顔はない、
    女たちは何年も前のままだ、
    角は違うかもしれない、
    本のページには文字がない。
    これらすべてが私を怯えさせる、
    しかし、それは甘美であり、回帰なのだ。
    この世にある何世代ものテキストのうち
    私が読んだのはほんの一部だ、
    記憶の中で読み続ける、
    読み続け、変容させる。
    南から、東から、西から、北から、
    私を秘密の中心へと導いてくれた
    私の秘密の中心へと導いてくれた。
    それらの道は、こだまであり、足音だった、
    女たち、男たち、苦悩、復活、
    昼と夜、
    夢と夢だ、
    昨日の、そして世界の昨日の、小さな一瞬一瞬が
    そして、世界の昨日の一瞬一瞬である、
    デーン人の剣とペルシャ人の月、
    死者の行い、
    共有された愛、言葉、
    エマーソン、雪、その他多くのもの。
    今、私はそれらを忘れることができる。
    私は自分の中心に戻る、
    私の代数と鍵に、
    私の鏡に。
    やがて私は自分が誰であるかを知るだろう。
    ホルヘ・ルイス・ボルヘスより
    (エスメラルダ・ロイデンSの壁より)




    リンク

  • コミュニティに基づく参加型研究(CBPR)
  • コミュニティに基礎をおく参加型研究(CBPR)にみられる「権力委譲 power-demise」のプロセス
  • John C. Campbell『日本政府と高齢化社会』ノート
  • 社会福祉とネオリベラリズム政策
  • 文献

  • ウィノグラード、テリー『ソフトウェア の達人たち:認知科学からのアプローチ』瀧口範子訳、東京:ピアソン・エデュケーション、 2002 年
  • 2050老人大国の現実 : 超高齢化・人口減少社会での社会システムデザインを考える / 小笠原泰, 渡辺智之著,東洋経済新報社 (2012)
  • 田川玄, 慶田勝彦, 花渕馨也編『ア フリカの老人 : 老いの制度と力をめぐる民族誌』九州大学出版会、2016.
  • その他の情報

    Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

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    Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099